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第1章 迷子の子狐とたまごサンド
18.隣人
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『護堂君!』
家の前まで坂道を登って来た所で、私は声を掛けられた。
(まずい……)
その声には聞き覚えがあった。声のした方を見ると、予想通り隣の家に住むおばちゃんが手を振っていた。
苦手な人という事はではない。彼女自身はとても親切な人で、私が引っ越して来た当初から良くしていただいていた。
というのも、隣の西原さんのお宅とは叔父も交流があり、亡くなった旦那さんは町でホテルのシェフをしていて、叔父の数少ない友人だったそうなのだ。
私が一人であれば、彼女に遭遇する事は何も問題ない。
しかし、今此方はもじゃもじゃ頭の着物男とふわふわ毛玉の幼児と一緒なのである。
『こ、こんにちは!』
彼女にうちの神様の姿が見えない事は既にこれまでの経験で確認が出来ていた。しかし、子狐の方はどうだかまだ分からない。天太は霊感があるのでどちらにしろ見えただろう。
『ちょっといいかしら?』
そう言いながら、彼女は此方に近づいてくる。
もし見える場合は、私が何故異常な毛量の幼児を抱えたまま、家に帰ろうとしているかの説明が必要となる。色々と通報されそうな要素が満載だ。
見えていない場合は、何故私が何かを抱えているようなポーズをして固まっているのか疑問に思うだろう。どちらも面倒だが、こっちの方が幾らかマシかもしれない。
『ど、どうされましたか?』
逃げる事も出来ずに立ち尽くす私に、おばちゃんはにこにこと何かを持ってやって来た。
家の前まで坂道を登って来た所で、私は声を掛けられた。
(まずい……)
その声には聞き覚えがあった。声のした方を見ると、予想通り隣の家に住むおばちゃんが手を振っていた。
苦手な人という事はではない。彼女自身はとても親切な人で、私が引っ越して来た当初から良くしていただいていた。
というのも、隣の西原さんのお宅とは叔父も交流があり、亡くなった旦那さんは町でホテルのシェフをしていて、叔父の数少ない友人だったそうなのだ。
私が一人であれば、彼女に遭遇する事は何も問題ない。
しかし、今此方はもじゃもじゃ頭の着物男とふわふわ毛玉の幼児と一緒なのである。
『こ、こんにちは!』
彼女にうちの神様の姿が見えない事は既にこれまでの経験で確認が出来ていた。しかし、子狐の方はどうだかまだ分からない。天太は霊感があるのでどちらにしろ見えただろう。
『ちょっといいかしら?』
そう言いながら、彼女は此方に近づいてくる。
もし見える場合は、私が何故異常な毛量の幼児を抱えたまま、家に帰ろうとしているかの説明が必要となる。色々と通報されそうな要素が満載だ。
見えていない場合は、何故私が何かを抱えているようなポーズをして固まっているのか疑問に思うだろう。どちらも面倒だが、こっちの方が幾らかマシかもしれない。
『ど、どうされましたか?』
逃げる事も出来ずに立ち尽くす私に、おばちゃんはにこにこと何かを持ってやって来た。
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