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37.その皇子を私は知らない 01
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「皆様も、運命を求められ、ここに集まっておいでなのですか?」
彼女達を……、
否定をしてはいけない。
感情を刺激してはいけない。
私は相手にあわせ、静かに問いかける。
「おほほほ、運命は尊い方にのみ与えられた神の祝福。 私達下々にはソレを感じる事はできませんの。 でも、運命に選ばれるチャンスは平等に与えられておりますわ。 それは貴方にも同じ」
向かい合う位置の女性が言い、テーブルの向こうから手を差し出してきた。
「貴方は素敵だわ。 えぇ、とても素敵」
差し出された手を気付かぬふりをすれば、側を囲むように立っていた女性が、私の手を取り強引にテーブルの上に引っ張りだして押さえつけ、正面に座る女性は私の手を取り、そして撫でた。
「あぁ、なんて滑らかなんでしょう。 いいわ。 きっと皇子も気に入るはずですわ」
全然嬉しくないんだけど!!
そうだ、情報収集!! 私は、情報を集めに来たのだった。 でも、まぁ、これも情報収集なのかしら……。
「おや、皆さん、そんな処でお集まりになって、どうなされたのですか?」
鮮やかな黄金色の髪をしたよく似た年若い男性が2人。
1人は少年と言ったほうが良い年齢かもしれない。
男性のふわふわとしたおっとりとした口調は、サロンに集まる女性達と変わらない。 女性達はそろりそろりと静かに移動し道を開ければ、否応なく2人の男と対面する事となる。
「皇子、とても良いタイミングですわ。 これこそ運命。 彼女は新しい物を、可能性を持っております。 彼女との出会いが皇子の祝福となるでしょう」
静かに語る女性の言葉は不吉で神秘的。
穏やかな様子で男……皇子は微笑み、柔らかな声で問う。
「そう……。 貴方は私の祝福となりえますか?」
私は反射で応じてしまった。
「ぇ、無理です」
ざわりと人々の気配が動く。
ものすごい形相で、人々が見つめてきた。
シマッタと……私はうつむき怯え、震えた声で演じ治す。
「私ごときか、殿下の特別になるなんてありえませんわ」
もし、今、目の前にいる皇子が、第一皇子シグルド様だったなら……私はどうしただろうか? うつむいた視線のまま、私は自虐気味に笑ってしまった。 ようするに思考に耽ってしまったのだ。
夫人に取られていた手が、そのまま皇子に差し出された。
「皇子、どうぞ」
「あぁ、とても……滑らかな手ですね。 貴方の肌も、とても触り心地が良いのだろう」
ヒィッと声を飲み込む。
「ぁ、ありがとうございます」
「そうだ。 彼女のために特別なお茶とケーキをもってきてくれたまえ」
そう第二皇子が告げれば、夫人の一人が席を譲った。
第三皇子だろう男は、第二皇子の反対側、椅子の直ぐ横に立つ。
「君は、変わった格好をしている」
第三皇子が、私のスカートを手に取ればめくり上げられ、足が丸出しになってしまった。 ゴクリと息を飲む声が聞こえて……私は逃げ道を探しミラへと視線を向けた。
「ただ、田舎者なだけですわ」
「とても美しい布地だ」
スカートを押さる私の両腕が取られ、腕を覆う布地に頬が寄せられる。
「あぁ、とても、触り心地がとてもいい……。 このように滑らかな布地に包まれた貴方の肌も、とても美しいのだろうね。 確かめてみたいものだ」
呆気なく腕は解放されたが、手を取られその甲に口づけられたが、私は、ただ戸惑うしかできなかった。
彼女達を……、
否定をしてはいけない。
感情を刺激してはいけない。
私は相手にあわせ、静かに問いかける。
「おほほほ、運命は尊い方にのみ与えられた神の祝福。 私達下々にはソレを感じる事はできませんの。 でも、運命に選ばれるチャンスは平等に与えられておりますわ。 それは貴方にも同じ」
向かい合う位置の女性が言い、テーブルの向こうから手を差し出してきた。
「貴方は素敵だわ。 えぇ、とても素敵」
差し出された手を気付かぬふりをすれば、側を囲むように立っていた女性が、私の手を取り強引にテーブルの上に引っ張りだして押さえつけ、正面に座る女性は私の手を取り、そして撫でた。
「あぁ、なんて滑らかなんでしょう。 いいわ。 きっと皇子も気に入るはずですわ」
全然嬉しくないんだけど!!
そうだ、情報収集!! 私は、情報を集めに来たのだった。 でも、まぁ、これも情報収集なのかしら……。
「おや、皆さん、そんな処でお集まりになって、どうなされたのですか?」
鮮やかな黄金色の髪をしたよく似た年若い男性が2人。
1人は少年と言ったほうが良い年齢かもしれない。
男性のふわふわとしたおっとりとした口調は、サロンに集まる女性達と変わらない。 女性達はそろりそろりと静かに移動し道を開ければ、否応なく2人の男と対面する事となる。
「皇子、とても良いタイミングですわ。 これこそ運命。 彼女は新しい物を、可能性を持っております。 彼女との出会いが皇子の祝福となるでしょう」
静かに語る女性の言葉は不吉で神秘的。
穏やかな様子で男……皇子は微笑み、柔らかな声で問う。
「そう……。 貴方は私の祝福となりえますか?」
私は反射で応じてしまった。
「ぇ、無理です」
ざわりと人々の気配が動く。
ものすごい形相で、人々が見つめてきた。
シマッタと……私はうつむき怯え、震えた声で演じ治す。
「私ごときか、殿下の特別になるなんてありえませんわ」
もし、今、目の前にいる皇子が、第一皇子シグルド様だったなら……私はどうしただろうか? うつむいた視線のまま、私は自虐気味に笑ってしまった。 ようするに思考に耽ってしまったのだ。
夫人に取られていた手が、そのまま皇子に差し出された。
「皇子、どうぞ」
「あぁ、とても……滑らかな手ですね。 貴方の肌も、とても触り心地が良いのだろう」
ヒィッと声を飲み込む。
「ぁ、ありがとうございます」
「そうだ。 彼女のために特別なお茶とケーキをもってきてくれたまえ」
そう第二皇子が告げれば、夫人の一人が席を譲った。
第三皇子だろう男は、第二皇子の反対側、椅子の直ぐ横に立つ。
「君は、変わった格好をしている」
第三皇子が、私のスカートを手に取ればめくり上げられ、足が丸出しになってしまった。 ゴクリと息を飲む声が聞こえて……私は逃げ道を探しミラへと視線を向けた。
「ただ、田舎者なだけですわ」
「とても美しい布地だ」
スカートを押さる私の両腕が取られ、腕を覆う布地に頬が寄せられる。
「あぁ、とても、触り心地がとてもいい……。 このように滑らかな布地に包まれた貴方の肌も、とても美しいのだろうね。 確かめてみたいものだ」
呆気なく腕は解放されたが、手を取られその甲に口づけられたが、私は、ただ戸惑うしかできなかった。
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