戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに

千石

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第121話 領主夫人②

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あの後、ちょうど夕食の時間だったので食堂にて事情を説明することになった。

「そんな事があったなんて、あなたが無事で良かったわ」

ケビンからの話を聞いた領主夫人アンナの第一声である。

「それにしてもバストロには困ったものね。思い返せば、昔、私にもねちっこい目をしてきていたわ」

思い出すのも忌々しそうに続ける。

「それにしてもルークさんにミリーナさん、主人のケビンのことだけでなく、娘のイリアのことも助けて頂いて本当にありがとうございました。私からも心から御礼申し上げます」

アンナが頭を下げて礼を言う。

「私は実質ほとんど役に立ててませんので、恐縮です」

ミリーナが申し訳無さそうに答える。

「気にしないでください。それよりもここであなたにお会いできるとは思いませんでした」

ルークがアンナのことを知っているような返答をする。

「あら、ルークさんは私のことをご存知だったのですね」

アンナが驚く。

「ええ、勿論です。元ヴァルム教国対策支部長兼大隊長アンナ・スミスさんですよね。通り名は『氷帝』」

「ほほほほ、昔の話ですわ。今はアンナ・ゼーラ・ハミリアンとして領主夫人をしております」

アンナはイタズラが見つかった子供のように照れる。

「元支部長兼大隊長?『氷帝』??何が何だか分かりませんわ。御母様が昔は軍に所属してらして剣術も素晴らしくお強いことは存じてましたけれども・・・ルーク様、教えてくださいませんか?」

イリアがルークの言葉に戸惑い、尋ねる。

「私も、聞きたいです」

ミリーナもルークを見ながら尋ねる。

「そうだな・・・」

ルークは話しても良いのかという意味を込めてアンナとケビンを見やると肯定的な反応が帰ってきたので話すことにする。

「アンナ・スミス、この名前を知らないものは軍にはいないと言っていいだろう。先程の繰り返しになるが東のヴァルム教国対策支部長兼大隊長をされていた方だ。剣術、知力共に優れ、わずか三十数歳でそこまで登りつめた方だ。特徴的なのは戦略に優れ、常に冷静を崩さず、相手をまるで操るかのように思い通りに撃破する様子を『氷のような冷静さで皇帝が部下を思い通りにするかのごとく』という所から『氷帝』という通り名がついたと聞いている」

「知りませんでしたわ。御母様がそんなにも有名な方だったなんて。。。」

イリアが自分の母親の知らない一面にとても驚く。

「ということは、私の直属の上司である近衛騎士隊長のメリッサ・カイザス様の姉上である強国対策支部長兼大隊長のエルザード・カイザス様と同等ということですよね。途轍もなく偉大な方でいらっしゃいますね!」

ミリーナは自分が想像できるところからアンナの立ち位置を理解しようとする。
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