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69話
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重たかったわたしの気持ちもすこしだけ軽くなった。
だって大好きな二人がお付き合い?結婚?
もうそれだけで嬉しくて、不思議についニコニコとしてしまう。
メリッサはそんなわたしを見ると
「お願ですからそんな目でわたしを見ないでください」
と赤い顔をしてしまう。
「だって嬉しいんだもの。わたしの大好きな二人が結婚するなんて、とっても嬉しいわ」
わたしはふと思いついた。
「結婚式はいつ?ドレスは?まだ決まっていないのならわたしにプレゼントさせて欲しい」
「アイシャ様、わたしもロウトも男爵家の次男と三女です。結婚式は身内だけで簡単に挙げるつもりです」
「わたし結婚式に出たことないからわからないけど、わたしは出席できないの?」
「アイシャ様が出席されるなんて……そんな畏れ多いことはできません」
「そっかあ、二人の幸せな姿を見れないのね」
がっかりして俯いているとメリッサが慌てて言った。
「アイシャ様、本当はわたしも出席して欲しいのです、で……「ほんと?じゃあ出席するわね」
「…あ、嘘泣き…」
メリッサが肩をすくめた。
「カイザ様から了承を得てからでもよろしいですか?」
「もちろんよ、わたしからお祖父様にお願いをするわ」
そして……
お祖父様にすぐに尋ねると
「メリッサとロウトの結婚式か……わたしももちろん呼んでくれるんだろう?」
と、二人に聞いたら、二人はお互い見つめ合って
「宜しいのでしょうか?」と、死んだ顔になっていた。
わたしとお祖父様は久しぶりに心から笑顔になった。
結婚祝いを買いたくて、でもロウトとメリッサについて来てもらうとプレゼントにならないので、わたしはキリアン様と行くことになった。
「そっか、二人の結婚式か、その頃には俺はいないからプレゼントだけでも贈りたいから一緒に買い物に行こう」
キリアン様とたぶん最後の買い物に行くことになる。
プレゼントを買うのも楽しみだけど、キリアン様とお出掛けするのも楽しみでワクワクしながらその日を心待ちにした。
二人の結婚式の衣装はお祖父様が、強制的にプレゼントした。
かなり二人は遠慮して断っていたけど、
「わたしの大事なアイシャをずっと見守ってくれているお礼だ、受け取って欲しい」と言われて断れなかったみたい。
ロウトがこっそりとわたしに言った。
「あんな豪華な衣装俺には似合わないと思いませんか?」
「ロウトはカッコいいから大丈夫よ、それよりもメリッサの花嫁姿、絶対綺麗よ、ロウトは引き立て役なんだから我慢して!」
「はあ、簡単な結婚式をするはずが、かなり豪華な結婚式になりそうだ」
「ふふ、ロウト。わたしとお祖父様が知ってしまったのだもの、諦めなさい。お祖父様が全て出してくださるのだから甘えなくっちゃ!」
「俺、貧乏男爵家の次男なんですよ……ハアー」
ロウトはぶつぶつ言ってるけど、本当は仮縫いの時にメリッサの綺麗なドレス姿を見て目を潤ませていたのを知っている。
◇ ◇ ◇
約束の休日の日、キリアン様が馬車でお迎えに来てくれた。
街中に入る手前で馬車を降りて二人だけで買い物をして回った。
普通なら護衛騎士としてロウトが付くのだが、今日は護衛騎士としても優秀なキリアン様がいてくれるので、お祖父様が二人だけの買い物を許可してくれた。
あとひと月で帰るキリアン様。
一緒に過ごせる時間が少ないのを知っているので、二人っきりで過ごさせてくれたのだと思う。
雑貨屋さんに行ってオルゴールを見たり、ペンを見たりしたけど何を買っていいのかわからなくて、キリアン様には悪いなと思いながらいくつものお店を回った。
そしてやっと選んだのが
「あ、これはどうかしら?」
二人お揃いの腕時計だった。
懐中時計を持っている人は多いけど、腕時計は高級品なのでなかなか買いづらい。
だから二人にプレゼントをしたいと思った。
「うん、いいと思うよ」
「いっぱい付き合わせてしまってすみませんでした」
わたしはお詫びを言いつつ、「もう少しお時間がおありでしたら、カフェに行きませんか?」
と誘ってみた。
「うん、少しゆっくりしよう」
キリアン様と入ったお店は今私たち学生の間で人気のあるスイーツが美味しいと言われているカフェだった。
ここのケーキの本日のおすすめがシャルロットケーキだった。
底と側面にビスキュイ生地を並べ、中にやムースを流し固め、その上にフルーツなどでデコレーションしたケーキで、ムースを囲んだビスキュイの上から、リボンで飾り付けするというとても手の込んだ可愛いケーキだった。
「美味しい」
口に入れると思わず声が出てしまった。
「帰りに屋敷の人達にも買って帰ろう」
キリアン様がとても素敵な提案をしてくれた。
「はい!」
みんなの顔を思い出して絶対に喜んでくれるだろうと思うと、それだけで楽しくなった。
「アイシャ、これ俺からなんだけど、あげる」
キリアン様がテーブルにそっと置いたのは小さな箱だった。
綺麗に包装されてリボンを付けていた。
「これは?」
「うん、俺も何かアイシャにあげたかったんだ」
「ありがとうございます」
「開けてみて」
わたしは頷いて開けた。
そこには、金のチェーンにエメラルドのチャーム。
リボンの形に可愛く装飾されているチャームは、金の土台にエメラルドが組み込まれていた。
「可愛い」
とっても嬉しくて手に取って見ていると、キリアン様が「貸して」と言ってわたしの首にペンダントを付けてくれた。
「これにはアイシャを守る魔法を付与しているからずっと付けていてね、ちょっとした怪我とかなら守ってくれるから」
「ありがとう、とても嬉しいです」
自分の怪我は治せない癒しの魔法。
それを知っているからキリアン様はこのペンダントをくれたのだ。
嬉しい、でも、もうそばにいられないから代わりにこれをくれたのだと思うと胸がチクっと痛んだ。
「アイシャ、ずるいかもしれないけど今もう一度だけ聞くね、俺とバナッシユ国へ行かないかな?」
だって大好きな二人がお付き合い?結婚?
もうそれだけで嬉しくて、不思議についニコニコとしてしまう。
メリッサはそんなわたしを見ると
「お願ですからそんな目でわたしを見ないでください」
と赤い顔をしてしまう。
「だって嬉しいんだもの。わたしの大好きな二人が結婚するなんて、とっても嬉しいわ」
わたしはふと思いついた。
「結婚式はいつ?ドレスは?まだ決まっていないのならわたしにプレゼントさせて欲しい」
「アイシャ様、わたしもロウトも男爵家の次男と三女です。結婚式は身内だけで簡単に挙げるつもりです」
「わたし結婚式に出たことないからわからないけど、わたしは出席できないの?」
「アイシャ様が出席されるなんて……そんな畏れ多いことはできません」
「そっかあ、二人の幸せな姿を見れないのね」
がっかりして俯いているとメリッサが慌てて言った。
「アイシャ様、本当はわたしも出席して欲しいのです、で……「ほんと?じゃあ出席するわね」
「…あ、嘘泣き…」
メリッサが肩をすくめた。
「カイザ様から了承を得てからでもよろしいですか?」
「もちろんよ、わたしからお祖父様にお願いをするわ」
そして……
お祖父様にすぐに尋ねると
「メリッサとロウトの結婚式か……わたしももちろん呼んでくれるんだろう?」
と、二人に聞いたら、二人はお互い見つめ合って
「宜しいのでしょうか?」と、死んだ顔になっていた。
わたしとお祖父様は久しぶりに心から笑顔になった。
結婚祝いを買いたくて、でもロウトとメリッサについて来てもらうとプレゼントにならないので、わたしはキリアン様と行くことになった。
「そっか、二人の結婚式か、その頃には俺はいないからプレゼントだけでも贈りたいから一緒に買い物に行こう」
キリアン様とたぶん最後の買い物に行くことになる。
プレゼントを買うのも楽しみだけど、キリアン様とお出掛けするのも楽しみでワクワクしながらその日を心待ちにした。
二人の結婚式の衣装はお祖父様が、強制的にプレゼントした。
かなり二人は遠慮して断っていたけど、
「わたしの大事なアイシャをずっと見守ってくれているお礼だ、受け取って欲しい」と言われて断れなかったみたい。
ロウトがこっそりとわたしに言った。
「あんな豪華な衣装俺には似合わないと思いませんか?」
「ロウトはカッコいいから大丈夫よ、それよりもメリッサの花嫁姿、絶対綺麗よ、ロウトは引き立て役なんだから我慢して!」
「はあ、簡単な結婚式をするはずが、かなり豪華な結婚式になりそうだ」
「ふふ、ロウト。わたしとお祖父様が知ってしまったのだもの、諦めなさい。お祖父様が全て出してくださるのだから甘えなくっちゃ!」
「俺、貧乏男爵家の次男なんですよ……ハアー」
ロウトはぶつぶつ言ってるけど、本当は仮縫いの時にメリッサの綺麗なドレス姿を見て目を潤ませていたのを知っている。
◇ ◇ ◇
約束の休日の日、キリアン様が馬車でお迎えに来てくれた。
街中に入る手前で馬車を降りて二人だけで買い物をして回った。
普通なら護衛騎士としてロウトが付くのだが、今日は護衛騎士としても優秀なキリアン様がいてくれるので、お祖父様が二人だけの買い物を許可してくれた。
あとひと月で帰るキリアン様。
一緒に過ごせる時間が少ないのを知っているので、二人っきりで過ごさせてくれたのだと思う。
雑貨屋さんに行ってオルゴールを見たり、ペンを見たりしたけど何を買っていいのかわからなくて、キリアン様には悪いなと思いながらいくつものお店を回った。
そしてやっと選んだのが
「あ、これはどうかしら?」
二人お揃いの腕時計だった。
懐中時計を持っている人は多いけど、腕時計は高級品なのでなかなか買いづらい。
だから二人にプレゼントをしたいと思った。
「うん、いいと思うよ」
「いっぱい付き合わせてしまってすみませんでした」
わたしはお詫びを言いつつ、「もう少しお時間がおありでしたら、カフェに行きませんか?」
と誘ってみた。
「うん、少しゆっくりしよう」
キリアン様と入ったお店は今私たち学生の間で人気のあるスイーツが美味しいと言われているカフェだった。
ここのケーキの本日のおすすめがシャルロットケーキだった。
底と側面にビスキュイ生地を並べ、中にやムースを流し固め、その上にフルーツなどでデコレーションしたケーキで、ムースを囲んだビスキュイの上から、リボンで飾り付けするというとても手の込んだ可愛いケーキだった。
「美味しい」
口に入れると思わず声が出てしまった。
「帰りに屋敷の人達にも買って帰ろう」
キリアン様がとても素敵な提案をしてくれた。
「はい!」
みんなの顔を思い出して絶対に喜んでくれるだろうと思うと、それだけで楽しくなった。
「アイシャ、これ俺からなんだけど、あげる」
キリアン様がテーブルにそっと置いたのは小さな箱だった。
綺麗に包装されてリボンを付けていた。
「これは?」
「うん、俺も何かアイシャにあげたかったんだ」
「ありがとうございます」
「開けてみて」
わたしは頷いて開けた。
そこには、金のチェーンにエメラルドのチャーム。
リボンの形に可愛く装飾されているチャームは、金の土台にエメラルドが組み込まれていた。
「可愛い」
とっても嬉しくて手に取って見ていると、キリアン様が「貸して」と言ってわたしの首にペンダントを付けてくれた。
「これにはアイシャを守る魔法を付与しているからずっと付けていてね、ちょっとした怪我とかなら守ってくれるから」
「ありがとう、とても嬉しいです」
自分の怪我は治せない癒しの魔法。
それを知っているからキリアン様はこのペンダントをくれたのだ。
嬉しい、でも、もうそばにいられないから代わりにこれをくれたのだと思うと胸がチクっと痛んだ。
「アイシャ、ずるいかもしれないけど今もう一度だけ聞くね、俺とバナッシユ国へ行かないかな?」
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