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第15話 ライアン編 ⑦
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「ライアンって優しいのね」
彼女の仄暗い笑顔にゾクっとした。
「やめてくれ!君はおかしいんじゃないのか?」
「どうして?わたし達は学生の頃から愛し合っていたわ。貴方がミシェル様と結婚したのは政略結婚だったのよ。わたし達は泣く泣く別れたの。でもミシェル様はこの屋敷を出て行った。
それはわたし達の愛を理解してくれたから身を引いてくれたのよ。わたしのお腹の赤ちゃんと三人で仲良く暮らしましょう?愛しているわ、貴方だけなの」
「何度も言っただろう、僕は君を探るために近づいただけ。君も僕に近づいて利用しようとした。
お互い様のはずだ。君の家が没落したのも自業自得だ。もうこれ以上付き纏わないでくれ」
「ライアン、愛しているわ、ねえ」
ルシアは僕に抱きついてきた。
振り払おうにも彼女は身籠っている。
無理矢理振り払い乱暴にするわけにはいかない。
ルシアは僕に顔を近づけてキスをしようとした。
その時、扉のコトッという音が聞こえてきた。ルシアは扉の方を見ながらニヤッと笑いながら僕に口付けた。
「あら!嫌だわ、奥様が見ているわよライアン」
ニヤッと笑ってミシェルを嘲笑うかのように見た。
「離れてくれ!違うんだ、ミシェル!」
「何が違うの?わたしが今この屋敷に帰ってきていることを知っていて二人は抱き合っていたの?
キスをしていたの?
二人が愛し合っているのならわたしは必要ないでしょう?離縁して!
そうすれば二人はそんなに隠れて愛し合う必要はないわ!堂々と愛し合えばいいのよ!」
「ふふ、ありがとう。奥様の許可を得たわ。ライアンこれからは隠れなくても会えるのね、嬉しいわ」
「やめてくれ!誤解だ。ルシアは無理矢理押し入って来たんだ。だから帰そうとしていただけだ!隠れて会ってなどいないんだ」
「ライアン、目の前で見たこれが全てよ、さようなら」
ミシェルはアナンにウランを抱っこしてもらい、自分の部屋の荷物の中の必要なものだけをとりあえず持って屋敷を出て行ってしまった。
僕はミシェルを引き止めようと必死だった。
ルシアを振り払い、ミシェルを追いかけた。
「行かないで、君を愛しているんだ」
ミシェルは僕の言葉を信じてはくれない。
「わたしは貴方の愛を一度も感じたことなどないわ」
「ふふ、ハハハ!だってライアンはわたしをずっと好きなのよ?貴女は政略結婚で仕方なく結婚しただけの妻なのよ。いつもライアンは言ってたわ、婚約解消できないのは、別に好きでもないのに政略結婚だから仕方がないんだって」
「違う!」
「違わないでしょ?ずっとわたしに愛を囁いて彼女を貶していたわ。これは真実よ」
「……ぐっ….、確かに言った、だが違うんだミシェル信じてくれ」
ーーあれは彼女をその気にさせるために言っただけ。
真実ではない。
「ライアン、弁護士をよこすわ、もう会うことはないでしょう」
ミシェルは冷めた顔で屋敷を後にした。
僕は立ったまま呆然としていた。
「ライアン、邪魔者はいなくなったわ。ふふふ、さあこれから幸せになりましょう?」
「いい加減にしてくれ!早くこいつを騎士団に連行してくれ!二度と顔を見せるな!」
僕はルシアを睨みつけた。
「もうミシェル様は貴方のこと、見切りをつけたわ。このお腹の赤ちゃんと幸せになるしかないのよ」
「ふざけるな!誰の子か知らないが絶対に僕の子ではない!僕の子はウランだけだ。愛しているのもミシェルだけなんだ!君は頭がおかしいんじゃないか?」
「ふふふふふ、あははは!」
ルシアは不気味な笑いをずっと続けながら連行されて行った。
僕は急ぎミシェルの実家の侯爵家へ行ったが、ミシェルはいなかった。
「ライアン、どうしたの?そんなに慌てて。ミシェルは貴方と話し合うためにさっきそちらの屋敷に帰ったはずよ」
ミシェルの母上が僕に優しく教えてくれたが、僕の仕出かした事を話すと、
「ハアー、貴方達はどうしてそんなにすれ違って拗らせているのかしら?互い愛し合っているのは傍から見ればわかりやすいくらいなのに……ライアンが素直にならなかったからミシェルはずっと愛されていないと勘違いしているのよ」
「わかっています。なんとかミシェルと話して誤解を解きたいと思っているのですが、彼女と話すことすらできていません」
「もう諦めるのも一つの案だと思うわ。流石にミシェルは殿下と結ばれた方が幸せだと思ってしまうの」
「嫌です。僕はずっとミシェルを愛しています」
彼女の仄暗い笑顔にゾクっとした。
「やめてくれ!君はおかしいんじゃないのか?」
「どうして?わたし達は学生の頃から愛し合っていたわ。貴方がミシェル様と結婚したのは政略結婚だったのよ。わたし達は泣く泣く別れたの。でもミシェル様はこの屋敷を出て行った。
それはわたし達の愛を理解してくれたから身を引いてくれたのよ。わたしのお腹の赤ちゃんと三人で仲良く暮らしましょう?愛しているわ、貴方だけなの」
「何度も言っただろう、僕は君を探るために近づいただけ。君も僕に近づいて利用しようとした。
お互い様のはずだ。君の家が没落したのも自業自得だ。もうこれ以上付き纏わないでくれ」
「ライアン、愛しているわ、ねえ」
ルシアは僕に抱きついてきた。
振り払おうにも彼女は身籠っている。
無理矢理振り払い乱暴にするわけにはいかない。
ルシアは僕に顔を近づけてキスをしようとした。
その時、扉のコトッという音が聞こえてきた。ルシアは扉の方を見ながらニヤッと笑いながら僕に口付けた。
「あら!嫌だわ、奥様が見ているわよライアン」
ニヤッと笑ってミシェルを嘲笑うかのように見た。
「離れてくれ!違うんだ、ミシェル!」
「何が違うの?わたしが今この屋敷に帰ってきていることを知っていて二人は抱き合っていたの?
キスをしていたの?
二人が愛し合っているのならわたしは必要ないでしょう?離縁して!
そうすれば二人はそんなに隠れて愛し合う必要はないわ!堂々と愛し合えばいいのよ!」
「ふふ、ありがとう。奥様の許可を得たわ。ライアンこれからは隠れなくても会えるのね、嬉しいわ」
「やめてくれ!誤解だ。ルシアは無理矢理押し入って来たんだ。だから帰そうとしていただけだ!隠れて会ってなどいないんだ」
「ライアン、目の前で見たこれが全てよ、さようなら」
ミシェルはアナンにウランを抱っこしてもらい、自分の部屋の荷物の中の必要なものだけをとりあえず持って屋敷を出て行ってしまった。
僕はミシェルを引き止めようと必死だった。
ルシアを振り払い、ミシェルを追いかけた。
「行かないで、君を愛しているんだ」
ミシェルは僕の言葉を信じてはくれない。
「わたしは貴方の愛を一度も感じたことなどないわ」
「ふふ、ハハハ!だってライアンはわたしをずっと好きなのよ?貴女は政略結婚で仕方なく結婚しただけの妻なのよ。いつもライアンは言ってたわ、婚約解消できないのは、別に好きでもないのに政略結婚だから仕方がないんだって」
「違う!」
「違わないでしょ?ずっとわたしに愛を囁いて彼女を貶していたわ。これは真実よ」
「……ぐっ….、確かに言った、だが違うんだミシェル信じてくれ」
ーーあれは彼女をその気にさせるために言っただけ。
真実ではない。
「ライアン、弁護士をよこすわ、もう会うことはないでしょう」
ミシェルは冷めた顔で屋敷を後にした。
僕は立ったまま呆然としていた。
「ライアン、邪魔者はいなくなったわ。ふふふ、さあこれから幸せになりましょう?」
「いい加減にしてくれ!早くこいつを騎士団に連行してくれ!二度と顔を見せるな!」
僕はルシアを睨みつけた。
「もうミシェル様は貴方のこと、見切りをつけたわ。このお腹の赤ちゃんと幸せになるしかないのよ」
「ふざけるな!誰の子か知らないが絶対に僕の子ではない!僕の子はウランだけだ。愛しているのもミシェルだけなんだ!君は頭がおかしいんじゃないか?」
「ふふふふふ、あははは!」
ルシアは不気味な笑いをずっと続けながら連行されて行った。
僕は急ぎミシェルの実家の侯爵家へ行ったが、ミシェルはいなかった。
「ライアン、どうしたの?そんなに慌てて。ミシェルは貴方と話し合うためにさっきそちらの屋敷に帰ったはずよ」
ミシェルの母上が僕に優しく教えてくれたが、僕の仕出かした事を話すと、
「ハアー、貴方達はどうしてそんなにすれ違って拗らせているのかしら?互い愛し合っているのは傍から見ればわかりやすいくらいなのに……ライアンが素直にならなかったからミシェルはずっと愛されていないと勘違いしているのよ」
「わかっています。なんとかミシェルと話して誤解を解きたいと思っているのですが、彼女と話すことすらできていません」
「もう諦めるのも一つの案だと思うわ。流石にミシェルは殿下と結ばれた方が幸せだと思ってしまうの」
「嫌です。僕はずっとミシェルを愛しています」
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