伯爵令嬢は五度目の人生で流浪の歌歌いとなる

 *内容紹介の一番下必読です。

「もし、私がもう一度、私として生きられるのなら。
 その時は、美しい音楽に溺れて死にたいわ。
 花が突然咲き誇るような、鮮血のような紅が乱れ狂うような、激しい雷に胸を打たれるような。そんな芸術的な音楽に包まれて死にたいの。だって音楽は美しいわ。私から何もかも奪い去って、魂だけにさせてくれる。
 だからエリカ、お休みなさい。
 ──今度こそ、私に愛される人になってね」


「ああ、僕の可愛いトロヴァトーレ。
 君は死の間際まで狂人だね。そんなところも素敵だ。
 良いよ、叶えてあげよう。だから今はお休み。
 いつかまた、次の僕と出会う日が来たら。
 ──今度こそ、その僕を愛してくれ」




 私はトロヴァトーレ・フォン・オルグイユ。10歳!
 死にたくなるほど音楽が好きな、何処にでもいる伯爵家の娘です。私がこの人生を歩むのは、今回で5度目になりました。いえーい、私すごーい!

 ……ああもう、今すぐにでも死にたい。
 毎回毎回隣国のエリカ王子に死ぬまで愛されて、何度も何度もソイツの魔法にかかり、強制的に人生のやり直しを食らいました。私の心はボロボロです。これでも、今まで頑張ってきたんですよ? どうにかエリカ王子を懐柔しようとしたり、お父様に助けを求めたり。
 まぁ全部ダメだったから、今ここに居るんですけどね!

 そんなこんなで、流石に私、考えました。
 クソほど目立つオルグイユ伯爵家に居るから、あんな駄王子に見つかってしまうんだ、と。そしたら私がやる事は一つでしょ?



「お父様。トロヴァトーレは、世界を股にかける歌歌いになりますわ!」




*主人公が愉快な仲間と一緒に世界を旅する話
*表紙はフリー画像サイト「ぱくたそ」様からお借りしました。
*井崎しずくが書いている同名の小説があると思うんですけど、そちらは衝動でアカウントごと退会してしまったので、こちらで書き直しました。すみません……。
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