『相続人ギルティ ―麻布100億円失踪の受益者たち―』

『相続人ギルティ ―麻布100億円失踪の受益者たち―』

静かな街に 雨は降る
麻布の夜は 何も語らない

消えたのは 人か
それとも 関係か

残されたのは 数字だけ
百億という 温度のない重さ

手にした瞬間
それは祝福ではなく
ゆっくりと締まる
見えない輪だった

受け取ったのは 金ではない
選び直された罪だ

笑う口元に ひびが入り
グラスの中で 倫理が溶ける

正しさは 値札をつけられ
愛は 換金された

誰も奪っていない
ただ 手放しただけだ

それでも彼らは言う
「これは運だ」と

夜は答えない
雨もまた 責めない

ただ すべてを濡らし
痕跡を消していく

そして残る

名もない紙に記された
ひとつの判決

――受益者は、有罪。

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