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50話

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「はぁ~、防衛大臣のくせに狸だね」

私は確実に聞こえない程、防衛大臣が離れた事を確認してため息をついた。
私のため息にフィーナは目を瞑り、言葉に出さず同意したように見えた。

固まっていたアリアは、ようやく動き出し私に「どういう事ですか!?」と聞いてきた。
元々アリアに、「王城では私を伯爵家当主として扱うように」と教えていたので、詰め寄っては来なかったのだろう。

でなければ詰め寄って来てもおかしくはないほどに、驚いている顔をしていた。
そんなアリアに、黙って防衛大臣に案内を頼んだ事を少しだけ気まずく思いながら説明した。

「私とフィーナは国王陛下への謁見にきたのよ?流石に黒色の魔眼所持者であっても同席出来ないわ。

でも、一人にしておくのは危険過ぎる。だから王城の中でも最も安全とも言える防衛大臣の側に居て貰おうと思ったのよ」

「あう、でも、大臣様に失礼をがしたら処刑されちゃうんじゃ」

「素が出てるわよ、アリア。安心なさい、不敬程度では殺されないわよ。流石に暗殺でも仕掛けたら殺されるけど、そんな事はしないでしょ?」

私の言葉を聞いたアリアは、何度も首を縦に振っていた。


それからはアリアに軽く王城に関する説明をし、それから第一訓練場に送った。
正直言うとアリアを取り込む気の防衛大臣に任せるは、総取りが出来なくなる可能性があるので避けたかった。
しかし、取り込む気がある防衛大臣だからこそ、アリアを他の貴族や王家からも守ってくれるだろう。

守って貰う本人であるアリアは、私達が離れる時に泣きそうになっていたので、伯爵家当主である私には気を許していた部分もあるのだと思いたい。

そんな事を考えつつ、私達は国王が待っている部屋へと辿り着いた。
私達を案内していた騎士2人と執事1人は、私達に「こちらのお部屋で陛下がお待ちです」と言うと頭を下げてから、執事が扉をノックした。

「フロービス伯爵家当主、ローニャ・フロービス様並びに騎士フィーナ殿がお越しになりました」

「通せ」

部屋の中から国王の声で入室の許可が出ると、執事は騎士に目線で合図をし、扉を開けさせた。
王族全員で待ち構えているだろうと思っていた私は、中に国王しか居ないことに驚き、一瞬目を見開いた。

その間に国王は騎士と執事を部屋の外に下がらせ、部屋の扉を閉めさせた。
扉を閉め終わると、国王が口を開いた。

「この場での会話は、この場にいる人間以外には漏れないので、気を張る必要はない。

早速本題に入りたいが、本題に入る前に、腰掛けてくれ」

私とフィーナが、護衛すら付けずに私達と話そうとしている国王の姿勢に驚いている間に、国王は自身が座っている椅子に対面する形で置いてあるソファーに座る様に言ってきた。
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