世界でいちばん、近くて遠い
関西の田舎町で生まれ育った暎(あき)は、高校を卒業後、地元の市役所に就職した。生まれ育った町が好きだったからだ。
働き始めて三年目の夏、仕事にも慣れ順風満帆な日々を過ごしていた暎の前に、東京の大学に進学して以降音信不通だった幼馴染みの春海(はるみ)が現れる。
高校を卒業する直前に気まずくなり、それきりだった相手。「あきちゃんは変わらんねぇ」とほほえむ春海は、まったく屈託のない調子だった。
大学の夏休み中ずっと滞在すると聞いた暎はますます戸惑うが、嫌いなはずの故郷に戻らざるを得なかった事情を知るにつれ、放っておけなくなり――。
物心ついたときから、一番近くにいた。一番近くにいて、ずっと一緒に生きてきた。なんでも知っていると思っていた。でも、違った。あいつが俺のことを好きだったなんて、俺はなにも知らなかった。
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