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2 砂浜で目覚めて
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ざぱぁ~んッ!
どぷぅ~んッ!
ゴポポポポポポ……
「!」
青い海が私を呑み込んで、青い海はあっという間に黒い海になって、私は息苦しさと恐怖と哀しみで気絶した。
そして目覚めると、燦燦と降り注ぐ太陽……
「……」
あ、砂浜に寝てる。
「ゴホッ!」
んで、海水を吐いた。
「!」
そして私以外に人がいた。
小麦色の肌の逞しい青年は、海水で全身びしょびしょ。
私をサッと起こして、背中を摩って軽く叩いて、噎せるのが落ち着いた頃にまたサッと革袋を渡してくる。
「(ありがと)」
と、手振りで感謝を伝え、革袋の中を覗いてみた。
水だった。
少し目をあげると、南国風のジャミジャミした樹皮の木の幹に細い鉄の管が刺さっていて、そこから水がチョロチョロ出ている。
小麦色の彼は、飲み水を用意してくれたのだ。
頂いた。
「はふっ」
「……」
「……ありがとう。私、溺れて……」
言葉が通じていないのかもしれない。
南国風の樹皮の木や、小麦色の肌の青年、それにこの砂浜。
ここはたぶん、南国。
ゾッポ王国。
あと私、自分の妹に殺されかけた。
「うっ……!」
悲しい事実を思い出して、私は嗚咽を洩らし、顔を覆って泣いてしまった。
小麦色の青年は私を気遣って、背中を摩ってくれたり、バナナをもいで来てくれたり、可愛い砂のお城を作って和ませてくれたりした。
優しい……
優しさが、身に沁みた。
「あ、ありがとう……私……」
私のヒマワリ色のカクテルドレスが、それほど傷んでないまま足に纏わりついているのを見て、また泣けた。
私は幸せなんだと思ってた。
だけど、全部壊れてしまった。
結婚したのに……
「私……これからどうすればいいの……っ」
小麦色の青年が無口なのもあって、私は堂々と独り言を洩らしていた。
南国ゾッポ王国まで、船で半日。
けっこう近い。
一番近い外国。
ゾッポ産の果物はみんな大好き。
「……っ」
帰ろうと思えば、帰れるんだろうけど……。
妹の狡猾で煌びやかな笑顔が、蘇る。
帰れない。
悲しいし、もしまた顔を合わせたら、今度はなにをされるかわからない。
泣いていると、小麦色の青年が立って、ちょっと木のほうへ行って、小枝を拾って戻って来て、私の肩を指先で軽く叩いた。立つように促されたのだ。
「ん……?」
すすり泣きながら立った私に、小麦色の青年は小枝を差し出した。
「……」
武器?
わからないけれど、差し出されたので、ひとまず、先端を掴む。
すると小麦色の青年は優しい笑顔を見せた。
枝を、クイッと引っ張られる。
「あ……、あ、はい。わかった」
手を繋ぐ代わりに、逸れないように小枝で確保された感じ。
私は彼に連れられるまま、砂浜を歩き始めた。
どこへ連れていかれるんだろうなんて事は、まったく頭になかった。
妹にされた事が、あまりにショックで。
どぷぅ~んッ!
ゴポポポポポポ……
「!」
青い海が私を呑み込んで、青い海はあっという間に黒い海になって、私は息苦しさと恐怖と哀しみで気絶した。
そして目覚めると、燦燦と降り注ぐ太陽……
「……」
あ、砂浜に寝てる。
「ゴホッ!」
んで、海水を吐いた。
「!」
そして私以外に人がいた。
小麦色の肌の逞しい青年は、海水で全身びしょびしょ。
私をサッと起こして、背中を摩って軽く叩いて、噎せるのが落ち着いた頃にまたサッと革袋を渡してくる。
「(ありがと)」
と、手振りで感謝を伝え、革袋の中を覗いてみた。
水だった。
少し目をあげると、南国風のジャミジャミした樹皮の木の幹に細い鉄の管が刺さっていて、そこから水がチョロチョロ出ている。
小麦色の彼は、飲み水を用意してくれたのだ。
頂いた。
「はふっ」
「……」
「……ありがとう。私、溺れて……」
言葉が通じていないのかもしれない。
南国風の樹皮の木や、小麦色の肌の青年、それにこの砂浜。
ここはたぶん、南国。
ゾッポ王国。
あと私、自分の妹に殺されかけた。
「うっ……!」
悲しい事実を思い出して、私は嗚咽を洩らし、顔を覆って泣いてしまった。
小麦色の青年は私を気遣って、背中を摩ってくれたり、バナナをもいで来てくれたり、可愛い砂のお城を作って和ませてくれたりした。
優しい……
優しさが、身に沁みた。
「あ、ありがとう……私……」
私のヒマワリ色のカクテルドレスが、それほど傷んでないまま足に纏わりついているのを見て、また泣けた。
私は幸せなんだと思ってた。
だけど、全部壊れてしまった。
結婚したのに……
「私……これからどうすればいいの……っ」
小麦色の青年が無口なのもあって、私は堂々と独り言を洩らしていた。
南国ゾッポ王国まで、船で半日。
けっこう近い。
一番近い外国。
ゾッポ産の果物はみんな大好き。
「……っ」
帰ろうと思えば、帰れるんだろうけど……。
妹の狡猾で煌びやかな笑顔が、蘇る。
帰れない。
悲しいし、もしまた顔を合わせたら、今度はなにをされるかわからない。
泣いていると、小麦色の青年が立って、ちょっと木のほうへ行って、小枝を拾って戻って来て、私の肩を指先で軽く叩いた。立つように促されたのだ。
「ん……?」
すすり泣きながら立った私に、小麦色の青年は小枝を差し出した。
「……」
武器?
わからないけれど、差し出されたので、ひとまず、先端を掴む。
すると小麦色の青年は優しい笑顔を見せた。
枝を、クイッと引っ張られる。
「あ……、あ、はい。わかった」
手を繋ぐ代わりに、逸れないように小枝で確保された感じ。
私は彼に連れられるまま、砂浜を歩き始めた。
どこへ連れていかれるんだろうなんて事は、まったく頭になかった。
妹にされた事が、あまりにショックで。
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