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44話

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流石にずっと床の上で気を失ったフリをするのも疲れてきた。

でも今、この牢に入れられていることにホッとする。

檻のおかげで、彼らが簡単に入ってこない。

もちろん鍵があるので、入ることは出来る。

でも今のところ鍵は掛けられている。

近くに影の人はいるのだろうか?

たぶん常に見守ってくれているはず。

でも、この地下牢に助けにこれるのだろうか?

陛下、殿下、お父様は少しはわたしを助ける気はあるのかしら?

絶対守ると言ってくれたけど、今のところ彼らがどうしているかはわからない。

解毒剤のおかげで、体はずいぶん楽になった。

それでも、たとえ牢の扉が開いても、その瞬間に走って逃げ出すほどの体力は今はない。

簡単に捕まってねじ伏せられるだろう。

今のわたしにはどうすることも出来ない。

殺されるか犯されるか、痛ぶられるか。

うーん、どれもご遠慮願いたい。

それにしても、三人の話は酷すぎる。

それぞれが自分の欲に溺れて、協力しているだけ。

自分の思い通りにならないとこの人達はとんでもないことをさらにするのだろう。

「皇后様、クロード様を頂いてもよろしいですか?」

「ふふふ、その代わりこのエリーゼはわたしが貰うわ。しばらくは玩具としていろんな事をしてみたいの。
男に犯させる。城の中を引きずる。裸にして歩かせるのも楽しそう。髪を丸坊主にしたらどんな顔になるのかしら?あとは何をして遊ぼうかしら?」
皇后様はクスクス笑いながら、楽しそうに話していた。

「皇后様、その時は是非わたしに犯す役を与えてください」
ハウエル公爵が、気持ち悪い声で懇願している。

(あり得ない……是非一思いに殺して欲しい)

わたしは大きな声で叫びたかった。

「キモいんだ!あんた達!」と。
でも、今三人に要らない事を言って怒らせたら、何をされるかわからない。

わたしはとにかく、この気持ち悪い人達の話が早く終わる事を祈った。

「まだ死んでいないみたいだから、後で誰かに解毒剤を持ってこらせるわ。少し元気になってもらわないとわたしの玩具として使い物にならないわ。
ねえ、次はヴィクトリアのところへ行きましょう。あの目障りな女はどうやって痛ぶるのがいいのか思いついたのよ。あの孤児院を燃やしたら、ヴィクトリアはどう思うかしら?あんなゴミ屑達が死んでも誰も困らない。逆に寄付代も浮くし、貴族達は喜んでくれるわ」

「確かに貴族として孤児院に寄付や慰問は欠かせません。無駄金が減るなら、全ての孤児院を順番に放火させて行きましょう。古い建物だ。よく燃えるでしょうね。子供達が寝ている夜中にみんなまとめて焼いてしまうのが手っ取り早い」

ハウエル公爵が笑いながら話している。

(孤児院に火をつける?みんなを殺す?)

この人達は狂っている。

三人が地下牢から出て行った瞬間わたしは、
「誰かここからわたしを出してください。お願い」
窓に向かってお願いをした。

コツン。

壁を叩いて返事をしてくれた。

魔石も早く陛下達に渡さなければいけない。
いつ孤児院が焼かれるかわからない。

「お願い、孤児院を守って」

わたしは窓に向かって何度もお願いした。

コツン!

また返事がきた。

「ありがとう。お願いします」

わたしは窓に向かって頭を下げた。

(お願い、みんなを助けて!)

それからしばらくわたしは窓を見つめ続けた。



どれくらい時間が経ったのか、窓を見るのに疲れて壁にもたれ掛かって、キツイ体をなんとかいつでも動ける態勢に整えて、助けを待っていた。

意識が朦朧としてきた。

食事も摂っていないし、解毒剤が効いたといってもまだ本調子ではない。

このまま、また意識を失えば、次に目が覚めたとき、わたしの大事な人達が……と思うと、必死で意識を保っていた。

ただ怖くて、ただみんなを守りたくて、何も出来ないくせに目を閉じて気づいたら全てを失っていたということだけは嫌で。

その時ぼんやりと人影が見えた。

今の殿下ではなくて、前回の時の18歳の殿下に見えたのは気のせいなのか。
願望なのか。

「殿下……わたし…は貴方を愛し…ていたんです…」

わたしは貴方にそっと抱きしめられる夢を見た。






◆ ◆ ◆



~独り言~



短編のはずが……

中編となりました。

あともう少し、

お付き合いいただければ嬉しいです。



そして、少し落ち着いたので、感想も受け付けさせてもらえたらと思います。

初めて感想がない作品にして、かなりドキドキでした。

皆さんの意見を聞けないっていうのも、怖いんだなと思いました。

反応がない (当たり前ですが( ̄▽ ̄;)

怖さの中で、何度も書いては消してを繰り返して。

でも自分の思った通りに書く!

と決めて。

いろいろご意見あると思いますが、最後まで読んでいただけたら嬉しいです。

いつも読んでいただいてありがとうございます。












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