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第150話 堕天
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「これは先程神サリエルの仕事部屋から持って来た書類です。…そしてこれらは私たちが処理する予定だった書類です。」
「なっ…!!」
イシスが発言した瞬間、裁判所全体にざわめきが広がった。
…仕事の横取りをした濡れ衣を着せられたのだろうか?
「静粛に!!!」
「質問よろしいでしょうか?」
「許す。」
「神イシス、貴方の仕事は確か下界の魔法についてでしたか?」
「はい。」
「つまり輪廻を司る神サリエルが、担当外である魔法の書類を処理したということでしょうか?」
「その通りです。」
また裁判所全体にざわめきが広がった。
いくら禁忌だとしても、この慌て方は異常だ。
…何か裏があるに違いない。
「…魔法は至高なるもの。魔法神しか取り扱ってはいけないのですが…神サリエル、何か弁解はありますか?」
「我はそのような書類を見ていない!!濡れ衣だ!!!」
「嘘をつくな!!私はお前の部屋からこれを持って来たのだ!!」
「静粛に!!…鑑定人、神イシスの書類にある筆跡を”鑑定”してみたまえ。」
「御意に。」
天界にも鑑定のスキルがあったとは。
鑑定人なる人物がイシスが渡した書類を”鑑定”した。
「…間違いなく神サリエルのものです。」
「なんと…!!」
「これは永久追放か…?」
事態が嫌な方へと向かっていく。
俺にはどうしようもできないのがじれったい。
『…本当にサリエルが書いたものなのか?一点に”鑑定”スキルを集中して…”看破”!』
すると、筆跡が全く別のものへと変化した。
”看破”で変わったということは、おそらくあの書類には”偽装”スキルまたはそれに類するスキルが行使されていたのだろう。
『…聞いた通りやっぱり冤罪か。それにしても鑑定人の”鑑定”を欺くほどの”偽装”とは…』
鑑定人の鑑定能力が低いのか、はたまた”偽装”スキルの能力が高いのか。
…または鑑定人もグルか。
周りを”鑑定”する限り、どうやら”偽装”スキルが”鑑定”スキルを上回っていたようだ。
そしてその”偽装”スキルを行使したのはもちろんイシスだった。
『サリエルを陥れてイシスは現代で崇拝されてるのか…それは胸糞悪いな。』
亜人差別を無くしたい俺にとってもイシスの討伐は利害が一致している。
…それに神話生物を倒しているうちに獲得した”神殺し”のスキルを試してみたい。
神を殺した時、果たしてどうなるのだろうか。
莫大な経験値がもらえるのか、はたまた種族進化を起こすのか…
気になって仕方ない。
「静粛に!!神サリエル、何か言い残すことは?」
「本当に我はやっていない!!」
「小賢しい!!鑑定人の結果が間違っているというのか…?」
「それは…」
「サリエルはそんなことやらないわ!!私が横で見てたもの!!」
「…では神マリアも禁忌を見逃したということで同罪になりますが?」
「そんな…」
サリエルの脳内で疑問、焦り、怒り、不安など色々な感情が交錯している。
そして最後には”マリアを守りたい”という感情が全てを覆いつくした。
「…我が独断で…神マリアに隠れてやった。」
「サリエル!!!だめよ!!!」
「では神サリエル。お前を天界から永久追放する。」
「マリア…どうか我の分まで出世して幸せに生きてくれ。」
「サリエル!!!…エル!!!」
ゼウスが木槌を打つと、サリエルの羽が消えて落下していった。
マリアの声が届かなくなり、そしてサリエルは涙を流しながら地上に落ちていった。
『そんなことがあったのか…』
記憶を見られる時間が無くなり、俺の意識がだんだん遠のいていった。
「…よ…めよ…目覚めよ。」
死神の声で目を覚ました。
辺りを見回す限り、時間はそれほど経っていないようだ。
「死神…サリエルと呼んだ方がいいのか?」
「いや、その名は堕天と同時に失ったのだ。…死神で構わん。」
「そうか…」
死神にはどこか哀愁が漂っている。
やはり天界に未練があるのだろうか…?
「それで、汝はイシスへの復讐に力を貸してくれるか?」
「ああ!…ただし条件付きだ。」
「何でも言ってみろ。」
「俺が治めるヴァルハラ帝国と協力関係を築くか、俺の配下になってくれ。」
「…前者なら良かろう。ただし、汝がもし我よりも強くなったのならその時は配下に加わろう。」
「…っ!!本当か!?」
「うむ。」
死神が配下に加わったら、死者の魂さえも”召喚魔法”や”黒魔法”の素材にできるので一気に戦力が増強される。
…まぁ死神より強くなったらもう怖いもの無しなんだがな。
「では汝…ダグラス、これからよろしく頼む。」
「こちらこそよろしく。…そうだ!死神、神マリアは無事出世したぞ。」
「…それは本当か!?」
「ああ!俺は異世界転生者なんだが…彼女に転生させてもらったんだ!!」
「そうか…そうか…!!」
死神の涙は枯れ切ってしまっているはずだ。
それなのに、神マリアの無事を知って涙を流しているように見えた。
「なっ…!!」
イシスが発言した瞬間、裁判所全体にざわめきが広がった。
…仕事の横取りをした濡れ衣を着せられたのだろうか?
「静粛に!!!」
「質問よろしいでしょうか?」
「許す。」
「神イシス、貴方の仕事は確か下界の魔法についてでしたか?」
「はい。」
「つまり輪廻を司る神サリエルが、担当外である魔法の書類を処理したということでしょうか?」
「その通りです。」
また裁判所全体にざわめきが広がった。
いくら禁忌だとしても、この慌て方は異常だ。
…何か裏があるに違いない。
「…魔法は至高なるもの。魔法神しか取り扱ってはいけないのですが…神サリエル、何か弁解はありますか?」
「我はそのような書類を見ていない!!濡れ衣だ!!!」
「嘘をつくな!!私はお前の部屋からこれを持って来たのだ!!」
「静粛に!!…鑑定人、神イシスの書類にある筆跡を”鑑定”してみたまえ。」
「御意に。」
天界にも鑑定のスキルがあったとは。
鑑定人なる人物がイシスが渡した書類を”鑑定”した。
「…間違いなく神サリエルのものです。」
「なんと…!!」
「これは永久追放か…?」
事態が嫌な方へと向かっていく。
俺にはどうしようもできないのがじれったい。
『…本当にサリエルが書いたものなのか?一点に”鑑定”スキルを集中して…”看破”!』
すると、筆跡が全く別のものへと変化した。
”看破”で変わったということは、おそらくあの書類には”偽装”スキルまたはそれに類するスキルが行使されていたのだろう。
『…聞いた通りやっぱり冤罪か。それにしても鑑定人の”鑑定”を欺くほどの”偽装”とは…』
鑑定人の鑑定能力が低いのか、はたまた”偽装”スキルの能力が高いのか。
…または鑑定人もグルか。
周りを”鑑定”する限り、どうやら”偽装”スキルが”鑑定”スキルを上回っていたようだ。
そしてその”偽装”スキルを行使したのはもちろんイシスだった。
『サリエルを陥れてイシスは現代で崇拝されてるのか…それは胸糞悪いな。』
亜人差別を無くしたい俺にとってもイシスの討伐は利害が一致している。
…それに神話生物を倒しているうちに獲得した”神殺し”のスキルを試してみたい。
神を殺した時、果たしてどうなるのだろうか。
莫大な経験値がもらえるのか、はたまた種族進化を起こすのか…
気になって仕方ない。
「静粛に!!神サリエル、何か言い残すことは?」
「本当に我はやっていない!!」
「小賢しい!!鑑定人の結果が間違っているというのか…?」
「それは…」
「サリエルはそんなことやらないわ!!私が横で見てたもの!!」
「…では神マリアも禁忌を見逃したということで同罪になりますが?」
「そんな…」
サリエルの脳内で疑問、焦り、怒り、不安など色々な感情が交錯している。
そして最後には”マリアを守りたい”という感情が全てを覆いつくした。
「…我が独断で…神マリアに隠れてやった。」
「サリエル!!!だめよ!!!」
「では神サリエル。お前を天界から永久追放する。」
「マリア…どうか我の分まで出世して幸せに生きてくれ。」
「サリエル!!!…エル!!!」
ゼウスが木槌を打つと、サリエルの羽が消えて落下していった。
マリアの声が届かなくなり、そしてサリエルは涙を流しながら地上に落ちていった。
『そんなことがあったのか…』
記憶を見られる時間が無くなり、俺の意識がだんだん遠のいていった。
「…よ…めよ…目覚めよ。」
死神の声で目を覚ました。
辺りを見回す限り、時間はそれほど経っていないようだ。
「死神…サリエルと呼んだ方がいいのか?」
「いや、その名は堕天と同時に失ったのだ。…死神で構わん。」
「そうか…」
死神にはどこか哀愁が漂っている。
やはり天界に未練があるのだろうか…?
「それで、汝はイシスへの復讐に力を貸してくれるか?」
「ああ!…ただし条件付きだ。」
「何でも言ってみろ。」
「俺が治めるヴァルハラ帝国と協力関係を築くか、俺の配下になってくれ。」
「…前者なら良かろう。ただし、汝がもし我よりも強くなったのならその時は配下に加わろう。」
「…っ!!本当か!?」
「うむ。」
死神が配下に加わったら、死者の魂さえも”召喚魔法”や”黒魔法”の素材にできるので一気に戦力が増強される。
…まぁ死神より強くなったらもう怖いもの無しなんだがな。
「では汝…ダグラス、これからよろしく頼む。」
「こちらこそよろしく。…そうだ!死神、神マリアは無事出世したぞ。」
「…それは本当か!?」
「ああ!俺は異世界転生者なんだが…彼女に転生させてもらったんだ!!」
「そうか…そうか…!!」
死神の涙は枯れ切ってしまっているはずだ。
それなのに、神マリアの無事を知って涙を流しているように見えた。
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