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夜会にて②
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イーサン殿下に連れられて向かったのは両陛下のところ。
久しぶりにお会いする陛下。
わたしは深々と頭を下げて挨拶をした。
だがいつも優しい陛下の顔がかなり不機嫌でそんな顔を見たことがないわたしは心臓がばくばくと激しくなっていて、どうしようもなく狼狽えていた。
それくらい威圧感があったのだ。
ーー怖い。
国のトップである陛下。わたしの前では気さくなお方だったけど、たくさんの貴族を纏め国を動かしている人なのだと今更ながらに感じた。
イーサン殿下の服を思わず掴んでいると、殿下が気づいて私の肩を抱き寄せた。
「大丈夫?」
「う、うん」
「カトリーヌ、久しぶりだな」
陛下が威圧する。
周囲は陛下とわたし達の異様な空気を感じ固唾を飲んで見ていた。
「……王太子であるイーサンとカトリーヌ・ブランゼルとの婚約を今夜解消する」
陛下の言葉にざわめき立った。
「「……解消」」
ーー陛下、ありがとうございます
わたしが嬉しくて横にいる殿下の顔を見ると物凄く怖い顔でわたしを見た。
「父上、申し訳ありませんがその言葉を受け入れることは出来ません。何があってもカトリーヌと婚約解消は致しません」
「何を我儘を言ってるんだ。これはわたしが決定したことだ。お前に拒否権などない」
「しかしわたしにも……「決まったことだ、カトリーヌこれまでご苦労であった。これからの新しい伴侶をこちらからも探しておこう」
「ありがたきお言葉で………」
ーーう、ううん??
わたしは返事をする前に腕を掴まれてそのまま引っ張られてイーサン殿下と走っていた。
「行くぞ!」
「え?ちょっと待って、今婚約解消を受け入れようとしている……「うるさい!そんなこと受け入れなくていい」
わたし達はパーティー会場を抜け出して奥にある王宮の控え室に入った。
「こんなところに来てどうするの?」
「少し俺と話そう」
「そんなに俺といるのが嫌なのか?」
「え?嫌ですよね?長年嫌われて嫌な態度しか取られなかった人と婚約し続けるなんて悪夢が続いているのと同じですから!」
「すまなかった、君の悪い噂がずっと耳に入ってそれを信じ込んでいた。目の前にいる君をみようともせず頑なに君を拒否していた」
「そうなんですか…それは仕方がないですよね?では許して差し上げます」
「…ほんとうか?」
「はい、本当ですよ?だから安心して婚約解消しましょう」
ーーもういいでしょう。
「………解消はする。ただその前に君に謝らせて欲しい」
「もういいですよ。わたしは3年間の記憶を失くしました。だから貴方が優しく接してくれたらしいと話は聞いています。
わたしのために醜聞も消して回ってくださったことも感謝しています。おかげで記憶が戻ってからは周りから嫌がらせされることも悪口を言われることもなくなりました。
屋敷に帰っても毎日きちんと食事も食べられるようになったしいいことばかりです」
「…………すまなかった、俺がしてきた事は君を苦しめることばかりだった。何度もやめようと思ったのに……素直になれなかった。本当に申し訳ない」
「イーサン殿下が謝ってくれるなんて……なんだか気持ち悪いです」
ーー解消していいのならどうしてここに連れてきたのかしら?素直に受け入れたらいいだけだったのに。
「気持ち悪くて悪かったな。ただ、今夜は君を帰すことは出来ない」
「えっ?」
「………君には今夜はここにいてもらう。俺は少し用事があって出かけるけど何があっても出ないで欲しい、あとで食事は運んでもらうし着替えも用意はする」
「え?嫌ですよ。どうしてここに泊まらないといけないのですか?」
「今夜だけは最後だからここにいて欲しいんだ」
ーー何言ってるのこの人⁈
久しぶりにお会いする陛下。
わたしは深々と頭を下げて挨拶をした。
だがいつも優しい陛下の顔がかなり不機嫌でそんな顔を見たことがないわたしは心臓がばくばくと激しくなっていて、どうしようもなく狼狽えていた。
それくらい威圧感があったのだ。
ーー怖い。
国のトップである陛下。わたしの前では気さくなお方だったけど、たくさんの貴族を纏め国を動かしている人なのだと今更ながらに感じた。
イーサン殿下の服を思わず掴んでいると、殿下が気づいて私の肩を抱き寄せた。
「大丈夫?」
「う、うん」
「カトリーヌ、久しぶりだな」
陛下が威圧する。
周囲は陛下とわたし達の異様な空気を感じ固唾を飲んで見ていた。
「……王太子であるイーサンとカトリーヌ・ブランゼルとの婚約を今夜解消する」
陛下の言葉にざわめき立った。
「「……解消」」
ーー陛下、ありがとうございます
わたしが嬉しくて横にいる殿下の顔を見ると物凄く怖い顔でわたしを見た。
「父上、申し訳ありませんがその言葉を受け入れることは出来ません。何があってもカトリーヌと婚約解消は致しません」
「何を我儘を言ってるんだ。これはわたしが決定したことだ。お前に拒否権などない」
「しかしわたしにも……「決まったことだ、カトリーヌこれまでご苦労であった。これからの新しい伴侶をこちらからも探しておこう」
「ありがたきお言葉で………」
ーーう、ううん??
わたしは返事をする前に腕を掴まれてそのまま引っ張られてイーサン殿下と走っていた。
「行くぞ!」
「え?ちょっと待って、今婚約解消を受け入れようとしている……「うるさい!そんなこと受け入れなくていい」
わたし達はパーティー会場を抜け出して奥にある王宮の控え室に入った。
「こんなところに来てどうするの?」
「少し俺と話そう」
「そんなに俺といるのが嫌なのか?」
「え?嫌ですよね?長年嫌われて嫌な態度しか取られなかった人と婚約し続けるなんて悪夢が続いているのと同じですから!」
「すまなかった、君の悪い噂がずっと耳に入ってそれを信じ込んでいた。目の前にいる君をみようともせず頑なに君を拒否していた」
「そうなんですか…それは仕方がないですよね?では許して差し上げます」
「…ほんとうか?」
「はい、本当ですよ?だから安心して婚約解消しましょう」
ーーもういいでしょう。
「………解消はする。ただその前に君に謝らせて欲しい」
「もういいですよ。わたしは3年間の記憶を失くしました。だから貴方が優しく接してくれたらしいと話は聞いています。
わたしのために醜聞も消して回ってくださったことも感謝しています。おかげで記憶が戻ってからは周りから嫌がらせされることも悪口を言われることもなくなりました。
屋敷に帰っても毎日きちんと食事も食べられるようになったしいいことばかりです」
「…………すまなかった、俺がしてきた事は君を苦しめることばかりだった。何度もやめようと思ったのに……素直になれなかった。本当に申し訳ない」
「イーサン殿下が謝ってくれるなんて……なんだか気持ち悪いです」
ーー解消していいのならどうしてここに連れてきたのかしら?素直に受け入れたらいいだけだったのに。
「気持ち悪くて悪かったな。ただ、今夜は君を帰すことは出来ない」
「えっ?」
「………君には今夜はここにいてもらう。俺は少し用事があって出かけるけど何があっても出ないで欲しい、あとで食事は運んでもらうし着替えも用意はする」
「え?嫌ですよ。どうしてここに泊まらないといけないのですか?」
「今夜だけは最後だからここにいて欲しいんだ」
ーー何言ってるのこの人⁈
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