『白い結婚だといわれてもあなたが大好きだから!〜異世界デリバリーで公爵様の胃袋を掴んだら溺愛が止まりません〜』

『白い結婚だといわれてもあなたが大好きだから!

〜異世界デリバリーで公爵様の胃袋を掴んだら溺愛が止まりません〜』

やさしい嘘みたいに始まった
白い結婚という名前の、冷たい距離

触れないはずの指先が
同じ湯気を分け合った夜に、少しだけ近づく

「愛するつもりはない」
そう言った人が、
一口のぬくもりに目を見開いたあの日から

世界は、少しずつ味を取り戻していった

砂のようだった日々に
こぼれたのは、唐揚げの油の音
ラーメンの湯気
レモンのきらめく酸味

あなたの無表情が
ほんの少し揺れるたびに
わたしの心は、確かに満たされていく

「どうせ無駄だ」と言いながら
もう一口を求めたその声は
わたしだけの秘密みたいに、あたたかい

ねえ、知ってる?
おいしいものはね
ひとりで食べるより、ふたりで食べたほうが
ずっと甘いんだよ

あなたの世界に色を運びたくて
わたしは今日も呼び出す
見えない誰かに頼んで
ここにないはずの“幸せ”を

かき氷みたいに溶けていく距離
タピオカみたいに弾む気持ち
ハンバーガーみたいに、ぎゅっと詰まった笑顔

気づけばあなたは
わたしを抱き寄せていた

「彼女は私の妻だ」

その一言が、どんな料理よりも
胸の奥で甘くほどけていく

白いはずだった結婚は
いつのまにか色づいて

触れないはずの未来は
一緒に選ぶものに変わっていく

最後に選んだケーキは
特別じゃなくてもいい

ただ、隣で笑うあなたがいて
同じひとくちを分け合えるなら

それが、わたしたちの“ごちそう”

「君が一番、甘い」

そんな言葉をくれるあなたに
わたしは何度でも届けたい

あたたかいごはんも
やさしい時間も
この世界にないはずの、愛も

白い結婚だと言われても
それでも、あなたが大好きだから

今日も、明日も
その胃袋と心を、やさしく満たしていく

――おいしい結婚、いただきます。

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