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ハッピーエンディング
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あれから僕達が手を組んで2年半。アレクサンドル王子への愛の叫びからは3年。長いようで、短かった。
1週間前の卒業パーティで無事に王子とローズの婚約破棄も済んだし、両家の両親にも結婚の許しを得たし、僕もこのままいけば、まだ仮だけど、ローズの婚約者になることができそうだ。
ソフィアも彼女なりに頑張ってくれた。
淑女のマナーはまだまだな感じだけど、学業は僕やアレクサンドル王子に次ぐ位置をキープしているし、学園でのポジションは、ヒロインの才能か、元来の親しみやすさを発揮し、なかなか人望も集めている。
仲良くなったお友達のご令嬢たちと慈善活動クラブも立ち上げてもらったし、いよいよ僕の計画も仕上げの時が来た。
―――そして、王宮の一室に戻る。
「これが僕の計画書です」
僕はアレクサンドル王子に、分厚い書類の束を差し出した。
「今、読ませてもらって、大丈夫か?」
最初の方をパラパラめくって確認していた王子が、パッと顔をあげて言ってきた。
僕は頷き、しばし別室に移動し、ソフィアとお茶を飲みながら、王子が読み終わるのを待つことになった。
「イヴァン、あの計画書には何が書いてあるの?」
「実はずっと考えていたんだけど、卒業してからも、ソフィアには学園で築いた慈善活動クラブを発展させてもらって、王国児童基金を設立し、恵まれない子供達に医療、教育、食事を提供するような活動を本格化してほしいと思ったいるんだ」
「……ユニセフ?」
「そう、それがモデル」
「でも、基金の資金源は?」
「しばらくは貴族の寄付金に頼ることになるだろうけど、王子には公営ギャンブルを提案した。馬だ」
「競馬?」
「戦後の日本も、復興の資金集めのために競馬が利用されていた。この世界に馬のレースの賭け事はまだないから、初の試みになる。王立競馬場の誕生だ。そこで得た儲けは、全て王国児童基金に回す」
僕は成功を確信していた。
王子も前々から、王都の孤児や貧民の子供達について気にかけていたらしく、僕の計画に乗ってくれることになった。
そして、僕のこの計画は順調に進み、ソフィアはカリスマ妃としてのポジションを着々と築くことになる。
―――1年後。
「べ、ベルローズ様がお姉様?」
「ソフィア様、よろしくお願いしますわね」
ローズがニッコリ笑って、ソフィアの両手を握る。
ソフィアは目をパチクリしている。
今日はオルレイン公爵家に、ソフィアを招いてもらった。
ソフィアの後見人は、実はローズの父であるオルレイン公爵にお願いした。ソフィアと養子縁組してもらい、そこから王子に輿入れしてもらう。
王子とベルローズとの婚約が円満に破棄されたことをアピールすることができるし、アレクサンドル王子の結婚が決まらないと、僕らの婚約も進まないから、僕はオルレイン公爵の説得を頑張った。
「足りない淑女教育は、これからはローズに学ぶといいよ。ローズには僕からこれまでの話を説明しておいたから。……それと、僕の前世の記憶の話もさせてもらった」
ソフィアはアレクサンドル王子に言うつもりはないようだが、結局、僕は全部話してしまった。
彼女には、僕の全てを理解してもらいたかったから。
「お陰様で、悪役令嬢とやらにはならなくて済みましたわ。イヴァンと貴女のあの面倒そうな掛け合いが、
全て演技だったなんて、驚きましたけど。今、思えばなかなか息ピッタリでしたものね」
クスクスとローズが笑う。
「それにしても、ソフィアが将来の僕の義妹だなんて、不思議だな。まぁ、前から妹みたいな奴とは思っていたけど」
僕はまた前世の妹にしていたように、ソフィアの頭をガシガシ撫でた。
「よろしくお願いしますねっ、お兄様」
ソフィアが頭を押さえて、嬉しそうに上目遣いに僕を見た。
「イヴァン! 女性に対して、髪を馴れ馴れしく触るのはマナー違反ですわよ! アレクサンドル様には嫉妬しませんでしたけど、イヴァンに関しては、私、嫉妬深いですわよ! 私、これからソフィア様に何をするか分かりませんわよ」
腕を組んで、仁王立ちのローズに睨まれた。
「そっ、それは困る!」
口ではそう言いつつ、嫉妬されるのは何だか嬉しい。それだけ僕を愛してくれてるってことでしょ?
僕はローズをぎゅっと抱き寄せた。
「イヴァン、口元がにやけてますよ。本当にベルローズ様が大好きなんですねぇ」
ソフィアに呆れられた。
「当たり前だろう。ローズのためなら、僕は何だってするよ。何だってね」
そう言って、ローズの唇に軽くキスを落とした。
1週間前の卒業パーティで無事に王子とローズの婚約破棄も済んだし、両家の両親にも結婚の許しを得たし、僕もこのままいけば、まだ仮だけど、ローズの婚約者になることができそうだ。
ソフィアも彼女なりに頑張ってくれた。
淑女のマナーはまだまだな感じだけど、学業は僕やアレクサンドル王子に次ぐ位置をキープしているし、学園でのポジションは、ヒロインの才能か、元来の親しみやすさを発揮し、なかなか人望も集めている。
仲良くなったお友達のご令嬢たちと慈善活動クラブも立ち上げてもらったし、いよいよ僕の計画も仕上げの時が来た。
―――そして、王宮の一室に戻る。
「これが僕の計画書です」
僕はアレクサンドル王子に、分厚い書類の束を差し出した。
「今、読ませてもらって、大丈夫か?」
最初の方をパラパラめくって確認していた王子が、パッと顔をあげて言ってきた。
僕は頷き、しばし別室に移動し、ソフィアとお茶を飲みながら、王子が読み終わるのを待つことになった。
「イヴァン、あの計画書には何が書いてあるの?」
「実はずっと考えていたんだけど、卒業してからも、ソフィアには学園で築いた慈善活動クラブを発展させてもらって、王国児童基金を設立し、恵まれない子供達に医療、教育、食事を提供するような活動を本格化してほしいと思ったいるんだ」
「……ユニセフ?」
「そう、それがモデル」
「でも、基金の資金源は?」
「しばらくは貴族の寄付金に頼ることになるだろうけど、王子には公営ギャンブルを提案した。馬だ」
「競馬?」
「戦後の日本も、復興の資金集めのために競馬が利用されていた。この世界に馬のレースの賭け事はまだないから、初の試みになる。王立競馬場の誕生だ。そこで得た儲けは、全て王国児童基金に回す」
僕は成功を確信していた。
王子も前々から、王都の孤児や貧民の子供達について気にかけていたらしく、僕の計画に乗ってくれることになった。
そして、僕のこの計画は順調に進み、ソフィアはカリスマ妃としてのポジションを着々と築くことになる。
―――1年後。
「べ、ベルローズ様がお姉様?」
「ソフィア様、よろしくお願いしますわね」
ローズがニッコリ笑って、ソフィアの両手を握る。
ソフィアは目をパチクリしている。
今日はオルレイン公爵家に、ソフィアを招いてもらった。
ソフィアの後見人は、実はローズの父であるオルレイン公爵にお願いした。ソフィアと養子縁組してもらい、そこから王子に輿入れしてもらう。
王子とベルローズとの婚約が円満に破棄されたことをアピールすることができるし、アレクサンドル王子の結婚が決まらないと、僕らの婚約も進まないから、僕はオルレイン公爵の説得を頑張った。
「足りない淑女教育は、これからはローズに学ぶといいよ。ローズには僕からこれまでの話を説明しておいたから。……それと、僕の前世の記憶の話もさせてもらった」
ソフィアはアレクサンドル王子に言うつもりはないようだが、結局、僕は全部話してしまった。
彼女には、僕の全てを理解してもらいたかったから。
「お陰様で、悪役令嬢とやらにはならなくて済みましたわ。イヴァンと貴女のあの面倒そうな掛け合いが、
全て演技だったなんて、驚きましたけど。今、思えばなかなか息ピッタリでしたものね」
クスクスとローズが笑う。
「それにしても、ソフィアが将来の僕の義妹だなんて、不思議だな。まぁ、前から妹みたいな奴とは思っていたけど」
僕はまた前世の妹にしていたように、ソフィアの頭をガシガシ撫でた。
「よろしくお願いしますねっ、お兄様」
ソフィアが頭を押さえて、嬉しそうに上目遣いに僕を見た。
「イヴァン! 女性に対して、髪を馴れ馴れしく触るのはマナー違反ですわよ! アレクサンドル様には嫉妬しませんでしたけど、イヴァンに関しては、私、嫉妬深いですわよ! 私、これからソフィア様に何をするか分かりませんわよ」
腕を組んで、仁王立ちのローズに睨まれた。
「そっ、それは困る!」
口ではそう言いつつ、嫉妬されるのは何だか嬉しい。それだけ僕を愛してくれてるってことでしょ?
僕はローズをぎゅっと抱き寄せた。
「イヴァン、口元がにやけてますよ。本当にベルローズ様が大好きなんですねぇ」
ソフィアに呆れられた。
「当たり前だろう。ローズのためなら、僕は何だってするよ。何だってね」
そう言って、ローズの唇に軽くキスを落とした。
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