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11話

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あの女子生徒と話をしようとしてから、早いもので一ヶ月が経過した。
あれからも何件か商会の娘や息子にあってみたものの、詳しい話を聞く人間すら現れなかったので、仕方無く私が商会を立ち上げ、名前は『何でも屋商会』にした。

書類を提出するときに、商会の名前を見て役人が変な顔をしていたが、気にしなかった。
因みに、初期の従業員は、私を除いてフィーナだけだった。

そして、『何でも屋商会』の初仕事は、フロービス伯爵領で行われる予定だった貯水湖の整備。
その整備をおおよそ1日で終わらせた。
その事が話題となり、多少だが従業員と仕事が出来た。

そして、今はまた学園に投稿している。
今は昼休みだが、周りの視線が鬱陶しい。

「はぁ~、鬱陶しい」

「ローニャ様、口調が悪いですよ。もう少し取り繕って下さい」

「だって今私達を見てる奴らって、大体は私の案すら聞かずに却下したのに、今更擦り寄ってくる奴らだよ?それなら口調だって、乱れるよ」

私がそう言うと、フィーナは苦笑いをした。
だが、実際にその通りなのだから仕方無い。


それに私に擦り寄ってくるのは、『何でも屋商会』は魔眼所持者、特に強い魔眼や珍しい系統の魔眼所持者達に諸手を上げて歓迎されていた影響もあるだろう。

これは強い魔眼所持者は軍に入って欲しいという国と自分も雇いたいという貴族、更に強い人間になりえる人材を常に欲しているハンターや傭兵達に、しつこく勧誘されて魔眼所持者達は疲れているからだろう。

『何でも屋商会』では基本的に、魔眼所持者である事が雇う条件になっていて、どんな立場の人間でも犯罪者でないなら、どんな人間でも受け入れている。

ただ、商会に入る前には、どんな立場でも捨てさせているけど。
例えば、私が立ち上げてから雇った一番偉い立場の人間は、王国の魔法副大臣(37歳の子爵家当主)だ。

魔法副大臣は虹色の魔眼所持者であり、使える魔法は土魔法だ。
元平民の彼だが、土魔法は魔法の中でも、農地開拓や農業に有用性があり、そこかしこから勧誘が来ていたらしい。
それでも国や貴族の所では働きたくないと全て断ったものの、その後の就職先が王国の圧力により決まらず、諦めて魔法省に入った経緯がある。
というか面接した時に、これまでの鬱憤を晴らさんばかりに国や職場に対する愚痴と、奥さんの惚気を聞かされた。

今は副大臣であり、上げた功績により子爵の位を持っているが、それでも元平民という事で、職場では休む間もなく仕事を回されていたらしい。
それでも頑張って働いていたのは、奥さんが元々男爵家の娘で、仕事を辞めるだけならまだしも、領地も持っていないので収入が消えるのはキツイと思ってらしい。

そんな時に、私の商会の宣伝を見て応募してきたのだ。

因みに、私が行った宣伝は『集え魔眼所持者達よ!!好きに生きれずして、何が人生か!!好きに生きるために、商会員となるのだ!!』だけだ。
一応、その宣伝広告と共に、『1ヶ月に1度は魔法による仕事をしてもらう予定あり』とも宣伝をした。

これが思っていたよりも魔眼所持者達に刺さったらしく、強い魔眼所持者が私とフィーナを除いて8人、珍しい系統の魔眼所持者が2人程が商会員になってくれた。
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