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11話
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私が集会場に入ると、レオとエミリーはもう壇上の席に座っているところだった。
しかし、私が入ってきたのを見て、表情を強張らせた。
「なっ、なんで……」
どうやら私が来るとは思っていなかったようだ。
私が壇上に設けられた席に座るなり、レオは悔しそうに拳を膝に叩きつける。
「あいつらしくじったのか……!」
「何かおっしゃいましたか?」
「何でもない! ……くそっ、こうなったら、突き通すしか……!」
レオは何かをぶつぶつと呟いている。
何があったのかは知らないが、どうやらレオは焦っているらしい。
私はそれに構わず、ある人物を紹介することにした。
「では始めたいところですが、その前に特別にお越しいただいた方がいらっしゃいます」
「なに?」
私がそう言うと集会場の扉が開かれ、ある人物が入ってきた。
レオはその人物に激しく動揺する。
「ち、父上?!」
やって来たのは、国王だった。
これは私があらかじめ呼んだ人物だった。
「うむ。何やら我が息子が重要な催しを行うと聞いたのでな。あとプライス家の当主も連れてきたぞ。関係しているようなのでな」
お父様とお母様も連れてこられたようだった。
これは予期していないことだった。
どうやら国王が気を利かせてくれたようだ。
国王は壇上に登り、私とレオの真ん中に椅子を置いて座った。
お父様とお母様はレオの近く立たされていた。
「儂は双方の言い分を聞いて判断を下す役割をしよう。では、始めるがよい」
まずは私から話し始める。
「レオ様、私が妹のエミリーを虐め、家のお金を盗んだと仰られていましたよね?」
「あ、ああ……」
「まず、私はエミリーを虐めていません。学園にいる時間は殆どの時間を教室で過ごしていて、エミリーを虐めることが出来ません」
「うむ、それは儂が調査をした結果確認しておる」
「ち、父上? なぜ……」
横から国王が付け足した。
レオは国王が私を手助けしていることに驚愕していたが、私は構わずに続ける。
「これに対して、レオ様は何か言いたいことがございますか?」
「……無い」
レオは沈黙していた。
「次に私が家を追放された時のことですが──」
「そ、そうだ! ルナ、お前家の物を無断で持っていっただろう! それに私が学費を出しているのに学園にも通って!」
今度はお父様が口を挟んできた。
よくそんな事が言えたものだ。
今まで私にした仕打ちを覚えていないのだろうか。
心の中は怒りで満たされていたが、表情には出ないように気をつける。
「まず、私が持っていったものは全て私のものです」
「ふざけるな! どうせ私たちがやった小遣いで買ったんだろう!」
「いいえ、私が稼いだお金です。──なぜなら、私は『月夜商会』の会長なのですから」
私の言葉に、集会場が騒がしくなった。
「『月夜商会』って、近年急激に成長したあの商会のこと?!」
「しかもその会長がルナさんなの?!」
「嘘でしょ?!」
しかし、私が入ってきたのを見て、表情を強張らせた。
「なっ、なんで……」
どうやら私が来るとは思っていなかったようだ。
私が壇上に設けられた席に座るなり、レオは悔しそうに拳を膝に叩きつける。
「あいつらしくじったのか……!」
「何かおっしゃいましたか?」
「何でもない! ……くそっ、こうなったら、突き通すしか……!」
レオは何かをぶつぶつと呟いている。
何があったのかは知らないが、どうやらレオは焦っているらしい。
私はそれに構わず、ある人物を紹介することにした。
「では始めたいところですが、その前に特別にお越しいただいた方がいらっしゃいます」
「なに?」
私がそう言うと集会場の扉が開かれ、ある人物が入ってきた。
レオはその人物に激しく動揺する。
「ち、父上?!」
やって来たのは、国王だった。
これは私があらかじめ呼んだ人物だった。
「うむ。何やら我が息子が重要な催しを行うと聞いたのでな。あとプライス家の当主も連れてきたぞ。関係しているようなのでな」
お父様とお母様も連れてこられたようだった。
これは予期していないことだった。
どうやら国王が気を利かせてくれたようだ。
国王は壇上に登り、私とレオの真ん中に椅子を置いて座った。
お父様とお母様はレオの近く立たされていた。
「儂は双方の言い分を聞いて判断を下す役割をしよう。では、始めるがよい」
まずは私から話し始める。
「レオ様、私が妹のエミリーを虐め、家のお金を盗んだと仰られていましたよね?」
「あ、ああ……」
「まず、私はエミリーを虐めていません。学園にいる時間は殆どの時間を教室で過ごしていて、エミリーを虐めることが出来ません」
「うむ、それは儂が調査をした結果確認しておる」
「ち、父上? なぜ……」
横から国王が付け足した。
レオは国王が私を手助けしていることに驚愕していたが、私は構わずに続ける。
「これに対して、レオ様は何か言いたいことがございますか?」
「……無い」
レオは沈黙していた。
「次に私が家を追放された時のことですが──」
「そ、そうだ! ルナ、お前家の物を無断で持っていっただろう! それに私が学費を出しているのに学園にも通って!」
今度はお父様が口を挟んできた。
よくそんな事が言えたものだ。
今まで私にした仕打ちを覚えていないのだろうか。
心の中は怒りで満たされていたが、表情には出ないように気をつける。
「まず、私が持っていったものは全て私のものです」
「ふざけるな! どうせ私たちがやった小遣いで買ったんだろう!」
「いいえ、私が稼いだお金です。──なぜなら、私は『月夜商会』の会長なのですから」
私の言葉に、集会場が騒がしくなった。
「『月夜商会』って、近年急激に成長したあの商会のこと?!」
「しかもその会長がルナさんなの?!」
「嘘でしょ?!」
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