上 下
112 / 255

早急に片付けましょう

しおりを挟む
(さて、どうしようかな…。)


まだ暗殺者達は纏まっているようだ。
一先ず、先程と同じように瞬間移動で近くまで移動した。
会話が聞こえてくる。


「今は標的ヴァリフィアを刺激しないよう、下手に動かないことが得策だ。」

「そうだな。」

「かなり警戒しているでしょうね。」

「そもそも、我らが暗殺者だって気付いているのか?」

「確かに。姿を見られただけで、我らの正体を察する事など出来るのか?」

「相手は『賢華』の二つ名を持つ者だ。我らの事など、一瞬で見破るだろうよ。」

「なかなかどうして、厄介極まりない依頼だな。」

「全くだよ。」


溜息を吐く暗殺者達。
私はそんな彼らの元へ、普通に近づいて行く。


「そうですね……そんな格好をして気配を消していれば、貴方々が暗殺者である事くらい容易に結論づけられましたよ。」

「何者だっ!」

「聞くまでもないでしょう?この中で暗殺対象である私を知らない者など、いるはずがないのですから。」

「ッッ!ヴァリフィア……侯爵令嬢…。」

「ええ、その通りです。周りでこそこそされては苛立つので、来てあげたのですよ。」


私が笑顔でそう言うと、暗殺者達は顔を引き攣らせていた。
私に短剣などを向けて構えているが、一部の者は手が震えている。


「貴方々が悪くないのは分かっていますよ?暗殺これを生業としているのですから。責任を追求するならば、依頼人に直接会う方が早いでしょう。」

「な、何を…。」

「とりあえず、拘束させていただきます。『魔光縛』!」


その瞬間、暗殺者達は魔法の光によって捕縛された。


「『魔光縛』には、魔法を使用不可にする効果もあります。暫くの間、動かないようにして下さいね?無理に魔法を解こうとすれば、身体が上下に分かれてしまいますから。」


暗殺者達はぎょっとしていたが、私は気にせず次の場所へ瞬間移動で向かった。
印を付けた暗殺者がいる、隣国の公爵家だ。
一度行ったことのある場所にしか瞬間移動は出来ないが、例外がある。
それは、今回のように印を付けている者がいる場合。
魔法の繋がりがあるので、それを辿ることで例え訪れた事のない場所にも、瞬間移動が可能となっいた。

私は無言で目の前の扉を開ける。
中に入り、この公爵家の主に一礼した--
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

婚約破棄されましたが、幼馴染の彼は諦めませんでした。

恋愛 / 完結 24h.ポイント:3,393pt お気に入り:281

シンデレラは婚約破棄させられるそうです。

恋愛 / 完結 24h.ポイント:28pt お気に入り:804

誰からも愛される妹は、魅了魔法を撒き散らしていたようです

恋愛 / 完結 24h.ポイント:582pt お気に入り:128

最初に私を蔑ろにしたのは殿下の方でしょう?

恋愛 / 完結 24h.ポイント:22,258pt お気に入り:1,965

1年後に離縁してほしいと言った旦那さまが離してくれません

恋愛 / 完結 24h.ポイント:4,799pt お気に入り:3,767

好きになって貰う努力、やめました。

恋愛 / 完結 24h.ポイント:6,674pt お気に入り:2,188

悪女と呼ばれた死に戻り令嬢、二度目の人生は婚約破棄から始まる

恋愛 / 完結 24h.ポイント:5,880pt お気に入り:2,476

処理中です...