『沈黙の檻(おり)ー報いと救いの十日間ー』

『沈黙の檻(おり)

四角い天井、刻む秒針
かつて怒号が支配したこの部屋は
いま、不自然なほどの静寂に満ちている

動かぬ身体、その奥に潜む
鋭い棘(とげ)のような言葉の群れ
「おい」「まだか」「役立たず」
二十年の呪文が、カーテンを揺らす

差し出すスプーンを拒む唇と
見開かれた眼(まなこ)に宿る怯え
あなたは初めて知ったのだろうか
「生殺与奪」という名の、見えない鎖を

褥瘡(じょくそう)は赤く、罪の証か
それとも耐え忍んだ私の、内なる返答か
窓の外、季節は勝手に通り過ぎ
鳥たちは自由を謳歌しているというのに

助けてと言えぬプライドと
助けたくないという、この静かな拒絶
私たちは同じ檻の中で
背中合わせに、出口を失っている

十日目の朝、光が差し込むとき
崩れ落ちるのは、あなたの命か
それとも、私を縛り続けた
この重い、重い「妻」という名の檻か

報いと救いは、いつも隣り合わせ
静寂の果てに、私は
私自身の呼吸を、ようやく取り戻す

24h.ポイント 697pt
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