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第1章

最初の授業で精霊?を捕まえました

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入学式の翌日
私は、昨日の反省を活かして、早起きをした。まだリオンが来ているかわからないなと思いながら、昨日会った場所まで行く。
「おはようルリ」
 声をかけてきたのは、リオンだ。昨日よりも断然早いのに……。
 私が不思議そうにしていたのか、リオンが答えてくれた。
「ルリは、昨日遅く来たから今日は早く来るだろうって思ってね」
ルリは基本同じミスは繰り返えさないだろと言った。
「いや、私だって、寝坊するときはするよ」
「それは、魔法関係で気になるものがあったから夜更かししてたとかだろ、昨日は学院があったからそんな時間とってないだろ?」
私の幼馴染は、私の生活習慣まで把握している…………。
おおむねリオンが言った通りだ。
「…………まあ、それだけじゃないけど」
リオンが何かぼそっと言ったけど聞こえなかった。
「え、何か言った?」
「ううん、なんでもない」
リオンは首を横に振った。
ただ、私が早く起きた本当の理由はまだ別にある。



魔法汽車に乗り、学院へと着いた。今朝乗った、魔法汽車は、昨日に比べてかなり空いていた。
 学院に着き教室を目指す。ただ、それまでの道のりで私たちは遠巻きに見られていることがあった。
「なんか、視線すごく感じる」
「ああ、だな」
リオンも周囲を見回している。教室に着いて、席に座るとクラスメイトの子たちがわらわらと私たちを取り囲む。
「ねえ、昨日の見てたよ!」
「水魔法すごかった!」
「そうそう、すごい魔法使ってたよね」
主に女子が、リオンの席を囲んでいる。その様子を見ていると胸が痛む。
私の周りには、男子が集ってきた。
まあ、当然か、リオンが女子に囲まれていたら、男子だって話しかけづらいだろう。当然私の元に男子が寄って来る。
「昨日の魔法よかったぞ!」
「名前は、ルリカっていうのか?」
「あのルクシア様の娘って本当なのか?」
一気に質問が来て私があたふたしながら答える。
「あ、ありがとう。私の名前は、ルリカ・マーリス。私は、娘だよ」
「でも、隣に座ってる金髪には、ルリって呼ばれていなかったか?」
「あいつとは、どういう関係なんだ?」
…………なんか、すごいたくさん質問が来る。しかもリオンの質問ばかり。やっぱりみんなリオンのことが気になるようだ。男子の勢いがすごくて、私は若干引き気味に答える。
「…………え、うん。私、リオンとは…………」
みんなが身を乗り出して聞いてくるので少し困り顔で答えていると、隣から椅子をガタッと音を立て勢いよく立ち上がったリオンがいた。
「おい、そこまでにしろ。ルリが困ってる」
最近では見ない、すごくイラついた顔をして言った。
「……少し出るぞ」
リオンが私の手をつかみスタスタと教室を出て行く。
「……おい、なんだよ。あれ……」
男子が明らかに不機嫌そうな顔をしている。そして、女子は私の方を睨んでいる。
「え……あ、ちょっと私まだ質問に…………」
少しだけ、リオンに抵抗するとさらに手首を強く握られる。
こうなったら、私の力じゃ振り解けない。観念してそのまま、ついていく。
教室を出て廊下を曲がり、人気のない所で手を離してくれた。
「ごめん、ルリ。見ていられなくなった」
私が困っていたからリオンが助けてくれたのだろう。
「ううん、ありがとう。正直、あんなに質問されて困ってたから」
私がお礼をいう。
しかし、リオンは複雑そうな顔をしている。今朝といいリオンがボソボソ声で喋っている。それを私は今度も聞き取れなかった。
「……あいつら、あのとき睨んで牽制しておいたのに」

その時私は、さっきの教室を思い出していた。ただ、さっきの女子たちの目が怖かった。私を連れ出すためにリオンが離れたから、怒ったのだろうか。ここでも私は、女子に嫌われて過ごすのかな………………。
町でリオンと歩いていると、女子の視線を感じるのだ。リオンに話しかける女子もリオンの前では、ニコニコと振る舞っているのに、リオンと話終わると私を睨みつけて去っていくのだ。心の中でため息をついてから、リオンに話しかける。
「そろそろ戻ろっか」
リオンと共に教室へと戻った。




私たちは、今最初の授業、精霊召喚のために大樹の森へと来ていた。
リセス先生が、私たちに最初の授業の説明をする。ただ、初日よりも口調が厳しい。授業になると、豹変するので話題だとか…………。
「もともと精霊召喚は、学院の裏にある森で召喚を行うことになっていたが、精霊の数が減ったためここで行うこととなった。前々から、ここを使うことを頼んでいたが、今回は、特別に応じてもらえた」
大樹の森の管理人は、私のお父さんだ。もともと断っていたのは、私が、ここを庭のように駆け回って遊んでいたからかもしれない。
「精霊召喚とは、名ばかりで、お前たちには自分が欲しい精霊を捕まえてもらう。ただし、自分よりも格上の精霊は捕まえることはできない、それを注意しておけ」
「えー」
みんなからは、不満が口々に出る。たしかに、私たちのイメージでは、魔法陣を書いて詠唱をすると、精霊が出て来るというイメージだが、実際は違うのだろうか。
「他の学院では、確かに魔法陣を使っている。しかし、クローバー魔法学院は違う。昔から、自分の相棒は自分で選ぶことになっている」
自分との相性も考えて選べと先生が最後に付け足した。
先生は、私たちに魔法陣が書かれた球体をそれぞれ一個ずつ配りあるいた。
「基本的に、精霊は見えないからな。それを持っていると見えるようになる。では、解散!」
合図で皆散らばっていく。精霊というのは、自分の魔法の効果を高めたり、一緒に戦ってくれる相棒だ。ここは慎重に選びたい。
「リオン、基本見えないらしいよ、精霊。なぜか私には見えるけど。リオンは?」
私は、リオンに言ってみた。私は、6歳の時にお父さんが見せてくれた頃ぐらいから、常時見えるようになっている。
「うん、俺もだな」
リオンも不思議そうな顔をしていた。
そこにリセス先生が、話しかけてきた。
「中には、見える人もいるそうですよ」
先生の口調が戻っている。
「そうなんですか。確か、僕の母さんも精霊が見えていると思います」
「リオンのお母さまは学長でしたね。あのお方なら、見えていてもおかしくはないですね」
先生は、朗らかに言った。
リオンのお母さんは、学長をしており、校長よりも高い地位にいる。学長は、学校の経営とクローバー島全体の管理をしている。5大魔法使いは、治安維持をしており、人の住まないクローバー島や大樹の森には、魔物の退治をするための管理者がいる。それが私のお父さんとリオンのお母さんがやっていることなのだ。
私たちは疑問が解決され、いざ、精霊探しへ出発!
私たちは、それぞれの精霊を探すためにここで別れる。
ここは、私たちにとっての庭なので勝手知ったる場所だ。
私は、精霊がよくいる場所である、池に向かう。
ガサガサと草木をかき分けながら進むと、少し開けた場所に出る。木々により日の光が遮られた場所から日の当たる場所に出たことで、一瞬目を閉じる。また、ゆっくりと目を開けると青色が目に飛び込んできた。透明で澄んでいる青い水池はそこに日の光があたり周りに水面が反射する。青い光が周りに散りばめられたような世界。そして精霊たちが気持ちよさそうにくつろいでいるのだ。やっぱりここはいつ見ても幻想的だ。…………とてもきれい。幻想的な風景を時間をかけて眺めていると水面の上を踊るようにひらひらと舞っている光の玉が見えた。
その時の私はあれが何かはわからなかった。けど、こんなきれいな場所に現れたそれを私は、無意識に追いかけていた。
……待って! ぼんやりと淡い光がだんだんと遠く離れていく。あれは……精霊? 考えている間にもどんどん離れていってしまう。一か八か私は咄嗟に無詠唱でその精霊を捕まえた。
 
――――精霊を捕まえるときは詠唱が必要だ。詠唱を唱えた後は、その精霊に首輪が付いているかどうかを確認しろ。もし、付いていなければそれは失敗だ。その精霊はお前らよりも格上か相性が良くなかったということだ。

確か、首輪が付いているって先生が……。私は、その場に留まっている、淡い光に近づいた。
「え!」
確かに首輪がはまって…………いる。しかし、私は目を丸くして驚いた。だって、これって…………精霊、なの。


 








 

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