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1 ほら、やっぱりね
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「君、なにか言ったらどうだい? なまじ顔がいい分、黙ってじっとしていられると恐いんだよ」
「……」
「見つめるな! なんか呪われそうだ……君、生きてるよね? 実は亡霊で、僕にしか見えてないとか、そういう事じゃないよね?」
「……イヒ」
あんまり仰るので、がんばって笑ってみました。
「ヒィッ!!」
驚かれました。
ど、う、ち、て……
「もう嫌だ! 君なんかと生涯を共に過ごすなんて信じられない! 異常だよ! きっ、君と結婚したら、不幸になる気がする……! ぼぼ僕は普通の妻が欲しいんだ! 普通の令嬢と結婚する! だから今日この時この瞬間を以て君との婚約は破棄するッ! 絶対そうするッ!!」
「……………………え?」
「だから君とは終わりにするッ!!」
「…………、……………………え?」
「もう知るかッ!!」
お父様に似た、陽気で元気なジーモン様。
素敵な殿方に求婚されて、私、とても嬉しかったのに……
婚約破棄されました。
人生、終わった……
「……やっぱりね」
そうだと思った。
私なんかが、すんなり結婚して幸せになるはずないって。
だから私、納得しました。
ジーモン様は正しい選択をされました。
きっと誰もがそうすると思います。
だけど……
ジーモン様、あなたは、他の誰もなさらなかった、ただ一つの特別な事を、なさいましたよね?
私に、自ら好き好んで、求婚しましたよね?
私に、夢を見させて、そして取り上げましたよね?
ジーモン様……
私、婚約破棄、納得してます。
ただ、恨みます。
「オクタヴィア?」
一生、恨みます……
本当に好きだったから……
「オクタヴィアちゃん?」
陽気な父が視界に割り込んで、笑顔で手を振っている。
「なんにも心配する事ないよぉ~。こんっなにスペシャルビューティーミラクルレディのオクタヴィアちゃんなんだから、男なんて次から次に沸いてくる! くっそぉ、全員八つ裂きにしちゃいたいよ! なんなら、ずぅっとパパと一緒に暮らす? 一生大切にするし、パパが死んだあとだって全財産オクタヴィアちゃんに遺すんだから安心していいんだよ?」
「……お父様……」
の、後ろには、嘲笑を洩らすお母様。
「そうやって甘やかすから、婚約破棄されるような出来損ないに育つんですよ」
「ユスティーナ! なにを言うんだ!」
「結婚は令嬢の義務。家と家を繋いで跡継ぎを産む事こそ、女の義務ですのよ? せっかく美人に生まれついたのに、これじゃあね……フッ」
自分だって、娘一人しか産まなかったくせに……
「……」
「見つめるな! なんか呪われそうだ……君、生きてるよね? 実は亡霊で、僕にしか見えてないとか、そういう事じゃないよね?」
「……イヒ」
あんまり仰るので、がんばって笑ってみました。
「ヒィッ!!」
驚かれました。
ど、う、ち、て……
「もう嫌だ! 君なんかと生涯を共に過ごすなんて信じられない! 異常だよ! きっ、君と結婚したら、不幸になる気がする……! ぼぼ僕は普通の妻が欲しいんだ! 普通の令嬢と結婚する! だから今日この時この瞬間を以て君との婚約は破棄するッ! 絶対そうするッ!!」
「……………………え?」
「だから君とは終わりにするッ!!」
「…………、……………………え?」
「もう知るかッ!!」
お父様に似た、陽気で元気なジーモン様。
素敵な殿方に求婚されて、私、とても嬉しかったのに……
婚約破棄されました。
人生、終わった……
「……やっぱりね」
そうだと思った。
私なんかが、すんなり結婚して幸せになるはずないって。
だから私、納得しました。
ジーモン様は正しい選択をされました。
きっと誰もがそうすると思います。
だけど……
ジーモン様、あなたは、他の誰もなさらなかった、ただ一つの特別な事を、なさいましたよね?
私に、自ら好き好んで、求婚しましたよね?
私に、夢を見させて、そして取り上げましたよね?
ジーモン様……
私、婚約破棄、納得してます。
ただ、恨みます。
「オクタヴィア?」
一生、恨みます……
本当に好きだったから……
「オクタヴィアちゃん?」
陽気な父が視界に割り込んで、笑顔で手を振っている。
「なんにも心配する事ないよぉ~。こんっなにスペシャルビューティーミラクルレディのオクタヴィアちゃんなんだから、男なんて次から次に沸いてくる! くっそぉ、全員八つ裂きにしちゃいたいよ! なんなら、ずぅっとパパと一緒に暮らす? 一生大切にするし、パパが死んだあとだって全財産オクタヴィアちゃんに遺すんだから安心していいんだよ?」
「……お父様……」
の、後ろには、嘲笑を洩らすお母様。
「そうやって甘やかすから、婚約破棄されるような出来損ないに育つんですよ」
「ユスティーナ! なにを言うんだ!」
「結婚は令嬢の義務。家と家を繋いで跡継ぎを産む事こそ、女の義務ですのよ? せっかく美人に生まれついたのに、これじゃあね……フッ」
自分だって、娘一人しか産まなかったくせに……
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