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062 Дмитрий

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「もうヤッちゃった? これからか?」

 この一言に、キレた。

「ふざけるな!」
 
 たくさん、ろくでもないことがあった。だけど、まりえを冒涜するような言葉は、たとえ義理の弟でも許さない。僕は義弟を突き飛ばした。シュウギは目をぱちくりさせて、反対の壁に背中を打ちつけた。別に痛くないはずだ。これくらい。

「二度とまりえをそんなふうに見るな!」
「ミーチャ!」

 オーリャが刺々しく僕を呼んだ。

「このひとの前で怒鳴らないで」
「……」

 ハッとしてまりえを見る。目が合うと、まりえも我に返った様子で、僕から目を逸らした。頬がまだ桃色に染まっている。本当だ、彼女の前で暴言を吐くなんて最低だ。でも、今のところ、まりえに悪い兆候はない。だけど、もう、気をつける。
 義弟がごにょごにょと文句を言った。オーリャが、つり上げた目を夫に移した。

「モット、コトバヲエランデ」
「ゴメン」

 エレベーターの警報が鳴り始めたが、カメラは僕とオーリャを映しているからそう問題ではない。オーリャがパネル下の通信機で手短に異常ないことを伝えると、すぐに止んだ。僕たちはエレベーターから下りた。
 まりえが戸惑っている。

「なんでいるんだ」

 オーリャがばしっと僕を睨んだ。

「あなたが好きにふるまえるのは、ここだけだもの。彼女をどうするの?」
「どうって……」

 むしゃくしゃした。なんで寄って集って、僕とまりえの邪魔をするんだ。余計なものは一切排除して、確実にまりえを守り通さないといけないのに。イズルからも、世界からも。
 突然、オーリャが悲しそうに目を潤ませた。食い入るように僕を見あげる。

「光るのね」
「!」

 目を閉じて背を向けた。なんてことだ。僕はどれだけ動転しているんだ。冷静になれ。僕がまりえを守る。もう何もできない子どもじゃない。息を整えふり向いた瞬間、悲しげにうつむくまりえが言葉を洩らした。

「ゴメンナサイ」

 そして、義弟の顔を見あげる。
 なぜだ?
 まりえは義弟に何かを懇願している。義弟がタレ目を全開にして、口まであけてまりえの肩を掴んだ。オーリャも唖然としている。
 苛々する。

「まりえに触るな」

 義弟は僕と同じくらい、女の子にさわるのが大好きだ。危ない。

「オレノコダヨ!」

 オーリャが振り返り、お腹を指差す。

「あなたの子って誤解してる」
「ええっ!?」

 泣き出しそうな暗い目をして俯くまりえの前から、オーリャが義弟を押しのけた。そして、大きなお腹を気遣いながらも背筋を伸ばし、手を差し出す。
 本当に、妹は兄にそっくりだ。こういうところが。
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