妹が最優先という事で婚約破棄なさいましたよね? 復縁なんてお断りよッ!!

百谷シカ

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13 秘めたる愛の告白

「私、修道院に行きます」


 騒動のあった夜、私はロイに告げた。
 ロイは驚いて目を瞠り、私の肩を掴んだ。


「なにを言うんだ。アデル、あんな男の言う事に惑わされないでおくれ」

「いいえ。違うの」


 私は、ロイの胸を押した。
 
 そして、微笑んで彼を見あげた。


「私、あなたに後見人になってもらって、こんなによくしてもらったけれど……もう結婚はできないのよ」

「諦める事はない。私が、必ず、君に相応しい相手を見つけるよ」

「あなたを愛してしまったの」


 ロイが口を噤んだ。


「ごめんなさい。でも、困らせるつもりはないの。奥様を愛しているあなたが好きなんだもの。いいの。でも、あなたを想ったまま誰かの妻になるなんて、できないのよ……っ」


 涙が溢れる。


「ごめんなさい。だから、私は……修道院に、行きます」

「待ってくれ」


 ロイの声は掠れていた。
 ロイはまだ、私の肩から、手を離さない。


「君に、言わなければいけない事がある」

「……ロイ」

「それを聞いて、もう一度、考えてほしい」


 私は、静かに頷いた。

 ロイは私に椅子に座るよう促した。
 私は言うとおりにした。

 そして彼は、暗い窓辺に立ち、私に背を向けた。

 次に私のほうへふり向いたとき、ロイは熱く瞳を揺らしていた。


「私は、ある時から君を……愛していた。女性として」

「……ロイ!」


 震えるほど、喜びが熱い熱となって体中を駆け抜ける。
 けれどロイは手振りで私に立ちあがらないよう示し、続けた。


「だが私は、妻を忘れる事ができない。どちらも愛しているなんて、そんな身勝手な話はないだろう? 加えて私は君より20才近く年を取った、もうすぐ老人になる男だ。私は君に幸せになってほしい。私は……私こそは、君に相応しくないんだ」

「ロイ……」

「だから、この想いは墓場まで持って行こうと、決めていた」

「でも、言ってくれた」

「君が、勇気を出してくれたから」


 ロイが微笑んだ。
 でもそれは、教会で初めて会った時のように、悲しい微笑みだった。


「君は愛されるべき女性だ。君だけを心から愛する男が、必ず現れる。私が保証する。だから、悲観したまま修道女になるなんて、いけないよ……」

「愛してるわ、ロイ」

「アデル……」


 私は肘掛を握りしめ、ロイに想いを伝えた。


「愛してる」
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