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第四章
番4
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「フラン作るって言ったくせに、こんな良い匂いさせやがって。これヒートかよ」
「誠さんが可愛いくて、誰かにとられるって思ったら、誘発、されました。もう……制御が利きません」
目の前に投げ出された丸みを帯びた小ぶりの双丘。背中に走るえぐられた骨の線。浮き上がった肩甲骨。そのどれもが生方を奮い立たせるに十分だった。
奥まで深々と入れた指を、ゆっくりと腹側に曲げる。そのまま少しだけ入り口に引き出すと、ぷっくりと膨らんでいる場所があった。
さっさと挿れたい。そんな淫らな欲求に抗う様にバースへの抵抗を試みた。
オメガだから抱きたいのではない。
高雄だから、側に居たいし抱きたいのだ。
後ろからは危険だ。項が見えるそんな体勢噛んでくださいと言わんばかりだった。
こんな理性が飛んでる状態で、ヒートのオメガの匂いは、到底我慢なんかの利くものではない。
「凄い、高雄君、もうヌルヌルしてどんどん蜜が溢れてきているよ。こんなならローションなんかいらないな」
思わずそう口にした。
「うるさい……、良いから早く」
「挿れてほしいの? 俺のこと好きか?」
「だから、そうだって言ってる……、しつこい……ですよ」
「何度だって聞きたいさ」
「誠さん……」
「なんだ」
「そこにゴムが入っています、お願いつけてください」
「待てない」
「駄目ですよ……お願い」
三条の中は最高だった。生暖かなまったりとした温度と、しっけるようなねっとり感。キュッとしまる拘束感。
その瞬間、どす黒い何かが沸き上がった。
久しく感じたことのない感情。
いや、もしかしたら今迄一度も感じたことのない感情だったかもしれない。
自分の腕の中でアンアン泣いているこの可愛いオメガは、俺だけのオメガなのだろうか、という感情だった。
次第に三条の中が生方のペニスに吸い付き、いきなりの抽挿に喉が悲鳴を上げた。
オメガのヒートは感情ではコントロールできない。
番の子供を繁殖したい。ただそれだけを考えるようにほかの一切の欲求が消えていく。
「これ、どう……」
生方が三条の小さな突起をつまむと、ゆっくりと潰す様に力を込めた。
「あん」
鼻から抜ける甘い声に、生方のペニスが反応するよう。
「そんな声、ずっりー」
「んんんんん、んはぁ、誠さん、頂戴、奥、奥ーーーーー」
「あんま煽んなよ」
唇をかみしめ切れた端から血の味がした。
もう何も考えられなかった。
何度も腰を打ち付けた。
感情のコントロールが利かなくなるのを合図とするように、ペニスの根元に瘤が出来抜けなくなった。
「無理無理ぃ、抜いてぇ――」
「無茶言うな、もう抜けねぇよ」
アルファ独特のノットという部分が、三条の中で大きく膨らんだ。これが膨らんだらそんじょそこらではもう抜けない。アルファの自分のオメガを孕ませたいという欲求がどれだけついても抜けないような構造に体を変える。
もはや遠慮なんかいらなかった。陰嚢が激しく当たり、その度に仰け反るように嬌声を上げた。
生方の抽挿に応えるように愛液がどんどんあふれ出す。抜き差しするように、パチュン、パチュンと大きな音が鳴り響いた。
「子供出来るかな」
「ゴムしててできるわけないでしょ……、そんなことよりもっと……」
「欲しくないのか」
「何をですか……」
「子供だよ、俺の、アルファの子供だ」
「今は……いりません」
「なんで」
「僕は、愛し合った男との子供以外は産まないと決めています」
生方は腑に落ちない顔をした。
「俺はお前を大切に思っている。そう扱っている」
「頼んでません」
「好きだといっただろう。お前だって好きだと言ってくれたじゃないか」
「言いました。でもあなたの言葉はまだ信じられません。今はオメガのヒートにあてられているだけです」
上顎に下をねじ込み口腔内を舐める。
敏感な口の中から、雷に打たれたようにびりびりと電気が走った。
「いいじゃないですか、オメガとアルファ、今はそれだけで……」
「高雄君……」
「もっと、深いところに来て……」
ひだがまとわりつく、吸い付く肉体に、パンパンに張ったペニスが何度も内壁をこすった。
「んぁぁっ……ぁぁぁぁぁ」
体の奥深く打ち付けるアルファの太い楔に、僕は溺れてしまいたかった。
――あと何日こんないびつな関係でいられるだろう。
――あと何日、僕は笑っていられるだろう。
それでも今は、生方を手放すことはできなかった。
まだ望みはあるのだから。
「誠さんが可愛いくて、誰かにとられるって思ったら、誘発、されました。もう……制御が利きません」
目の前に投げ出された丸みを帯びた小ぶりの双丘。背中に走るえぐられた骨の線。浮き上がった肩甲骨。そのどれもが生方を奮い立たせるに十分だった。
奥まで深々と入れた指を、ゆっくりと腹側に曲げる。そのまま少しだけ入り口に引き出すと、ぷっくりと膨らんでいる場所があった。
さっさと挿れたい。そんな淫らな欲求に抗う様にバースへの抵抗を試みた。
オメガだから抱きたいのではない。
高雄だから、側に居たいし抱きたいのだ。
後ろからは危険だ。項が見えるそんな体勢噛んでくださいと言わんばかりだった。
こんな理性が飛んでる状態で、ヒートのオメガの匂いは、到底我慢なんかの利くものではない。
「凄い、高雄君、もうヌルヌルしてどんどん蜜が溢れてきているよ。こんなならローションなんかいらないな」
思わずそう口にした。
「うるさい……、良いから早く」
「挿れてほしいの? 俺のこと好きか?」
「だから、そうだって言ってる……、しつこい……ですよ」
「何度だって聞きたいさ」
「誠さん……」
「なんだ」
「そこにゴムが入っています、お願いつけてください」
「待てない」
「駄目ですよ……お願い」
三条の中は最高だった。生暖かなまったりとした温度と、しっけるようなねっとり感。キュッとしまる拘束感。
その瞬間、どす黒い何かが沸き上がった。
久しく感じたことのない感情。
いや、もしかしたら今迄一度も感じたことのない感情だったかもしれない。
自分の腕の中でアンアン泣いているこの可愛いオメガは、俺だけのオメガなのだろうか、という感情だった。
次第に三条の中が生方のペニスに吸い付き、いきなりの抽挿に喉が悲鳴を上げた。
オメガのヒートは感情ではコントロールできない。
番の子供を繁殖したい。ただそれだけを考えるようにほかの一切の欲求が消えていく。
「これ、どう……」
生方が三条の小さな突起をつまむと、ゆっくりと潰す様に力を込めた。
「あん」
鼻から抜ける甘い声に、生方のペニスが反応するよう。
「そんな声、ずっりー」
「んんんんん、んはぁ、誠さん、頂戴、奥、奥ーーーーー」
「あんま煽んなよ」
唇をかみしめ切れた端から血の味がした。
もう何も考えられなかった。
何度も腰を打ち付けた。
感情のコントロールが利かなくなるのを合図とするように、ペニスの根元に瘤が出来抜けなくなった。
「無理無理ぃ、抜いてぇ――」
「無茶言うな、もう抜けねぇよ」
アルファ独特のノットという部分が、三条の中で大きく膨らんだ。これが膨らんだらそんじょそこらではもう抜けない。アルファの自分のオメガを孕ませたいという欲求がどれだけついても抜けないような構造に体を変える。
もはや遠慮なんかいらなかった。陰嚢が激しく当たり、その度に仰け反るように嬌声を上げた。
生方の抽挿に応えるように愛液がどんどんあふれ出す。抜き差しするように、パチュン、パチュンと大きな音が鳴り響いた。
「子供出来るかな」
「ゴムしててできるわけないでしょ……、そんなことよりもっと……」
「欲しくないのか」
「何をですか……」
「子供だよ、俺の、アルファの子供だ」
「今は……いりません」
「なんで」
「僕は、愛し合った男との子供以外は産まないと決めています」
生方は腑に落ちない顔をした。
「俺はお前を大切に思っている。そう扱っている」
「頼んでません」
「好きだといっただろう。お前だって好きだと言ってくれたじゃないか」
「言いました。でもあなたの言葉はまだ信じられません。今はオメガのヒートにあてられているだけです」
上顎に下をねじ込み口腔内を舐める。
敏感な口の中から、雷に打たれたようにびりびりと電気が走った。
「いいじゃないですか、オメガとアルファ、今はそれだけで……」
「高雄君……」
「もっと、深いところに来て……」
ひだがまとわりつく、吸い付く肉体に、パンパンに張ったペニスが何度も内壁をこすった。
「んぁぁっ……ぁぁぁぁぁ」
体の奥深く打ち付けるアルファの太い楔に、僕は溺れてしまいたかった。
――あと何日こんないびつな関係でいられるだろう。
――あと何日、僕は笑っていられるだろう。
それでも今は、生方を手放すことはできなかった。
まだ望みはあるのだから。
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