『神の王国を求めた聖女は選別する 〜「野のゆり」を嘲った者たちに、救いは与えられない〜』

神の王国を求めた聖女は選別する

野のゆりを嗤った声は
金の盃に反響していた
絹は光り、宝石は語る
「ここにこそ祝福はある」と

けれど彼女は知っていた
風に揺れる花の沈黙を
誰にも見られずとも
満ち足りて咲くものの理由を

「思い煩うな」と
それは慰めではない
掴もうとする手を
静かに断つ刃の言葉

倉は満ち、心は飢え
鍵は増え、眠りは消える
守るほどに失われていく
持つことそのものが、崩壊となる

空の鳥は問わない
明日の糧を
だが地に這う者たちは
今日を奪い合う

彼女は与えなかった
ただ、示しただけだった
水の在り処と
分かち合う術と
求めるべき順序を

それでも彼らは選んだ
奪うことを
疑うことを
満たされぬまま持ち続けることを

ゆえに、選ばれなかった

門は開かれていた
だが、通るには
手を空にしなければならない

最後まで
それができなかった者たちへ
救いはない

彼女はただ求めた
揺るがぬものを
目に見えぬ王国を

ゆえにすべてが与えられた

そして彼らは
野の草を口にしながら
ようやく知る

あの静かな声が
裁きであったことを


24h.ポイント 546pt
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小説 2,859 位 / 221,040件 現代文学 51 位 / 9,315件

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