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(※ファリーダ視点)

どうやら、メリーアが第六王子と婚約するそうだ。

まぁ、私にはもう全く関係ないし、どーでも良い。

そんなことより、ラルスと一週間後には婚約お披露目会がある。

見せしめてやるのだ。
隣国へ旅立つ前のメリーアに。いち早く。

ファリーダは足をぶらぶらとさせながら、今日のお茶会の支度を、メイドにしてもらっていた。

「痛ッ!」

メイドが簪を、変に髪を巻き込んでさしたために、髪が数本抜けた。

ファリーダは、間抜けなメイドに向かってその簪を投げつけ、

「王太子妃となる私が、なんでアンタみたいな使えないメイドを抱えなきゃいけないのかしら!?」

と叫んだ。
気分を害されたファリーダは、

そもそも、あの女は何でこんな使えないメイドを専属になんかしてるのよ!

と、メリーアに的外れな怒りをぶつけていた。


(※ティア視点)

メイドのティアは一人、廊下を歩きながらため息を吐いていた。

ファリーダ様が投げた簪で、頬を切ったのだ。

メリーア様のことが気掛かりで、仕事中でもボーっとしてしまっていた。

「…あぁ。メリーア様…。」

何故、心身共にお美しい方より、ファリーダ様が選ばれてしまうのかしら。

メリーア様の、悔しそうに、子供のように泣きじゃくる、あのお顔が脳裏に焼き付いて離れなかった。

ティアは、医務室へ向かいながら、昔を思い出す。

ティアは、隣国でメイドをしていた。

誰かの専属とかいう訳ではなく、王宮のメイドだ。

シティという名の姉を追って、王宮のメイドになった。

姉さんは、第六王子、アルシス・ルイザ様の専属メイドだった。

ルイザ様とは面識が無いが、姉さんの様子を見るに、噂のような人ではない…と思う…

しかし、隣国の王子達は、甘えん坊ばかりで、これといった功績もあげず、ギリギリラインを乗り越えている奴ばかり…

もし、ルイザ様もそんな奴だったら…

シティは、また、メリーア様のことが心配になってきていた。







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