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夜会にて④
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……あっ!でも犯される寸前まで我慢しないとお義兄様を捕まえるのは難しいのかしら?
ーー諦める?いや、わたしの大事な純潔をこんな気持ち悪い人に奪われたくない!
わたしの近くにあるのは天井を叩いていた金属の細い棒。
これ突然振り回せば少しは反撃できるかしら?
「影」って見守りと伝達が基本だけど、戦いも出来るわよね?
王太子妃教育では剣と体術の基本は学んだ。おかげでそこらへんの令嬢よりは戦えるはず。
でもこのドレス邪魔なのよね、もっと動きやすいドレス贈ってくれたらよかったのに!
イーサン殿下にイラッとしながら黙っていたら
「カトリーヌは本当に可愛らしいね」
わたしのそばに寄ってきた。彼の気持ち悪い息がわたしの頭に……そして髪を触り始めた。
その手の動きがゾワゾワと鳥肌を立てる。
ゾッとする気持ち悪さにわたしは動けなかった。
わたしの髪のセットを解いて、何度も触れる手が気持ち悪い。とにかく気持ち悪い。
気持ち悪くてわたしは…………
「おえっ」
お義兄様の服に吐いてしまった。
ーーはい、思いっきり……
「カ、カトリーヌ?こ、これは……」
「おえっ、ぐほっ」
ーーいや、ごめんなさい、無理です。
「うわぁ!汚いだろう!あっちへ行け!」
わたしを押し除けてお義兄様はバスルームへと走り去った。
ーーえ?わたしのゲロで撃退?
いいのかしら?こんなことで?
吐いたおかげでスッキリしたわたしは水差しをとってグラスに注いだ。
水で何度もうがいをしてスッキリ。
「ふー」
一息つくととりあえず自分が着ていたドレスを見回した。
わたしのドレスは全く汚れていなかった。
「よかった、汚れていないわ」
「クククッ」
天井から笑い声が聞こえてきた。
「うん?」
わたしが天井を見上げると、天板が外れて降りてきたのは
「ジャン様?え?どうして?」
クスクスと笑いながらわたしを見るジャン様。
「カトリーヌ様、凄い撃退法だね。助けようと思って飛び出そうとしたらあんなことしてやっつけるんだから」
ーーあんなこと?うわぁ全て見られていたのね。
恥ずかし過ぎるわ
「違うわ!気持ち悪すぎて本当に吐いたのよ!あの変態お義兄様がわたしの髪の毛を触ったら気持ち悪くなりすぎて!あの息なんて想像以上に気持ちが悪いのよ!」
「あ、そんなに気持ち悪かったんだ」
「もちろんよ!って言うよりもどうしてジャン様がここにいるの?」
「しっ、黙って!出てきた、ソファの後ろに隠れて」
ジャン様が笑うのをやめて真剣な顔になった。
「え?でも、危ないわよ、わたしがなんとかするからジャン様は逃げてちょうだい」
「僕は君を守るためにずっと天井にいたんだ」
「え?わたしを守るため?」
「話は後で。とりあえず現行犯でロイズ様を捕まえるから大人しくしていて」
わたしをソファの方へと押しやった。
お義兄様は「カトリーヌ!君の所為で服が全てダメになっただろう!」怒りながら出てきた。
それも一糸纏わぬ姿で……
ーーうわぁ、気持ち悪いものをまた見てしまった。わたし華の乙女なのに……また吐きそう……
「うん?お前は誰だ?いつの間に部屋に入ってきたんだ?誰も入れるなと言ったはずだが?」
「そんな無様な格好で出てきて恥ずかしくありませんか?ロイズ様」
普段のジャン様はわたしと話す時だけは人懐っこくて可愛いのに今のジャン様は低音で怖い声を出していた。
逆にお義兄様はわたしの前では優しい笑顔で接していたのに今はただの変態と化していた。
ひたすら気持ち悪い。
わたしはソファの後ろに隠れて棒を握りしめていた。
いざとなったら棒を振り回してやろうと準備をしていた。
なのに「ぐはっ」「い、痛い」「や、やめてくれ」
情けないお義兄様の声だけが聞こえてきた。
そっと覗くとお義兄様はみっともない裸でぐったりと倒れていた。
ーー諦める?いや、わたしの大事な純潔をこんな気持ち悪い人に奪われたくない!
わたしの近くにあるのは天井を叩いていた金属の細い棒。
これ突然振り回せば少しは反撃できるかしら?
「影」って見守りと伝達が基本だけど、戦いも出来るわよね?
王太子妃教育では剣と体術の基本は学んだ。おかげでそこらへんの令嬢よりは戦えるはず。
でもこのドレス邪魔なのよね、もっと動きやすいドレス贈ってくれたらよかったのに!
イーサン殿下にイラッとしながら黙っていたら
「カトリーヌは本当に可愛らしいね」
わたしのそばに寄ってきた。彼の気持ち悪い息がわたしの頭に……そして髪を触り始めた。
その手の動きがゾワゾワと鳥肌を立てる。
ゾッとする気持ち悪さにわたしは動けなかった。
わたしの髪のセットを解いて、何度も触れる手が気持ち悪い。とにかく気持ち悪い。
気持ち悪くてわたしは…………
「おえっ」
お義兄様の服に吐いてしまった。
ーーはい、思いっきり……
「カ、カトリーヌ?こ、これは……」
「おえっ、ぐほっ」
ーーいや、ごめんなさい、無理です。
「うわぁ!汚いだろう!あっちへ行け!」
わたしを押し除けてお義兄様はバスルームへと走り去った。
ーーえ?わたしのゲロで撃退?
いいのかしら?こんなことで?
吐いたおかげでスッキリしたわたしは水差しをとってグラスに注いだ。
水で何度もうがいをしてスッキリ。
「ふー」
一息つくととりあえず自分が着ていたドレスを見回した。
わたしのドレスは全く汚れていなかった。
「よかった、汚れていないわ」
「クククッ」
天井から笑い声が聞こえてきた。
「うん?」
わたしが天井を見上げると、天板が外れて降りてきたのは
「ジャン様?え?どうして?」
クスクスと笑いながらわたしを見るジャン様。
「カトリーヌ様、凄い撃退法だね。助けようと思って飛び出そうとしたらあんなことしてやっつけるんだから」
ーーあんなこと?うわぁ全て見られていたのね。
恥ずかし過ぎるわ
「違うわ!気持ち悪すぎて本当に吐いたのよ!あの変態お義兄様がわたしの髪の毛を触ったら気持ち悪くなりすぎて!あの息なんて想像以上に気持ちが悪いのよ!」
「あ、そんなに気持ち悪かったんだ」
「もちろんよ!って言うよりもどうしてジャン様がここにいるの?」
「しっ、黙って!出てきた、ソファの後ろに隠れて」
ジャン様が笑うのをやめて真剣な顔になった。
「え?でも、危ないわよ、わたしがなんとかするからジャン様は逃げてちょうだい」
「僕は君を守るためにずっと天井にいたんだ」
「え?わたしを守るため?」
「話は後で。とりあえず現行犯でロイズ様を捕まえるから大人しくしていて」
わたしをソファの方へと押しやった。
お義兄様は「カトリーヌ!君の所為で服が全てダメになっただろう!」怒りながら出てきた。
それも一糸纏わぬ姿で……
ーーうわぁ、気持ち悪いものをまた見てしまった。わたし華の乙女なのに……また吐きそう……
「うん?お前は誰だ?いつの間に部屋に入ってきたんだ?誰も入れるなと言ったはずだが?」
「そんな無様な格好で出てきて恥ずかしくありませんか?ロイズ様」
普段のジャン様はわたしと話す時だけは人懐っこくて可愛いのに今のジャン様は低音で怖い声を出していた。
逆にお義兄様はわたしの前では優しい笑顔で接していたのに今はただの変態と化していた。
ひたすら気持ち悪い。
わたしはソファの後ろに隠れて棒を握りしめていた。
いざとなったら棒を振り回してやろうと準備をしていた。
なのに「ぐはっ」「い、痛い」「や、やめてくれ」
情けないお義兄様の声だけが聞こえてきた。
そっと覗くとお義兄様はみっともない裸でぐったりと倒れていた。
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