水と言霊と

みぃうめ

文字の大きさ
上 下
17 / 337

第17話    ここは何処?⑤

しおりを挟む



 シューさんと異世界人のやり取りはいつの間にか終わっていたようだ。
 異世界人達は黒い真四角の中に戻って行く。
 え?何で?何で皆追わないの?
 ここから出たいと思ってないの?
 さっきシューさんはここで過ごす時間を無駄と言っていたよね?
 考えているうちに異世界人達の姿は消え、黒い真四角の穴も消え失せ、元の何もない白い壁に戻っていた。
 シューさんに
「何で追わないんですか?」と問う。
「何を聞いても今まで何も答えられないの一点張りで、こちらの様子を伺う以外の言葉を先程まで口にすることもありませんでした。
 なので、追ったこともあります。ですが、追っても見えない壁があるような感じで、ここにいる私達はあの黒い穴に辿り着くことも出来ませんでした。」
 それも魔法要素すごいな。じゃあ今やれることって何もないってことでしょ。魔法の一言で片付けられる不思議パワーなんて地球じゃ理解不能の他に表せられる言葉なんてないじゃないか。
「それに、急に私たちの質問に答えだしたのにも疑問が残りますね。千早ちゃんの目覚めに少し時間がかかったことで焦りでもあるんでしょうか?」
 自問自答しているようだけど、答えが出るわけじゃないんだからそうなるんだろう。

「とりあえず、ご飯を食べましょう。」

 香織さんが言ってくれたので、切り替えてご飯をそれぞれのベッドで食べることに。

 ベッドに戻り、目の前にはベッドサイドに設置された机の上に食べ物が並んでいる。

 てか、これ食べて良いの?変な物盛られたりしてないよね?判断力低下とか思考力低下とか?毒は?あれ?でも魔法使えるならそもそも食事に盛るよりも魔法でなんとかしちゃう?
 あぁでもそんな便利な魔法がなかった場合はやっぱり盛られている可能性もある?
 グルグル思考の波が押し寄せてくる。
 みんなを見てみると…もう普通にね、食べてましたよ。
 これ口に出しても良いのかな?でも疑問を口にしたらみんな不安がるかな。どうしよう。

 1人考え込みお腹は空いていてもどうしても食べ出せずにいると、香織さんが
「食べても良いか、悩んでる?」と聞いてきた。
 迷った末に
「はい」と答えると
「私達も最初は不安で食べられなかったの。何が入っているのかわからないなと思ってね。
 でもね、1番最初に目覚めたのがシューさんなんだけど、千早ちゃんが目覚めるより何日前に目覚めたと思う?」
 確か香織さんが私の4日前って言ってたな、あと1人の女の子が私の3日前で
 と考えていたらシューさんが

「6日前だよー千早ちゃん。」
 まさかの正解発表ですよ。
「正解公表するの早いですよシューさん!せっかく考えてたのに!」
「んー言いたかったのそこじゃないんだけどねぇ」
「6日前ってことですよね?」
「そうそう。みんな最初は食べれなかったの。
 僕が目覚めてから日をあけずに次々目覚めたと言っても、千早ちゃんの前に目覚めたもう1人の女の子、麗ちゃんて言うんだけどね。そこまで目覚めるのに3日。1日に1人目覚める計算でも、麗ちゃんが目覚めてから残るは3人。最低でもあと3日はかかると予想したんだ。
 さてここで問題です。人間は飲まず食わずで生きられる期間がいったいどれくらいなのか、千早ちゃんは知っていますか?」









しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

異世界に行ったらオカン属性のイケメンしかいなかった

BL / 連載中 24h.ポイント:276pt お気に入り:199

悪役令嬢を陥れようとして失敗したヒロインのその後

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:42pt お気に入り:39

俺、悪役騎士団長に転生する。

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:12,000pt お気に入り:2,504

婚約破棄をされた悪役令嬢は、すべてを見捨てることにした

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:71pt お気に入り:5,640

処理中です...