ペットが擬人化する世界の危険な愛情
吾輩が世界を征服するまであと一歩というところまで来ていたのだが、憎き勇者共が大量のペットを連れて吾輩の城を攻め落としてしまったのだ。
吾輩は命からがら逃げだして城を放棄する羽目になってしまったが、ここまでくればさすがに勇者共も追ってはこないだろう。
自らは戦わずにペットに戦闘を任せるなど勇者にはあるまじき行為である。
吾輩は残る魔力を総動員してでもこの世界で飼われているペットどもを擬人化して勇者の戦力を削いでやるのだ。
仲間のいない勇者のペットがいなくなれば吾輩が負けるはずなどないのだ。
それにしても、吾輩はいったいどこまで来てしまったというのだ。
今まで見たことも無いような建造物に息をする事すら苦痛になるような空気。
それなのに何の武装もせずに悠々と歩いている人間ども。
「もしかして、吾輩は勇者から逃げるために使った転移魔法で異世界に来てしまったというやつなのか!!!!」
どこを見ても平和そのもののこの世界は魔力を使い切っていない吾輩であればあっという間に征服出来たのかもしれない。
しかし、そんな事に気付いたところでもう遅い。
吾輩はこの世界にやってくるために使った転移魔法とペットを擬人化させる魔法で魔力はすっかり空になってしまったのだ。
再び魔法を使えるようになるまでに魔力が回復するには相当な時間がかかるだろう。
この世界には魔法という概念が無いようだし、吾輩が魔法を使えるようになるまでにいったいどれだけの時を要する事か、それは吾輩にもわからない。
「とりあえず、魔力が戻るまで大人しくしておこう」
こうして、世界各地でペットが擬人化してしまうという出来事が発生していったのである。
世界中の科学者はその原因の究明に難航していたし、神の起こした奇跡だと信じるものも多くいたのである。
今までは当たり前のように多頭飼いされていたペットたちも愛情を注ぐことで擬人化することがわかってからは一匹のペットを溺愛する人が増えていったのだ。
だが、ペットの擬人化を望まない者達は多くのペットを同時に飼い、ある程度の愛情をもって世話をするという世界が確立していったのである。
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアッププラス」に投稿しております
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