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応接間の中

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 門番として立っている兵士に仮認定証と書類を1枚見せる。どうやら門番の兵士の人が私の事を覚えていたようで、大した時間はかかりませんでした。
 そして許可を貰った上で王宮内の中に入ります。

 兵士が1人同行していますが、この方は正門から入ってきた者たちに付く、道案内兼護衛役として王宮内に勤めている方です。勝手に変なところへ行かれないよう、監視の役目も負っているとは思いますけど

 兵士の後をついて婚約者様の元へ向かいます。

 聞いたところ婚約者は王宮内にある応接間の1つに居るようです。そして、義妹たちもそこに居ると報告されました。
 どうやら義妹が聖女ではないことは知られているようですね。あからさまに兵士の表情が歪みました。

「私の案内はここまでになります」
「ありがとうございます」
「はっ!」

 兵士は私に向けて敬礼するとすぐ元居た場所へ戻って行きました。

 応接間の前に立つ使用人に入室できるかの確認を取ります。使用人はすぐに中へ確認を取り、私を中へ誘導してきました。

 対応が異様に早いですが、それだけ中の状態に介入して欲しいのでしょうか。

「何度も言いますが、貴方と婚約している聖女は偽物です。証拠はこれ。このペンダントの本当の持ち主は私なのです!」

 応接間の中に入ると直ぐに義妹が私の婚約者様に抗議している場面が目に入りました。

 そんな訳ないでしょう。
 そう口から洩れそうになりましたが、下手に割り込めば面倒なことになりそうですね。それに私が部屋の中に入って来たと言うのに義妹たちは興奮しているのか、気付いている様子はありません。

 義妹と対峙していた婚約者様と目が合いました。それと同時に義妹が私の存在に気付いたようです。

「やあ、ミーシャよく来――」
「何で貴方がここに居るのよ!」

 婚約者様の言葉を遮り、義妹が怒鳴り始めました。

 これは良くないですね。上位者の言葉を遮るのは貴族として論外の行為です。義妹はそれを気にも留めないどころがあからさまに意図してしたように見えました。

 その光景を見て周囲に居た使用人たちもあり得ないようなものを見たような表情をしています。いえ、実際貴族社会で生きていればあり得ない光景ではありますけど。

「申し訳ありません。王子。私の義妹が粗相を」
「君が謝る事では無いだろう」
「ですが」

 義理とは言え、あの2人は一族の者ですから、立場として上に居る私が謝らなければならないでしょう。この場に居るのが

「サジェス王子! そいつは偽物聖女なの! 本物は私なのよ! 早くそんな奴と婚約破棄して私と――」
「黙りなさい」

 王子の怒気を含んだ声に義妹の言葉が途切れます。

 今まで聞いているだけだった王子ですが、これ以上義妹の話を聞く気はないようですね。
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