上 下
138 / 188
3章後半 『終わり』編

137話(フィーナ視点)

しおりを挟む
言葉を止めてから、あの時の2人の正常では無いだろう状態をローニャ様が知らないのを思い出した。

更に、ここ何処なのだろう。
私は白い階段が塞がれた扉の前にいた筈。

仮に、その場所に居たとしても、この場にあの2人が居ない時点で、少なくとも私が意識を失っている間に2人から引き離されたのか、2人を引き離したのか。

しかし、もしも、もしも最悪な場合の想像するとしたら、私が意識を失っている間に、あの時の2人の様に味方を攻撃を仕掛けていたとしたら。
私は心臓がうるさく音を立てるのを聞きながら、最悪な場合を口に出した。

「もしも私がローニャ様に攻撃をしていたら?」

口に出した瞬間、体に鳥肌が立った。

怖かった。
違うと思いたかったし、その証拠はない以上は違うだろうと思う。
でも、もしも敵に相手を操るすべがあったら、その最悪は現実となる。

悪い想像だけが頭の中をぐるぐると周り、私は動けなくなってしまった。
そんな時、ローニャ様の顔が目に入った。
ローニャ様はまだ顔色が悪く、呼吸も荒かった。

そんなローニャ様を見て、目が覚めた気がした。

(そうだ、ローニャ様は私を嫌わないと、何度でもお礼を言うと言って下さった。例え、今回の事で嫌われても、ここでローニャ様を守り抜くのは当たり前。

そして、ローニャ様を今守れるのは私だけ。なら、私がローニャ様を守り抜かなくて、誰がローニャ様を守るのか)

私はそう考えて、一度深呼吸をした。

「はぁ、ふぅ~。そうだ、私がローニャ様を守り抜くんだ」

そう呟くと、頭が今までで一番スッキリとした。

この場での最大の問題は、今の詳しい状況が分からない事。
特に、このこの氷の城の周りに、どれだけの強さの敵が、どれだけ居るのか分からないのが一番怖い。

仮にローニャ様を背後に庇い、ここで籠城戦をするとしても、氷の城が破壊されば、そこで詰んでしまう。

仮にローニャ様を私が背負って、敵に突撃しても数が圧倒的に多かったり、私よりも強ければローニャ様を殺してしまう。

仮にローニャ様をここに残し、私が1人で敵に突撃したとしたら、敵が私を無視してローニャ様に攻撃をした場合はローニャ様を殺してしまう。

ここから取れる行動が少な過ぎる。
下手な行動は取れない。
それなら、確実にローニャ様の安全を確保できる手段は?

『身体強化』魔法をローニャ様に掛けられるか試してみる?
いや、成功した所で、『身体強化』魔法は元の身体能力が基礎となる性質上、どうしても体の柔らかい部分が弱くなる。

それなら封印魔法は、どうだろうか。
ローニャ様が居る、この場所を封印する事で、この場所に入れなくする。

いや、それは封印の範囲が広すぎて、魔力切れが早くなる。
封印魔法は便利であるが、時間魔法や支配魔法と同様に、効果範囲を小さくしなければ、際限なく消費魔力が多くなってしまう。
しおりを挟む
1 / 3

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

何でも屋始めました!常にお金がないのでどんなご依頼でも引き受けます!

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:17,921pt お気に入り:450

公爵家の末っ子娘は嘲笑う

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:1,483pt お気に入り:4,889

夫の愛人が訪ねてきました

恋愛 / 完結 24h.ポイント:83,261pt お気に入り:738

処理中です...