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6 愛の名は図書館
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「結婚してください」
「……はい!」
即答できなかったのは、感動したからよ。
「ああ、ありがとう! 一緒に生きていこう!! こんな素晴らしい場所を離れるのは辛いだろう? 王立図書館なんだから! 国王陛下の足元には及ばないかもしれないけど、君のために図書館を建てるよ!!」
「まあ……ッ!!」
感動して、泣いた。
本の話だけでなく、日常生活でも私たちは気が合った。
食の好みがほぼ同じ、衣服は品があり簡素なものが好き、賭け事は嫌い、そして下戸。ナイス。
「愛してるよ、ファニー」
彼は言葉通りの夫になった。
知的ながら大らかな笑顔、優しい声、それに、こどもが産まれると優しいパパに。爵位を継承してからは、よい領主に。
彼は大学を建てた。
私の名を持つ図書館の傍には、女学院を。
愛と知に溢れた、幸せな日々。
そして……
*
「ファニーの像よ! ふぅん、思ったより可愛い感じね」
「ちょっと、仮にも学者を目指してるんでしょう!? ホフマンスヴァルダウ夫人と呼びなさいよ」
「長いし、今も綴を覚えられない。よく合格できたわね」
「ハッ! 暗記もできないなんて」
「言っとくけど、私はファニー図書館の愛の物語に感動して進学したの。学者になれなきゃロマンス作家になるからいいの!」
「だから『カルドーネの端』の初版本にこだわっていたんだ。ははぁーん! 化けの皮が剥がれたわね!!」
「黙れダサおさげ!!」
「二人とも喧嘩しないで! 綴なんか忘れたってコピペでいいし、あなたは髪染めて全身脱毛すればモテるわよ! いいから撮ろう? いくよー。3、2、1……」
輝かしい未来を拓く乙女たちへ、祝福あれ。
(終)
「……はい!」
即答できなかったのは、感動したからよ。
「ああ、ありがとう! 一緒に生きていこう!! こんな素晴らしい場所を離れるのは辛いだろう? 王立図書館なんだから! 国王陛下の足元には及ばないかもしれないけど、君のために図書館を建てるよ!!」
「まあ……ッ!!」
感動して、泣いた。
本の話だけでなく、日常生活でも私たちは気が合った。
食の好みがほぼ同じ、衣服は品があり簡素なものが好き、賭け事は嫌い、そして下戸。ナイス。
「愛してるよ、ファニー」
彼は言葉通りの夫になった。
知的ながら大らかな笑顔、優しい声、それに、こどもが産まれると優しいパパに。爵位を継承してからは、よい領主に。
彼は大学を建てた。
私の名を持つ図書館の傍には、女学院を。
愛と知に溢れた、幸せな日々。
そして……
*
「ファニーの像よ! ふぅん、思ったより可愛い感じね」
「ちょっと、仮にも学者を目指してるんでしょう!? ホフマンスヴァルダウ夫人と呼びなさいよ」
「長いし、今も綴を覚えられない。よく合格できたわね」
「ハッ! 暗記もできないなんて」
「言っとくけど、私はファニー図書館の愛の物語に感動して進学したの。学者になれなきゃロマンス作家になるからいいの!」
「だから『カルドーネの端』の初版本にこだわっていたんだ。ははぁーん! 化けの皮が剥がれたわね!!」
「黙れダサおさげ!!」
「二人とも喧嘩しないで! 綴なんか忘れたってコピペでいいし、あなたは髪染めて全身脱毛すればモテるわよ! いいから撮ろう? いくよー。3、2、1……」
輝かしい未来を拓く乙女たちへ、祝福あれ。
(終)
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