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アレ奴隷時代クソ客に当たってしまった時の事

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(……)

(…あー。何されても喜ぶド変態の私とはいえ、流石にこれは凹むなー)

(…お腹周りは止めてって何度も言ったけど聞いてくれなかったし。たぶんテレパシー出来ない奴だったっぽいけどさ。入店時に従業員にもそこだけはしっかり注意されてるはずなのになー。まあクソな奴だし聞いちゃいないか)

(後でテレパシー出来る店員さんに聞いたら速攻きっちりシメて罰金取って永久出禁にしたって教えてくれて少しスカっとしたけどね。私バカだし医療知識とか皆無だけど、たぶんもう結構大きくなってて痛覚とかあっただろうし苦しかったろうな。…抵抗できないとはいえ、可哀想な事しちゃったな)

(基本産んだ時に考えるから名前もまだ付けて無かったし。…本当気の毒だったな。今までも何度かそういう事あったけど、やっぱりこれは何度あっても悲しいし慣れないな)

(店員さんも流石に同情して、搾乳以外の仕事全部しばらくお休みさせてくれていつもよりまともなご飯ももらえてるけどさ。…でもじっとしてても鬱だし、正直アレ仕事してた方が気が紛れるかもな)


(…お母さん)

(…え、誰?)

(…うん、僕この前死んじゃった子供。お母さん可哀想だから、魂でしばらく近くにいたの)
(え、そうだったんだ。君も大変だったのに心配してくれてありがとね。ってかまだ産まれてもなかったのに普通に話せるとかすごいね。大人っぽい声だし)

(うん、まあこの世界ファンタジーでかなり何でもありだし。そこは気にしないで)
(あーまあそうだね、ファンタジーな時点で何でもアリだよね。たまに肉体無い霊体タイプの子とかも産んだ事あったし)

(うん、そういう事。…それで酷い事されて流れちゃった時はやっぱり少し痛かったけど、そこまで苦しまなかったから心配しないで。…お母さんここ数日、ずっと元気無さそうで可哀想だったから)
(…そっか、それならまだ良かったよ。…クソな世界とはいえちゃんと産んであげたかったんだけど、ごめんね)

(…まあ、仕方ないよ。お母さんにはひどい事言っちゃうけど、きっと産まれても辛い人生だったろうしある意味ラッキーだったかも。冷淡な神様でも流石にこんな事になったら天国に行かせてくれるだろうしさ)
(…うん、そうかもね。神様も基本無干渉とはいえ、きっとそのくらいの慈悲はあるよね)

(…うん、だからもう気にしないで元気出して。相当アレなクオリティだけど一応お墓に骨埋めてくれて、弔ってもらったしさ。いつか生まれ変われたら今度はきっと幸せになれるだろうし)

(そっか、前店員さんもそんな事言ってたし。アレクオリティなのはどうかと思うけどそのくらいの良心はあって良かった。…うん、天国や来世では元気で幸せになってね)

(…うん、きっと大丈夫だよ。じゃあ僕もう行くね。ばいばい、お母さん)
(うん、お話出来て嬉しかったよ。さようなら)



「……」

「あー?お前あいつの部屋の前で何ぼーっと突っ立ってるんだ」

「…いえ、立ち直ったか少し様子を見てその帰りでした」
「あーそうかい。んであいつもう元気出たか?もう1週間休んでるしそろそろ復帰して欲しいんだが。あいつド変態だから何してもノリノリでヤってくれて一番人気だしよ。あいつ待ちの客もう相当予約入ってるんだよ」

「…そうっすね。だいぶ元気になったみたいなのでもう仕事復帰させても良いと思います」
「そうかい、そりゃ良かったよ。んじゃもうエサもいつものクソ飯で良いな。あいつマジでド変態だしアレも喜んで食うしよ」

「…あの、店長」
「あー?何だよそんな神妙な顔して」

「…彼女、もう250年以上も一線で頑張ってくれて相当この店に貢献しましたし。もう解放してあげても良いんじゃないですか」
「ああ?何寝ぼけた事言ってんだお前。貴重な稼ぎ頭と繁殖要因逃がす訳無いだろうが」

「…そうっすか」
「お前ももう結構ここ来て長いんだしいい加減慣れろよ。生殖能力無いカス共はともかくあいつは大喜びでやってんだし衣食住提供してやってんだし良いじゃねえかよ。まあ飯はアレだし基本全裸だけど。それにあいつこの世界の知識何一つ無いし生殖能力以外何のスキルも持ってねえし、ほっぽり出した所で死なねえけど野垂れ死にかまた捕まってアレ奴隷になるだけだろうよ」

「…まあ、でしょうね」

「あとお前流れたガキの墓に結構良い菓子と花供えたろ、花はそこらに咲いてるやつだけど勿体ない事すんなよ。クソ残飯で十分だろ」
「…自分の金で買ったんで。すいません」

「お前ほんと物好きだよな、んないちいち同情してたらメンタル保たねえぞ。俺もストレス溜まったらあのド変態ボコったりして発散するし。俺も鬼じゃねえし流石に腹は避けてやるがよ」

「……」


「あーあとそうそう。低ランクのゴミが一体完全に心ぶっ壊れて反応無くなったから処理場に棄てといてくれや。便器とはいえ全く無反応だと客からも評判悪いしよ。ったくまだ30年程度なのにだらしねえな、あのド変態見習えよ」
「…了解っす。でも店長、どうせ棄てるなら不死の呪い解除して楽にしてやっても良いんじゃないっすか」

「ああー?ゴミカスにんな面倒な事する訳ねえだろ。魔王様が伝授してくれて不死の呪いかけるのは結構簡単だけど解除はかなり高位の魔族や術師しか出来ねえし俺達じゃとても無理だしよ。コスパ悪すぎだっての」

「…そうっすか」

「お前なあ、本当いちいちクソ肉便器に感情移入なんかすんなっての。そんな事考えてんの上にバレたら最悪処刑物だぞ?まあ正直魔王様や一部のドS幹部とかの鬼畜っぷりには俺も引く事あるけどよ。これ絶対外で言うなよ」
「…はい、言わないんで大丈夫っす」

「じゃーほらさっさとゴミ棄てといてくれ。俺はあのド変態洗ってあいつ待ちの客通してくるから」

「…はい、行って来ます」



「…あー、俺も下層階級育ちだしそんなにいい奴じゃ無いと思ってたけど。下には下がいるもんだなー」

「…正直どこ行っても似たような物だと思うけど、数十年頑張って多少は金貯まったし流石にメンタルキツいし辞め時かな。最近レジスタンスも各地で結構活動活発になってきてて、ここもいつ襲われるかわかんねーし」

「レジスタンスもまだまだ弱小で勝てるか分かんねーし、山奥や地図にも載ってないような孤島とかに魔王嫌いな奴等が隠れて暮らす集落とかあるらしいし、そこにでも行って畑耕して暮らすかなあ」

「…俺じゃあのくらいしかしてやれねえけど、あいつもいつかは自由になれるといいな」
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