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こんなときも、父上や、母上は駆けつけて下さらない。
可愛い可愛い弟がいるものね。
第一王子が婚約者、ということだけが取り柄みたいなものだったのに、それさえなくなってしまったのだから、来ないのも納得だ。
グッと下唇を噛み締め、涙を堪える。
弱い姿を貴方に見せたくない。
ファリーダにも。
「…っうっ、うっうっ」
ラルス様が喋らなくなったために静まり返ったホールに、嗚咽が響いた。
「ファリーダっ、どうした!?」
やっとのこと、ラルス様が声を出した。
「うっ、うっ、だって、メリーア様がなかなか、罪を認めて下さらないのだものっ!浮かばれないわ…っ。」
「ファリーダ……」
『罪』。
一体、何に対しての?
貴女の罪は?
私に非があると?
浮かばれない浮かばれない浮かばれない
浮かばれない。
「そうだね…、メリーアと一緒にいるのは、辛いだろう…」
「衛兵、メリーアを連れていけ!」
ファリーダにとって、私が認めるか否かなんて、どうでも良いのだろう。
衛兵に両腕を掴まれて、『罪人』扱い。
私の視界には、衛兵と衛兵の間に、茶番を繰り広げている二人が見えた。
このまま黙って引きずられるくらいなら。
言ってしまおう、此処で。
「ラルス様。私は、貴方をお慕いしておりました。貴方を愛しておりました!地位も、名声も、財力も、どうでも良かったのです。」
「どうか、お幸せに…」
此処で、怨みごとを叫ぶのは、より惨めだ。
「黙れ!二度と、その姿を現すな!」
私は、最後の最後まで、強くありました。
だから、捨てられたのでしょうか。
貴方の前で、弱い自分を見せたくなかった。
ホールの扉が閉まるとき見えた、貴方の懐かしい、ファリーダに向けての笑顔を見て、涙が溢れた。
どこで、間違ったのだろう。
可愛い可愛い弟がいるものね。
第一王子が婚約者、ということだけが取り柄みたいなものだったのに、それさえなくなってしまったのだから、来ないのも納得だ。
グッと下唇を噛み締め、涙を堪える。
弱い姿を貴方に見せたくない。
ファリーダにも。
「…っうっ、うっうっ」
ラルス様が喋らなくなったために静まり返ったホールに、嗚咽が響いた。
「ファリーダっ、どうした!?」
やっとのこと、ラルス様が声を出した。
「うっ、うっ、だって、メリーア様がなかなか、罪を認めて下さらないのだものっ!浮かばれないわ…っ。」
「ファリーダ……」
『罪』。
一体、何に対しての?
貴女の罪は?
私に非があると?
浮かばれない浮かばれない浮かばれない
浮かばれない。
「そうだね…、メリーアと一緒にいるのは、辛いだろう…」
「衛兵、メリーアを連れていけ!」
ファリーダにとって、私が認めるか否かなんて、どうでも良いのだろう。
衛兵に両腕を掴まれて、『罪人』扱い。
私の視界には、衛兵と衛兵の間に、茶番を繰り広げている二人が見えた。
このまま黙って引きずられるくらいなら。
言ってしまおう、此処で。
「ラルス様。私は、貴方をお慕いしておりました。貴方を愛しておりました!地位も、名声も、財力も、どうでも良かったのです。」
「どうか、お幸せに…」
此処で、怨みごとを叫ぶのは、より惨めだ。
「黙れ!二度と、その姿を現すな!」
私は、最後の最後まで、強くありました。
だから、捨てられたのでしょうか。
貴方の前で、弱い自分を見せたくなかった。
ホールの扉が閉まるとき見えた、貴方の懐かしい、ファリーダに向けての笑顔を見て、涙が溢れた。
どこで、間違ったのだろう。
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