白い猫 と 見放しの神

―― 生き地獄というのは
もしかするとこういうことを言うのかもしれない――

いつの時代も、その多くはきっと

口いっぱいに飯をかきこめることに幸せを感じ、

友人と他愛もない会話を楽しむことに

些細な喜びを感じているのだろうと思う。


けれど私はというと

普通の人が “ふつう” としている何気ない日常を味わったことがない。


私の生きる道は、その基準を圧倒的に下回っている。


陽に透けるような白い髪と白い肌をもち、

奥深い黄金の瞳もった少女――未生。


彼女の見目は言うまでもなく

その様相が神や、仏、妖などに例えられるほど

不思議な引力を伴う神々しさを纏っていた。


しかし不運にも、

彼女を拾った人間の気質があまりにも悪く、

狡猾で、己の利益にばかり目を向けるような人だったので

彼女の神々しさは一瞬で幕を閉じることとなる。


――彼女は死なない。


いや、死ねない――と言った方が正しいか。

”何をされても壊れない頑丈な身体” はときに

人の好奇心を異常なまでに煽る。


それどころか、

死にたいと強く願う未生の命をことごとく生かし続け、

それとは逆に、

天はいつ死んでもおかしくない状況下に彼女を置く――。



~・~ ◇◇◇ ~・~



繰り返される絶望を味わうのにも飽きてきて、

自分の運命に失望していた矢先、

曇り空にふいの晴れ間が広がった。


未生の耳に届いたのは、先駆けて轟く雷鳴の響き。


激しい稲光とともに未生の頭上に落ちてきた雷は

――不思議なことに彼女を全身水浸しにして――

視線の先に背の高井人影を連れてきた。


「落ちどころが悪い」

と言って天上に悪態を吐き、

黒曜石のような漆黒の髪を乱暴に掻き上げる人物。


彼は呆然としている未生の傍にしゃがみこむと

「お前、呪われているな?」

と囁いて、赤く腫れあがった未生の頰に優しく手を添えた。


「俺ならその “呪われた身体” を手放す方法を見つけてやれる」


そう不敵に笑んだ男は、

未生の首筋から顎へと手を滑らせた。


彼女は美しい面をした男――猩々に目を据える。


そのとき自分の中で

何かが大きく動いたのを感じた――。



続きは本編にてお楽しみください♡
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