水と言霊と

みぃうめ

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第64話    因子②

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 とりあえず、自分の因子が何の属性かわからないと何も出来ないので属性を探ることにした。

 火属性は炎に操作した魔力を通す
 水属性は水に操作した魔力を通す
 土属性は土に操作した魔力を通す
 風属性は空気に操作した魔力を通す
 光属性は謎
 闇属性は謎

 自分の操作した魔力を近付けると、自分の持っている属性とその物質が共鳴して物質が揺らぐらしい。
 属性の種類がテンプレ過ぎて苦笑が漏れる。
 それに光と闇は謎ってさぁ
 誰かがもしその属性を持ってても、持ってるかどうか確認する術すら無いんなら、それはもはや存在するって言わないんですよ。


 属性判定は一つ一つ確認するしかない。
 初歩の初歩なので、そんなに大量の魔力は必要ないだろう。

 まずは火から。
 カオリンが異世界人から貰ってくれたアロマテラピーに使うような蝋燭の炎に操作した魔力を近付ける。
 うん、何も起こらない。次!

 水はいつでも毎回持ってきてくれているので問題なし。
 コップ1杯の水に操作した魔力を近付ける。
 おぉ!揺らいだ!
 私は水属性持ち!

 土は手に入らなかったらしい。

 次は風。なんでもいいから布切れを用意する。
 布切れの前の空気に操作した魔力を近付けると布が揺れるとのこと。なんかこれだけ緩くない?空気なんてどこにでもあるのに。
 あ、どこにでもあるから動いてるか目視出来るように布が必要なの…かな?
 とりあえずやってみるけど、揺れない!
 これ本当に合ってるの!?

 土は保留だけど、この結果を信じるならば
 私は水以外の属性何もなし!
 部屋の隅で本を積み上げて目隠しし、あっくんに見張ってもらいながら座ってコソコソやった結果がこれ!
 人の持つ属性は一つ。だからガッカリしなくてもこれが普通なんだけどさ、でもさ、ちょっと期待しちゃうよね。
 隠すことなくガッカリしている私に
「水のどんなモノが使えるか楽しみだね。」と言ってくれるあっくんは流石イタリアン!女性を持ち上げるのが上手だわと、そう、思っていましたよ。

 なんとあっくん火と風のニ属性持ちであることが判明!
 やっぱり天才と凡人の差はあからさまですわ。
「あっくんは凄いね!どんなのが使えるんだろね!検証だけでも楽しそう。」
「派生って凄いあって色々自分で考えたりしてやるんでしょ?あー面倒だ。」
「ちょっと!恵まれてるんだからさ!面倒はないでしょ!僻んじゃうよ!」
「俺さぁ、言われたことやるのは結構得意っていうか苦じゃないんだけど、自分で一から何か考えてやるのは凄い苦痛なんだよね。」
「へ?そうなの?全然見えないけど。」
「実はそうなの。ほら、俺の身体見ればわかるんじゃない?トレーニングって教えられた方法をひたすら同じこと繰り返すだけでしょ?拳法の型とかも同じ。
 だからさ、シーケンを作ったなんて俺には信じられないくらい凄いことなの。そもそも作るっていう発想がないんだよ。」
 まさかの落とし穴。そりゃあ苦痛なら全く嬉しくないよね。私みたいに一属性ならそもそも種類自体が限られてる。でもニ属性ともなると、かなりの種類の派生があるんだろうことは想像に容易い。
「頭の柔軟性のないオッサンのボヤキだと思って流してくれると有り難いなぁ。」
「じゃあここにいるオバサンが協力するよ!一緒に派生考えよ。まずは今わかってる派生から試していけばいいんだしね。」
「待って、今のオバサンて誰のこと?」
「そんなの私に決まってるでしょ?他に誰もいな「取り消して!」
「はぁ??また出たよあっくんの変な拘りが。31はもうオバサンでしょ?」
「しーちゃんはオバサンじゃない!取り消して!!」
「じゃああっくんもオジサン取り消「わかった取り消す!」
 取り消すのはっや!
「わかった、私も取り消す!これで良い?」
「うん!もう言っちゃ駄目だからね!」
「はーい。」
 ほんと、こういうところが絶妙にめんどくさい。


 土以外の属性がわかったので、とりあえず思い付く想像出来るような魔法を検証しようとして、問題発生。
 私の水属性は大規模なモノを想像しなければそこまで危険なモノはないだろうけれど、問題はあっくんの火と風。
 火は言わずもがな。どんなに小さくともここは本だらけ。燃え広がってはシャレにならない。さっきカオリンが持ってきてくれた蝋燭は、下の方にスイッチのようなモノがついていて、それを押し続けている最中だけ火がつくという謎仕様な物だった。
 風もそよ風程度なら問題ないだろうけど、強くなると危険だ。本が飛んできて頭にブチ当たって怪我をするなんて最悪だ。更に火と風を想像すると、大抵威力アップだろう。目も当てられない。危険過ぎて何も検証出来ない!!

 仕方がない!
 私だけでも!と思いグラスに水を出す想像をしながら魔力を操作する。
 うん。普通に出るよね。
 …………………………他に水ってなんかあったっけ?
 えーーーーーー!?なんにも思いつかない。
 思い出せ!読み漁っていた小説の数々を!アニメを!
 うーん…あ!
 ウォーターバレット!ってのあったよね?
 ……………………………………………で?
 思いついたのはいいよ。
 絞り出した感は否めないけど!
 で?
 ウォーターバレットって水飛ばすやつだよね?
 それになんの意味が?消火活動?
 あっ!あっくんがつけた火の消火には持ってこい!
 ………言ってて悲しくなってきた。
 水飛ばしただけで攻撃になるわけない。
 相手をビショ濡れにさせるため?
 なんのこっちゃ。
 攻撃として使いたいなら、一体どのくらいのスピードで出さないといけないわけ?それ確実に目で追えるスピードじゃないでしょ?拳銃の玉くらいのスピードがないと貫通とか無理よね?それってバレットの括りなのか?
 あぁ!そっか、銃の玉が水バージョンで思い浮かべればいいんだ!
 それをバレットと言い張る!
 それもはや違う魔法じゃないか?と言う心の声は無視だ無視!

 あとは…相手を溺死させるのか!相手の顔に水の塊を飛ばす!あ、これウォーターボールか。
 難しそうだなぁ。
 顔に水を飛ばして且つ維持が必要だもん。更に溺死しそうなら当然相手は暴れるから水の塊を相手の動きに合わせて自在に動かせないと…結局相手がビショ濡れになるだけで終了。

 あ!ウォーターカッターもあるね!
 これならイケんじゃない?水を高速回転させてぶった斬るんだよね?
 …これここじゃ無理だね。
 そうか、武器を思い描けば何か出せるかも。
 剣!これは剣に見立てたウォーターカッターだよね。
 ………うん、ウォーターカッターなら剣に見立てる意味は?
 じゃあ剣の形したただの水の塊?
 それ、水の塊で何切るつもりなんだって話だよ…ね…………

 あれ?その理論で言えば水は全部そうだよね。盾もバリア的な物も、数cmの水の膜でいったい何を防ぐつもりなんだい?ってことだよね?
 あれぇ?水って最弱?待て待てそんなことはないはず!
 
 ……え?待って待って待って!!!
 そもそも水を高速回転させるって出来るの?風属性必要だったり…え、風属性が必要になるんなら銃だって無理なんじゃないの?

 私、いったい何ができるの?
 飲み水の提供と消火活動?


 まさかそれだけ?














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