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【閑話】○○しないと出られない部屋(ラファ×ギル)
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「魔法草の鉢植えを壊した……って聞きましたけど」
ラファエルは仕方ないように手を下ろし、改めてギルベルトに声をかけた。
部屋にはベッドやテーブルセットが置いてあり、狭いながらもゲストルームとしても使えそうな設備が整えられていた。まぁ、今だけで言うなら、軟禁室という方が正しい気もするが。
そんな状況で、気がつくとギルベルトは悠長にテーブルに用意されていたお茶と焼き菓子に手を付けていた。
「どういうことなんです?」
ラファエルは頭が痛くなるのを感じながら、ギルベルトの方へと歩いて行く。
いまのところ、外界との連絡手段も見つからないし、どうすれば出られるのかも分からない。このままでは、アンリの機嫌が直るまでずっとこのままかもしれない。
……このギルベルトのせいで。
ギルベルトはかじって割ったクッキーをくわえたまま、開き直るように言った。
「勝手に壊れたんだよ」
「勝手に?」
「そう。鉢が勝手に飛んでって……」
「ばかなんですか」
いえ、知ってましたけど。
子供でももっとましな言い訳しますからね。
ラファエルは諦めたように正面の席に腰を下ろすと、まるで最初からその予定だったかのように、目の前に置かれていた二つ目のカップを手に取った。魔法のせいだろうか、まったく冷めた感じのない、温かなハーブティの香りが鼻腔を擽る。
「俺は悪くない」
ギルベルトは相変わらず不遜な態度で言葉を重ねた。
* *
風や太陽光に当てるため、アンリの家では今日、サンルームに置いてあった鉢植えの大半が庭に出してあった。
そのいくつかを、ギルベルトが壊したのだ。
昨夜、ギルベルトは一人の男をナンパして、そのまま近くの宿で飲んでいた。もちろん、ほどよく酔わせた後には別の意味でも楽しむ予定で。
なのに気がついたときにはギルベルトの方が先に酔い潰れていて、そのまま朝を迎えてしまった。
しかも、目が覚めたらそこに相手の姿はなく――それどころか、ギルベルトの有り金も全て消えていた。
もともとギルベルトは酒に強い方ではない。しかし、それにしても昨夜は潰れるのが早すぎた。きっと薬でも盛られたに違いない。
要はかもられたのだ。それに気付いたギルベルトは、むしゃくしゃして物に当たってしまった。
とはいえ、さすがにアンリの所有物に直接当たったわけじゃない。たまたま遠くから蹴飛ばした石や木の枝が、思ったよりも勢いよく飛んでしまい、結果、弾かれた小さな鉢植えが木の幹に当たって粉々になったのだ。他にもドミノ倒しのようになってしまったものもあった。
なんで鉢植えがあんな軽いんだよ……。あ、もしかして魔法の何か?
あれってもしかして、めちゃくちゃ大事なものだったりする?
固まったまま、しばし冴えない頭で考えていたギルベルトだったが、
「あ……つーか、ここってアンリの家――」
思い至ったギルベルトは、弾かれたように羽を出して飛び立とうとした。
もちろん、逃げるために。
だがそれも叶わなかった。その一部始終を屋根の上から見ていた青い鳥に現行犯で捕まったのだ。
ラファエルは仕方ないように手を下ろし、改めてギルベルトに声をかけた。
部屋にはベッドやテーブルセットが置いてあり、狭いながらもゲストルームとしても使えそうな設備が整えられていた。まぁ、今だけで言うなら、軟禁室という方が正しい気もするが。
そんな状況で、気がつくとギルベルトは悠長にテーブルに用意されていたお茶と焼き菓子に手を付けていた。
「どういうことなんです?」
ラファエルは頭が痛くなるのを感じながら、ギルベルトの方へと歩いて行く。
いまのところ、外界との連絡手段も見つからないし、どうすれば出られるのかも分からない。このままでは、アンリの機嫌が直るまでずっとこのままかもしれない。
……このギルベルトのせいで。
ギルベルトはかじって割ったクッキーをくわえたまま、開き直るように言った。
「勝手に壊れたんだよ」
「勝手に?」
「そう。鉢が勝手に飛んでって……」
「ばかなんですか」
いえ、知ってましたけど。
子供でももっとましな言い訳しますからね。
ラファエルは諦めたように正面の席に腰を下ろすと、まるで最初からその予定だったかのように、目の前に置かれていた二つ目のカップを手に取った。魔法のせいだろうか、まったく冷めた感じのない、温かなハーブティの香りが鼻腔を擽る。
「俺は悪くない」
ギルベルトは相変わらず不遜な態度で言葉を重ねた。
* *
風や太陽光に当てるため、アンリの家では今日、サンルームに置いてあった鉢植えの大半が庭に出してあった。
そのいくつかを、ギルベルトが壊したのだ。
昨夜、ギルベルトは一人の男をナンパして、そのまま近くの宿で飲んでいた。もちろん、ほどよく酔わせた後には別の意味でも楽しむ予定で。
なのに気がついたときにはギルベルトの方が先に酔い潰れていて、そのまま朝を迎えてしまった。
しかも、目が覚めたらそこに相手の姿はなく――それどころか、ギルベルトの有り金も全て消えていた。
もともとギルベルトは酒に強い方ではない。しかし、それにしても昨夜は潰れるのが早すぎた。きっと薬でも盛られたに違いない。
要はかもられたのだ。それに気付いたギルベルトは、むしゃくしゃして物に当たってしまった。
とはいえ、さすがにアンリの所有物に直接当たったわけじゃない。たまたま遠くから蹴飛ばした石や木の枝が、思ったよりも勢いよく飛んでしまい、結果、弾かれた小さな鉢植えが木の幹に当たって粉々になったのだ。他にもドミノ倒しのようになってしまったものもあった。
なんで鉢植えがあんな軽いんだよ……。あ、もしかして魔法の何か?
あれってもしかして、めちゃくちゃ大事なものだったりする?
固まったまま、しばし冴えない頭で考えていたギルベルトだったが、
「あ……つーか、ここってアンリの家――」
思い至ったギルベルトは、弾かれたように羽を出して飛び立とうとした。
もちろん、逃げるために。
だがそれも叶わなかった。その一部始終を屋根の上から見ていた青い鳥に現行犯で捕まったのだ。
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