(完結)いまさら、愛せと言われましても

 
「お前の婚約者は俺だ。だからそんな奴じゃなく俺を愛せ」

突然、家に訪れた元婚約者がそうのたまう。

何を言っているのだろう、この方は。

私との婚約を破棄したのだって、そちらの都合によるものだった。しかもその理由は碌な物ではなかった。

「私は多くの女性を愛さなければならない。だから、お前との婚約は邪魔でしかないんだ。だから破棄する」

当時はそう言われて本当に意味が分かりませんでした。いえ、今でも意味が分かりませんけれど。

それに私はもう結婚して、家の次期当主として働いているのです。今更そんなことを言われましても……



※ショートショートに近い短編です
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