『第二の人生を謳歌するのは私です 〜熟年離婚を突きつけた夫が、ゴミ溜めで後悔するまで〜』

『第二の人生を謳歌するのは私です 〜熟年離婚を突きつけた夫が、ゴミ溜めで後悔するまで〜』

『第二の人生を謳歌するのは私です』

四十年、私はあなたの影だった
三食の献立に頭を悩ませ
白いシャツの皺を伸ばし
あなたの不機嫌を、季節のせいにして笑った

「第二の人生を生きなおしたい」
突きつけられた離婚届は
あなたにとっては自由への切符
私にとっては、長すぎた刑期の終わり

あなたは知らない
魔法は私がかけていたのだということを
私が去ったあとの家は、ただの箱
脱ぎ散らかした靴下も、溜まった埃も
もう誰も、慈しんで拾い上げたりはしない

あなたは今、コンビニの弁当を啜り
不揃いな生活の音に怯えている
「こんなはずじゃなかった」と
その言葉さえ、もう私には届かない

私は今、名前のない風を浴びている
自分だけのために淹れた、琥珀色の珈琲
真っ白なノートに刻むのは
あなたの愚痴ではなく、私の未来

ざまぁご覧なさい
あなたが捨てたのは、退屈な妻ではない
あなたを世界で唯一、人間として繋ぎ止めていた
「居場所」そのものだったのだと

私はもう、振り返らない
この第二の人生、
一番美しく咲き誇るのは、私です。

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