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第65話 魔法と魔石
しおりを挟む私ってば役立たずです。
このままじゃ協力してと頼んだあっくんにおんぶに抱っこ状態。
これはマズイ!!!
とりあえずウォーターボールは小さければ危なくないし水浸しにもならないよね!
小さくても自在に動かせればいいんだもんね!
親指の第一関節分の大きさのスーパーボールを思い浮かべながら魔力を流す。
手の平の上に小ォーターボールが出現。
これを前後左右に…自由自在ですけど…
なぁーんだ凄い簡単じゃないか!
無駄な心配させやがって!
本物の役立たずかもって思っちゃったよ!
この小ォーターボールを弾丸のように飛ばせればバレットも出来ることになるんだけど…さすがにここじゃ危ないよね。
外に出られた時か、本当に外に出してもらえなかった時に手段を選んでいられない状態に追い込まれた時じゃないと。
あとは、盾とバリアだったっけ?
出現させた水の中に何か混ぜて回転させながら展開すればいけるのかな?水オンリーでなんとかなるイメージが一切出てこない。そもそも水で剣の斬撃とかどうやって受け止めるの?
水で相殺出来るモノって考えたら音か毒ガスくらいしか思いつかない。
やっぱり液体は厳しい気がする。せめて個体だったらなぁ。
あるじゃん!氷が!!!
でもまたここで属性問題…
冷やすなら風要る?
温めるなら火要る?
もう!誰か助けて!
分子の速度の問題なだけなのになんでそこで属性が必要にな…る……
誰が水以外の属性が必要って言った?
他でもない私だ。
分子の速度まで考えて細やかな魔力操作して氷を出そうとしたら出せるのでは?
分子を綺麗に配列して動く隙がないようにイメージ。
出せました!!!
出せたよやったよ!
私の手の中にまん丸な氷の塊!
これで可能性は広がった!
氷出せるんなら霧もイケるんじゃないの?
この部屋でやったら湿気で本グチャグチャになるよね。あ、コップ逆さまにしてコップの中だけでやればいいのか!
分子の結合を緩めて自由に!
細かい水の粒に!
うん、出来るよ!出来ちゃうよ!
何で今まで思いつかなかったんだ!
ウォーターバレットで心折れなくて良かった!
脱!足手纏い!
「あっくーん!水と氷と霧出せたよ!」
と、小声ながらも興奮を隠せない声で報告する。
「えっ!?もうそんなに?」
「最初はちょっと手こずったけど、すぐ出せるようになった。」
「しーちゃんはほんとに凄いなぁ。俺なんてこの部屋で風が起こったら変だし、火は万が一を考えると、香織さんが用意してくれた蝋燭の火を少し大きくするとか、小さいことしかやれることなくてさぁ。」
「そうだよね、私も魔力制御に夢中になり過ぎてたから全然気がつかなかった。ごめんね。」
「んーん、それは俺も。使えないと思って興味すら無かったから危険性については頭から抜けてたよ。
それよりさ、香織さんが持ってきてくれた蝋燭なんだけど、これ一体どう言う仕組み?魔石組み込まれてるって言われてもボタン押したら火がつくとか意味がわかんない。火花散ってるわけでもないし。」
「へ?魔石?」
「あれ?しーちゃん魔石の存在知らなかった?」
「知らない!知らないよそんなの!!
地球で言う電池みたいなモノ?」
「香織さんはそんな感じだって言ってたけど。」
「ちょっと待って、そんなのあったら魔力量とか魔法がどうこうとか一切関係ないんじゃないの?魔石使って火がつくんなら魔法使えなくても魔石使えばいいだけってことになるでしょ?駄目だ不安になってきた、カオリーン!!」
「はーい。どうしたの?」
「私今魔石って物があることを知ったんだけどこんな便利アイテムあるなら魔法なんて使えなくても何も問題ないんじゃないの?」
一息で捲し立てるように言う。
「あら?紫愛ちゃんは知らなかったの?
紫愛ちゃんが思ってるようなことにはならないから大丈夫よ。
魔石はね、自然鉱物なの。地球の宝石と同じで採掘しないと手に入らない。魔石が出る鉱山は国で守られていて、採掘量も厳格に決められている。それに使い切ったらそれで終わりなのよ。」
「じゃあお金持ちが買い放題ってことはないわけだ。
使い捨てってことなの?」
「正確に言うと使い捨てではないわ。
魔石には宝石みたいにランクがあってね、魔石は大きさと透明度と色が大切。
大きさは中に入っている魔力の量。
透明度は透明であればあるだけ少ない魔力量で魔法を発動出来る。
色は属性ね。
人間の魔力を魔石に充填することも出来るの。ただ、人間が魔力を充填するのはもの凄く効率が悪い。焚き火くらいの火の魔力を充填したら、その魔石から火を生み出そうとした時、蝋燭の火程度のモノしか発現しない。エネルギー換算にすると訳10分の1くらいになってしまう。しかもそれは透明度の高い魔石の場合の話だわ。透明度が下がるということは、それだけ不純物が混じっているということ。つまり、魔力の通りが悪くなるの。そんな効率の悪い物に、自分の魔力をわざわざ充填して使うかしら?非効率にも程があるわよね?
だから、それをするのは大切な人にプレゼントする為に、とか特別な時だけみたいね。
そして何より、魔石は高価。魔石の価値は本当に地球の宝石みたいなのよ。」
「それを聞いてちょっと安心したよ。苦労した事が無価値になるところだった。」
「無価値は言い過ぎよ。魔法に価値があるからこそ、ここの世界は魔法至上主義だもの。」
「至上主義?そこまで?」
「そこまでよ。もうかなり昔から既得権益だわ。」
「それって…貴族がってことだよね?」
「そうね、魔法が使えるという事実はほとんどは血筋で継承されるみたいね。平民から出てくることもあるみたいだけど、かなり稀みたいよ。」
「魔法が全てで、それを産むのが血筋なら下剋上なんてほぼないってことだよね?」
「そうね、だからこそ平民と貴族の差は埋まらないし、埋めるつもりもないわよね。得られる利益が得られなくなるんだもの。」
「どこの世界でもそーゆーのって変わらないよね。産まれで全て決まるなんて、努力のしようもないよ胸糞悪い。」
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