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お姉様なんて大っ嫌い

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私はマノン・ルシール・マルセル。私は姉であるミレイユ・モニク・マルセルの絞りカスだ。

お姉様はいつも優しい。両親に親孝行を欠かさない。肩揉みをしたり、手作りのお菓子を振る舞ったりして両親からの愛を独り占めする。妹の私をいつも気にかける。優しい顔をして転んだ私に手を差し伸べる。そしてみんなからちやほやされる。使用人達にさえ、その心に寄り添う。お金がなくて治療を受けられないと嘆く使用人の家族の為に魔法薬を作って渡し、忠誠心を集める。

お姉様はいつも美しい。同じ容姿のはずなのに、何故かお姉様には常に気品が漂う。同じ容姿のはずなのに、私とお姉様は他人から見ても直ぐに見分けがつく。同じ容姿のはずなのに、私はお姉様の劣化版だ。

お姉様はいつも私に無いもの全てを持っている。人に好かれる才能、完璧な婚約者、そして…神の愛し子という、己の存在自体。

対する私は、そんな完璧なお姉様と比べられて絞りカスと貶められる一方。これで嫉妬するなという方が無理だ。

だから、私は神の愛し子を偽った。信じてもらえないだろうことはわかっていた。みんなお姉様が神の愛し子だと知っている。だから、みんなに洗脳薬をばら撒いて私の言葉だけを信じさせた。無味無臭の洗脳薬は、厨房のスープの鍋に入れれば簡単に盛ることができた。

お姉様が孤立したところで、お姉様にも魔術回路を汚染する毒物を仕込んだ。もちろん、神の愛し子であるお姉様が死ぬとマルセル公爵家への加護がなくなるため、死なない程度に。お姉様は転がり落ちるように、醜くなっていった。

お姉様の完璧な婚約者であるフェリクス・グラシアン・エテルネル第一王子殿下にアタックした。あんな醜くなったお姉様より、私の方が良いはずなのに…フェリクス様は、私を選ばなかった。洗脳薬も盛ったけれど、口を付ける前にフェリクス様の身につけている王家の指輪が光りバレてしまった。散々フェリクス様から皮肉られて終わっただけだった。

お姉様は少しずつ元の美しさを取り戻そうとしている。毒を盛る隙がなくなった。努力を重ねて痩せていく。

お姉様は少しずつ元の名声を取り戻そうとしている。洗脳薬が効かなくなった。私の努力は水の泡。

悔しい。悔しい悔しい悔しい悔しい悔しいっ!!!

なんで、どうしてよ!惨めに朽ち果ててよ!こんなの、私が今まであんたの陰で受けてきた仕打ちに比べれば軽いものでしょ!私はあんたのせいで絞りカス扱いをずっと受けてきたのよ!今度はあんたが不幸になってよ!
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