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ベルアート公爵(本人視点)
しおりを挟む自分は何処から間違えたのだろう。
18歳で父に言われお見合いをした。
相手は15歳の女の子。
珍しい色の銀髪のサラサラの長い髪、黒い瞳。
彼女が俯いていた顔を上げた時の綺麗な瞳儚げな顔に一瞬で恋に落ちた。
なんて綺麗なんだ、はにかんだ笑顔はさらに可愛い。
学園中に夢だった騎士団に入隊した。
学園を卒業してからは慣れない中でさらに父の公爵の仕事も引き継いでいった。
学生とは違い騎士の仕事と公爵になるための仕事ではきつさもハードさも違う。
それでも月に数回、シャノンに会えることを楽しみにしていた。
人見知りで話すのが苦手な彼女だったが、ピアノがすごく上手で邸を訪れた時はいつもリクエストして弾いて貰った。
観劇や美術館、彼女が好きそうな所を情報を集めては誘った。
少しずつ話しが出来る様になってきた頃、シャノンの友人だというアイリスが近づいて話してくるようになった。
アイリスにシャノンの好きなことや好きな食べものを教えてもらうこともあり、お礼に彼女にも花をプレゼントしたりお茶をすることもあった。
シャノンと違い社交的で会話が弾むのでつい気楽に会う関係になっていた。
もちろんその時は肉体関係などなかった。好きなのはあくまでシャノンだけだった。
いや、今も愛しているのはシャノンだけだ。
結婚してから、正式に公爵家当主となり忙しさがさらに増した。
シャノンとの時間が取れずイライラしている時に、アイリスがたびたび騎士団に差し入れを兼ねて会いにきた。
アイリスは騎士団の中でみんなに好かれ、当たり前のように遊びに来るようになっていた。
俺にとって彼女はシャノンの友人でしかなかった。
なのにたまたまあの夜、夜勤で騎士団の執務室で仕事をしている時に何故かアイリスが差し入れを持って現れた。
「こんな遅い時間にどうしたんだ?」
「ラウル様にお会いしたかったの」
アイリスはわたしに抱きついてきた。
慌てて突き放すと泣きながら「貴方をお慕いしております」と、また、抱きついてきた。
もう何日もシャノンとすれちがって抱いていなかった俺は、我慢の出来ずにそのままアイリスを貪るように朝まで何度も何度も抱き続けた。
それからのアイリスは当たり前のように俺に会いに来る。
そしてそれを拒否もせず抱き続けた。
夜会でアイリスに庭園に連れ込まれ、「愛してる」と言ってくれなきゃシャノンに全てを話すと言われた。
「愛してる」
「わたしも貴方を愛しているわ」
シャノンにバレたら困る俺は彼女を黙らせるつもりで
「もう少し我慢してくれ。シャノンとは別れるつもりだ」
と、嘘をついた。
「いつまで待っていればいいの?」
アイリスは本気にしてしつこく聞いてきたのだった。
答えられない俺は彼女の口を塞ぐつもりで何度も激しいキスをした。彼女はキスが大好きでこれで誤魔化したつもりだった。
まさかシャノンが見ていたなんて思わなかった。
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