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癒しの魔法②
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《類は友を呼ぶ》
本当にそう思った。
イザベラ様とよく一緒にいたこの人は同じ人種。
「なんでそんな平民を治療するの?わたしの足が先でしょう?わたしは伯爵令嬢よ!」
無視にも限界はある。
団長さんは現場で指示を出したりと忙しそうで、わたしのそばにはあまり居られない。
ここに居るのはいつも一緒に食事をする第二王子殿下の護衛の近衛騎士さん。
「セレン様、どうしますか?」
チラッとうるさい令嬢を見た。
足は多分骨折しているのだろう。腫れ上がってきている。でも今治療している人は放っておけば死んでしまう。
平民だろうと貴族だろうと命は一つ。どちらも大事。だったら死にそうな人を先に治療する。
「うるさい!早く治して欲しいなら黙ってて。この人は今治療しないと死ぬの!貴女は痛いかもしれないけど死なない!他の人は我慢してくれてます。子供じゃないんだから順番がくるまで大人しくしていてください」
「な、何よ!貴女生意気よ!たかが治療師のくせに。貴族のわたしに向かって失礼だと思わないのかしら?」
ーーわたし今顔隠してるからこの人にはバレていないんだ。
「病人の前では平民も貴族も関係ありません」
「セレン殿、もうおやめください。後で問題になりますから」
ーー近衛騎士さんはわたしが言い返すのをやめさせた。
わたしは伯爵令嬢だったけど今は家を出ている。今は後ろ盾がない。何かあっても助けてくれる人はもういない。
それを知っているから止めてくれた。
「治療に専念します」
それからの時間は早く過ぎた。
暴動は抑え込まれたらしい。
だけどその後の怪我人はどんどん増えてくる。
「もうこの布邪魔だわ、もう素顔でもいいわ」
目の前に布があるとやりづらい。
布を取り治療をしていると次は例の騒いでいた伯爵令嬢。
「貴女……セレン様ではないの?スティーブ様に捨てられた?こんなところで働いているなんて惨めね?」
治療中クスクス笑い耳元でわたしを馬鹿にする。
ーーこの人わかっているのかしら?だれが治療しているのか?
以前のやり方で治療する?それとも痛みを減らす今のやり方?
心の狭いわたしはそんなことを考えながら治療していた。
ーーもちろん痛みはできるだけないように魔力は流した。
だけど完璧に治すのだけはやめた。
「骨は繋がりました。あと腫れは時間をかけてゆっくり治してください」
「へ?どうして完全に治してくれないのよ?」
「わたしはあと何人の治療をしないといけないか分かりませんので全員、完治はしていません」
「わたしだけはきちんと治しなさい!お金を払うわ」
「金貨100枚くださるなら」
「そんなお金払えないわよ、お父様に叱られるわ」
「たかが100枚のお金も払えないのですか?それならあとは自然治癒でお願いいたします」
ーー金貨100枚は伯爵家くらいの規模ならひと月の予算くらいのお金。(実家の伯爵家では)
たかが令嬢では払えないだろう。
「たかがって貴女なんてスティーブ様に捨てられ親元にも帰れないくせに!だからここで惨めに働いているのでしょう?」
「わたしはたかが金貨100枚くらいならいつでも自由に使えます、そしてわたしの仕事は惨めではありません。誇りを持っています」
「治療師のくせに!」
「いえ、わたしは騎士団の事務員です」
「はっ?何それ?そんな仕事をしているの?」
「はい、とても誇りに思っておりますが?」
ーーまぁ、確かに給金は月金貨2枚だけど。
とりあえずうるさいので完治した。
「請求書は彼女の実家に送っといてください」
「はい、承知しました」
「払うなんて言っていないわ!」
「貴女は治せ治せと何度も言ったんですよ?ここにいるすべての人が聞いています。しっかりと請求させていただきます」
わたしは彼女を置いてさっさと次の人の治療にかかった。
「あんたも大変だな」
治療をしていると同情の声が。
「ま、仕方がないですよね」わたしは苦笑するしかなかった。
ある程度症状のひどい人は終わった頃、
「暴動で建物に火をつけた奴がいる。子供を助けようとして一人の騎士が重症の火傷を負っています。急遽治療してもらえますか?」
「わかったわ、連れてきてください」
◆ ◆ ◆
金貨1枚は20万円くらいの感覚で。
遅くなりました。
本当にそう思った。
イザベラ様とよく一緒にいたこの人は同じ人種。
「なんでそんな平民を治療するの?わたしの足が先でしょう?わたしは伯爵令嬢よ!」
無視にも限界はある。
団長さんは現場で指示を出したりと忙しそうで、わたしのそばにはあまり居られない。
ここに居るのはいつも一緒に食事をする第二王子殿下の護衛の近衛騎士さん。
「セレン様、どうしますか?」
チラッとうるさい令嬢を見た。
足は多分骨折しているのだろう。腫れ上がってきている。でも今治療している人は放っておけば死んでしまう。
平民だろうと貴族だろうと命は一つ。どちらも大事。だったら死にそうな人を先に治療する。
「うるさい!早く治して欲しいなら黙ってて。この人は今治療しないと死ぬの!貴女は痛いかもしれないけど死なない!他の人は我慢してくれてます。子供じゃないんだから順番がくるまで大人しくしていてください」
「な、何よ!貴女生意気よ!たかが治療師のくせに。貴族のわたしに向かって失礼だと思わないのかしら?」
ーーわたし今顔隠してるからこの人にはバレていないんだ。
「病人の前では平民も貴族も関係ありません」
「セレン殿、もうおやめください。後で問題になりますから」
ーー近衛騎士さんはわたしが言い返すのをやめさせた。
わたしは伯爵令嬢だったけど今は家を出ている。今は後ろ盾がない。何かあっても助けてくれる人はもういない。
それを知っているから止めてくれた。
「治療に専念します」
それからの時間は早く過ぎた。
暴動は抑え込まれたらしい。
だけどその後の怪我人はどんどん増えてくる。
「もうこの布邪魔だわ、もう素顔でもいいわ」
目の前に布があるとやりづらい。
布を取り治療をしていると次は例の騒いでいた伯爵令嬢。
「貴女……セレン様ではないの?スティーブ様に捨てられた?こんなところで働いているなんて惨めね?」
治療中クスクス笑い耳元でわたしを馬鹿にする。
ーーこの人わかっているのかしら?だれが治療しているのか?
以前のやり方で治療する?それとも痛みを減らす今のやり方?
心の狭いわたしはそんなことを考えながら治療していた。
ーーもちろん痛みはできるだけないように魔力は流した。
だけど完璧に治すのだけはやめた。
「骨は繋がりました。あと腫れは時間をかけてゆっくり治してください」
「へ?どうして完全に治してくれないのよ?」
「わたしはあと何人の治療をしないといけないか分かりませんので全員、完治はしていません」
「わたしだけはきちんと治しなさい!お金を払うわ」
「金貨100枚くださるなら」
「そんなお金払えないわよ、お父様に叱られるわ」
「たかが100枚のお金も払えないのですか?それならあとは自然治癒でお願いいたします」
ーー金貨100枚は伯爵家くらいの規模ならひと月の予算くらいのお金。(実家の伯爵家では)
たかが令嬢では払えないだろう。
「たかがって貴女なんてスティーブ様に捨てられ親元にも帰れないくせに!だからここで惨めに働いているのでしょう?」
「わたしはたかが金貨100枚くらいならいつでも自由に使えます、そしてわたしの仕事は惨めではありません。誇りを持っています」
「治療師のくせに!」
「いえ、わたしは騎士団の事務員です」
「はっ?何それ?そんな仕事をしているの?」
「はい、とても誇りに思っておりますが?」
ーーまぁ、確かに給金は月金貨2枚だけど。
とりあえずうるさいので完治した。
「請求書は彼女の実家に送っといてください」
「はい、承知しました」
「払うなんて言っていないわ!」
「貴女は治せ治せと何度も言ったんですよ?ここにいるすべての人が聞いています。しっかりと請求させていただきます」
わたしは彼女を置いてさっさと次の人の治療にかかった。
「あんたも大変だな」
治療をしていると同情の声が。
「ま、仕方がないですよね」わたしは苦笑するしかなかった。
ある程度症状のひどい人は終わった頃、
「暴動で建物に火をつけた奴がいる。子供を助けようとして一人の騎士が重症の火傷を負っています。急遽治療してもらえますか?」
「わかったわ、連れてきてください」
◆ ◆ ◆
金貨1枚は20万円くらいの感覚で。
遅くなりました。
応援ありがとうございます!
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