夜の迎え屋、助手席の女たち
運ばれるのは、身体か、心か。それとも、誰にも言えない夜の記憶か。
北新地、ミナミ、梅田—— 夜の街を縫うように走る送迎ドライバー・神原誠司(31)は、キャバクラやクラブで働く女たちと“直接契約”を結ぶ、少し風変わりな存在。 彼の助手席に乗る女たちは、誰もが何かを抱えている。 ホストに心を預けた者。親の借金を背負う者。夢を諦めきれずに夜を選んだ者。愛を求めて壊れかけている者——。
送迎費は、その夜の売上次第。稼げば高く、稼げなければ無料。 「神原に抱かれた女は、なぜか売れる」——そんな噂が、夜の街に静かに広がっていく。 やがて彼の助手席は、ただの移動手段ではなく、心の揺れが交差する“特別な場所”になっていく。
だが、神原自身は誰にも心を預けない。 3年前、妹が巻き込まれた交通事故——植物状態となった彼女の入院費を稼ぐため、彼は夜を走り続ける。 目を覚ますことのない妹に、ただ静かに語りかけながら。
助手席で交わされる、欲望と後悔、嘘と本音。 これは、夜の街を走る車の中で、ほんの少しだけ心をほどいてしまった女たちと、 そのすべてを見届ける男の、静かで切ない群像劇。
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