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1章 幼少期
18.市場調査 05
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そんな訳で、セシル殿下との散策の翌日。
国に帰ることをイルモ国国王に宣言した。
「身に有り余る贅沢を享受しておきながら、ただで帰ろうと? それは余りにも身勝手なのではありませんか?」
「この国の方々は不誠実過ぎます。 同じような事を、私共が招いた他国の方々にされては、私共の信頼が失われてしまいます。 自業自得というものですよ」
「貴方達は、この国で受けた恩恵を忘れることができるのですか?」
ニヤリとイヤらしく笑うイルモ王。
「私共は分不相応な贅沢に身を預ける気はありません」
「それは、国の意思か? 民の意思か? ならば我が国の商人を受け入れ試してみればいい。 我等は受け入れられ、そして交渉の場を断ったお前達は咎められるだろう。 ならば我々を協議の場に招く方が良くはないのか? なに、我々の行動に迷うならそこまでの者達と思えばいい、国の代表となる解消がなかったと笑えばいいだけのことだ」
戦争が当たり前である世界。 容易に他国の人間が出入りできるものではなく、国境にはどの国も警備が敷かれている。 停まれば国が滅びかねないのだから、向こうも必死になるのは当然。
セシル殿下の苛立ちが分かり、私は殿下の手を握って見せた。 視線が向けられ、私は任せてと言わんばかりに、セシル殿下の胸を軽く叩いて見せた。
これは商談なのだ。
「王様、もし一人の年頃の女性が、美しくなりたいと言ったらどうします?」
「美を磨きなさいと」
「磨くお金が無いのだと言われたなら?」
「お金を稼ぎなさいと、その娘が若く美しいなら幾らでも稼ぐ方法はある」
ニチャリと笑われ私は眉間を寄せ、イルモ国国王は楽しそうに私を眺めている。
「セシル殿下は、同じ質問をした際にこのように言われました。 毅然となさい。 背筋を伸ばしなさいと」
「それがなぜ美に繋がる」
「人によって美の基準は様々です。 確かに、この国では美味しいものを頂きましたが、再現は不可能ではありません。 ドレスに至っては、我が国で着用すれば娼婦だと笑われるでしょう。 なので、陛下にとって贅沢で価値あるものであっても、我々にとって特別な贅沢であるとは限らないのですよ」
サラリと再現が難しい美容品の類は抜いておいた。 王様も余り興味がないのか、そこに突っ込みがなく、
「はっ、この国の肉料理が、甘味が再現できると?」
そう言って小馬鹿にしたのだ。
「調理場を貸していただければ、ただ私は力が無いので補助も必要ですけど」
「では、殿下と共に作られてはどうかな?」
なんて言われて、私は調理場に立つ事となった。 背が足りなくてキッチンの上を見るのも大変で、木箱が必要となる事を除けばそう大きな問題はない。
王様は、ローストビーフをご所望した。
余裕、余裕……私は心の中で涙を流す。
あれは……雪が何度となくチラチラと降る年だった。 指導員としてついた新入社員男子が、クリスマス寂しく1人だと言う話を幾度も執拗にしてきたのだ。 なので、料理を準備するので社で何人か誘いパーティをしましょう……と。
そして、私はローストビーフを何度も何度も予習し、本番のクリスマスを迎えた。
別に下心があった訳ではありませんよ。 予定が無いと言っていた後輩を何人も誘いましたし? 料理が並び準備万端ってところで全員から連絡が来た。
「「「「「すみませ~ん。 酔っちゃって行けそうにないです!!」」」」」
切ない……。
そんな前世を思い出し、私はローストビーフを作る。 いや、作ってもらった。 8歳児の身体はまだ小さいのでね。
ここでのポイントは、ルンド国が魔物の出現が多く、魔物素材が多くあると言う事。 ここにとりだしたるは、ポリ袋っぽいもの!! 出来上がったのは【時短で作るローストビーフは低温調理で】です!!
そんな訳で、私達は無事イルモ国を脱出することになったのでした。
国に帰ることをイルモ国国王に宣言した。
「身に有り余る贅沢を享受しておきながら、ただで帰ろうと? それは余りにも身勝手なのではありませんか?」
「この国の方々は不誠実過ぎます。 同じような事を、私共が招いた他国の方々にされては、私共の信頼が失われてしまいます。 自業自得というものですよ」
「貴方達は、この国で受けた恩恵を忘れることができるのですか?」
ニヤリとイヤらしく笑うイルモ王。
「私共は分不相応な贅沢に身を預ける気はありません」
「それは、国の意思か? 民の意思か? ならば我が国の商人を受け入れ試してみればいい。 我等は受け入れられ、そして交渉の場を断ったお前達は咎められるだろう。 ならば我々を協議の場に招く方が良くはないのか? なに、我々の行動に迷うならそこまでの者達と思えばいい、国の代表となる解消がなかったと笑えばいいだけのことだ」
戦争が当たり前である世界。 容易に他国の人間が出入りできるものではなく、国境にはどの国も警備が敷かれている。 停まれば国が滅びかねないのだから、向こうも必死になるのは当然。
セシル殿下の苛立ちが分かり、私は殿下の手を握って見せた。 視線が向けられ、私は任せてと言わんばかりに、セシル殿下の胸を軽く叩いて見せた。
これは商談なのだ。
「王様、もし一人の年頃の女性が、美しくなりたいと言ったらどうします?」
「美を磨きなさいと」
「磨くお金が無いのだと言われたなら?」
「お金を稼ぎなさいと、その娘が若く美しいなら幾らでも稼ぐ方法はある」
ニチャリと笑われ私は眉間を寄せ、イルモ国国王は楽しそうに私を眺めている。
「セシル殿下は、同じ質問をした際にこのように言われました。 毅然となさい。 背筋を伸ばしなさいと」
「それがなぜ美に繋がる」
「人によって美の基準は様々です。 確かに、この国では美味しいものを頂きましたが、再現は不可能ではありません。 ドレスに至っては、我が国で着用すれば娼婦だと笑われるでしょう。 なので、陛下にとって贅沢で価値あるものであっても、我々にとって特別な贅沢であるとは限らないのですよ」
サラリと再現が難しい美容品の類は抜いておいた。 王様も余り興味がないのか、そこに突っ込みがなく、
「はっ、この国の肉料理が、甘味が再現できると?」
そう言って小馬鹿にしたのだ。
「調理場を貸していただければ、ただ私は力が無いので補助も必要ですけど」
「では、殿下と共に作られてはどうかな?」
なんて言われて、私は調理場に立つ事となった。 背が足りなくてキッチンの上を見るのも大変で、木箱が必要となる事を除けばそう大きな問題はない。
王様は、ローストビーフをご所望した。
余裕、余裕……私は心の中で涙を流す。
あれは……雪が何度となくチラチラと降る年だった。 指導員としてついた新入社員男子が、クリスマス寂しく1人だと言う話を幾度も執拗にしてきたのだ。 なので、料理を準備するので社で何人か誘いパーティをしましょう……と。
そして、私はローストビーフを何度も何度も予習し、本番のクリスマスを迎えた。
別に下心があった訳ではありませんよ。 予定が無いと言っていた後輩を何人も誘いましたし? 料理が並び準備万端ってところで全員から連絡が来た。
「「「「「すみませ~ん。 酔っちゃって行けそうにないです!!」」」」」
切ない……。
そんな前世を思い出し、私はローストビーフを作る。 いや、作ってもらった。 8歳児の身体はまだ小さいのでね。
ここでのポイントは、ルンド国が魔物の出現が多く、魔物素材が多くあると言う事。 ここにとりだしたるは、ポリ袋っぽいもの!! 出来上がったのは【時短で作るローストビーフは低温調理で】です!!
そんな訳で、私達は無事イルモ国を脱出することになったのでした。
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