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(※ラルス視点《婚約破棄前》)
『ごっ、ゴキブリがぁっ!!』
俺は弱かった。
昔から怖がりで、情けない。
『ラルス様っ、落ち着いてください。』
メリーアがいなければ、俺は日々を送ることさえ出来なかったかもしれない。
不甲斐ない。
いつも、メリーアに叱られたり、助けられてばかり。
メリーアに下に見られているんじゃないか、何度そう思ったか。
メリーアは、泣くこともなければ、頼ってくることもない。
まるで人形だ。
こんな俺だから仕方ないのかもしれないが、それでも、俺はそれが悔しかった。
そんなとき、出会ったのがファリーダだ。
ファリーダは美しく笑い、それでいて、危なっかしくて、いつも俺を頼ってきた。
頼られる感じが、とても心地よくて、気づけばファリーダと居る方が楽しくなっていた。
きっと、メリーアも、こんなに情けない男と居るのはイヤだろう。
それでも一緒にいるのは、俺に地位があるからだ。
何故頼らない?
何故俺がファリーダと居ても何も言わない?
そうやってまた、俺を下に見て。
ファリーダから、メリーアに虐められていると聞いたとき、怒り、安心した。
メリーアも、思うことがあったのだ。
けれど、愛しいファリーダに手を出した罪は許されない。
俺はもう、メリーアに思うことなどない。
謙虚な可愛い彼女とやっていくのだ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(※ファリーダ視点《婚約破棄後》)
上手くいったわ。
これで、私の幸せな人生は手に入ったも同然ね。
隣国の第六王子なんて、振って正解ね。
あんな、地位の低いヤツとなんて、絶対イヤよ。
冷酷無慈悲っていう噂もあるし。
絶対に王様になれないからって、グレてるって噂もある。
ブス説もあるし。
ダメなところだらけじゃない。
それにもし、隣国の第六王子様とやらが噂と全く違ったとしても、ラルスの方も劣らないわ。
イケメンだし、何でもできるじゃない。
ぷっ、メリーアの奴、少し哀れに思うわ!
せいぜい、独り身で頑張っていくことね。
ファリーダは、ホールで大笑いしそうになった。
いけない。泣かなければ。
ラルスが、本当に心配そうに覗き込んでいた。
バカなイケメンだわ。
『ごっ、ゴキブリがぁっ!!』
俺は弱かった。
昔から怖がりで、情けない。
『ラルス様っ、落ち着いてください。』
メリーアがいなければ、俺は日々を送ることさえ出来なかったかもしれない。
不甲斐ない。
いつも、メリーアに叱られたり、助けられてばかり。
メリーアに下に見られているんじゃないか、何度そう思ったか。
メリーアは、泣くこともなければ、頼ってくることもない。
まるで人形だ。
こんな俺だから仕方ないのかもしれないが、それでも、俺はそれが悔しかった。
そんなとき、出会ったのがファリーダだ。
ファリーダは美しく笑い、それでいて、危なっかしくて、いつも俺を頼ってきた。
頼られる感じが、とても心地よくて、気づけばファリーダと居る方が楽しくなっていた。
きっと、メリーアも、こんなに情けない男と居るのはイヤだろう。
それでも一緒にいるのは、俺に地位があるからだ。
何故頼らない?
何故俺がファリーダと居ても何も言わない?
そうやってまた、俺を下に見て。
ファリーダから、メリーアに虐められていると聞いたとき、怒り、安心した。
メリーアも、思うことがあったのだ。
けれど、愛しいファリーダに手を出した罪は許されない。
俺はもう、メリーアに思うことなどない。
謙虚な可愛い彼女とやっていくのだ。
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(※ファリーダ視点《婚約破棄後》)
上手くいったわ。
これで、私の幸せな人生は手に入ったも同然ね。
隣国の第六王子なんて、振って正解ね。
あんな、地位の低いヤツとなんて、絶対イヤよ。
冷酷無慈悲っていう噂もあるし。
絶対に王様になれないからって、グレてるって噂もある。
ブス説もあるし。
ダメなところだらけじゃない。
それにもし、隣国の第六王子様とやらが噂と全く違ったとしても、ラルスの方も劣らないわ。
イケメンだし、何でもできるじゃない。
ぷっ、メリーアの奴、少し哀れに思うわ!
せいぜい、独り身で頑張っていくことね。
ファリーダは、ホールで大笑いしそうになった。
いけない。泣かなければ。
ラルスが、本当に心配そうに覗き込んでいた。
バカなイケメンだわ。
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