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44話
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アリアに今回の王命に関しての説明をしている内に、今回の王命に関しての驚きは薄れていっていた。
しかし、あまりのタイミングの良さに、国王は未来を知る魔眼の所持者又はその所持者を手中に収めていると、確信してしまっている自分が居た。
何故なら、アリアを拾ったのは偶々だし、アリアを見つけた理由は『何でも屋商会』に行く道がアリアが処刑されようとしていた場所と被っていただけ。
更に、王城の呼出し直後のこの日に、いくら呼び出されない事を確信していても『何でも屋商会』に足を運ぶのは予想出来ない筈なのだ。
それなのに王命が書かれている命令書を、教会の枢機卿に渡し、その命令書を渡された枢機卿本人が私に接触するまでが早すぎる。
また仮に枢機卿と国王が今日の朝一番で面会してから、枢機卿が私を探し当てるまでの時間が、ぎりぎりお昼前とも言えるような時間帯である今に至るまでにあるとは思えない。
何故なら王城には入る際にも、出る際にも身分に関係なく、身体検査が義務付けられる為、朝一番で入っても昼前にしか王城は出られない。
つまり、この命令書は今日書かれたものではなく、昨日以前に書かれたもの。
仮に昨日の謁見の際に渡す予定の物だったとしても、私達が王城を後にする時点では枢機卿は登城していなかったので、私達が帰った後にしか渡せない筈。
これらの事を踏まえると、この命令書は2日前には既に枢機卿が所持していたことになる。
その事を理解すると、自然にため息が漏れてしまった。
「これは、国王が何らかの形で未来を知れるのは確定かな。それが国王本人が知るのか、誰かが国王に教えているかは分からないけどね」
「ローニャ様、ここにはアリアも居るのですから、国王ではなく国王陛下と呼んだほうがいいと思いますよ」
「あぁ、確かにそうだね。国王じゃなくて、国王陛下だったね。アリア、今のは秘密ね」
「あ、はい」
アリアがいた事を思い出し、私が国王と呼んだ事を口止めした。
一応他の貴族の誰も聞いていない場所なら、国王陛下と呼ばなくとも問題ないけど、それが他の貴族に知られて面倒になりかねない。
まあ、私が死ぬまでには国王の座から引きずり落としてやりたいとは思っている。
方法は未定だけど。
そんな事を考えていると、フィーナが首を傾げながら、私に話しかけてきた。
「以前、国王陛下は未来を知る魔法を所持しているのではないかとお話したのは私ですが、実際の所はそこまで便利な魔法では無いのではないでしょうか?」
「便利ではない?確かに知れる未来がどれだけ先なのかは、消費魔力で左右されるけど、見える光景は鮮明だよ?」
「いえ、ローニャ様の仰る魔法は時間魔法、つまり時間を操り、先の未来を見る魔法です。
ですが、仮に国王陛下が所持している魔法は時間魔法ではない、未来を知れる魔法ならば昨日の王城の件を含めて、全ての辻褄が合いませんか?」
しかし、あまりのタイミングの良さに、国王は未来を知る魔眼の所持者又はその所持者を手中に収めていると、確信してしまっている自分が居た。
何故なら、アリアを拾ったのは偶々だし、アリアを見つけた理由は『何でも屋商会』に行く道がアリアが処刑されようとしていた場所と被っていただけ。
更に、王城の呼出し直後のこの日に、いくら呼び出されない事を確信していても『何でも屋商会』に足を運ぶのは予想出来ない筈なのだ。
それなのに王命が書かれている命令書を、教会の枢機卿に渡し、その命令書を渡された枢機卿本人が私に接触するまでが早すぎる。
また仮に枢機卿と国王が今日の朝一番で面会してから、枢機卿が私を探し当てるまでの時間が、ぎりぎりお昼前とも言えるような時間帯である今に至るまでにあるとは思えない。
何故なら王城には入る際にも、出る際にも身分に関係なく、身体検査が義務付けられる為、朝一番で入っても昼前にしか王城は出られない。
つまり、この命令書は今日書かれたものではなく、昨日以前に書かれたもの。
仮に昨日の謁見の際に渡す予定の物だったとしても、私達が王城を後にする時点では枢機卿は登城していなかったので、私達が帰った後にしか渡せない筈。
これらの事を踏まえると、この命令書は2日前には既に枢機卿が所持していたことになる。
その事を理解すると、自然にため息が漏れてしまった。
「これは、国王が何らかの形で未来を知れるのは確定かな。それが国王本人が知るのか、誰かが国王に教えているかは分からないけどね」
「ローニャ様、ここにはアリアも居るのですから、国王ではなく国王陛下と呼んだほうがいいと思いますよ」
「あぁ、確かにそうだね。国王じゃなくて、国王陛下だったね。アリア、今のは秘密ね」
「あ、はい」
アリアがいた事を思い出し、私が国王と呼んだ事を口止めした。
一応他の貴族の誰も聞いていない場所なら、国王陛下と呼ばなくとも問題ないけど、それが他の貴族に知られて面倒になりかねない。
まあ、私が死ぬまでには国王の座から引きずり落としてやりたいとは思っている。
方法は未定だけど。
そんな事を考えていると、フィーナが首を傾げながら、私に話しかけてきた。
「以前、国王陛下は未来を知る魔法を所持しているのではないかとお話したのは私ですが、実際の所はそこまで便利な魔法では無いのではないでしょうか?」
「便利ではない?確かに知れる未来がどれだけ先なのかは、消費魔力で左右されるけど、見える光景は鮮明だよ?」
「いえ、ローニャ様の仰る魔法は時間魔法、つまり時間を操り、先の未来を見る魔法です。
ですが、仮に国王陛下が所持している魔法は時間魔法ではない、未来を知れる魔法ならば昨日の王城の件を含めて、全ての辻褄が合いませんか?」
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