『闇ハラ義実家から消えた私〜無能な嫁と呼ばれた元エリートの逆襲〜』

『闇ハラ義実家から消えた私〜無能な嫁と呼ばれた元エリートの逆襲〜』

『闇ハラ義実家から消えた私』

名前を呼ばれない朝が
当たり前になっていた

「ねえ」とも言われず
「あんた」とも言われず
ただ、そこに“あるもの”として
使われていた日々

味のない味噌汁みたいに
私の存在は薄められて
気づけば、自分の輪郭すら
指でなぞれなくなっていた

笑い声の中で
私だけが少し遅れて
少しズレて
少しずつ消されていく

それでも私は
「はい」と答えていた

壊れないように
目立たないように
息を殺して

――でも

夜の小さな光の中で
思い出してしまった

呼ばれていた名前
任されていた重さ
誰かに必要とされていた温度

それは
消えていなかった

ただ
押し込められていただけだった

静かに
音も立てずに
私はそれを取り戻す

集めたのは
声と
沈黙と
見えない証拠

奪われたものではなく
最初から持っていたものを
ただ、抱え直しただけ

そして朝

何も言わずに
何も残さずに
私は消えた

冷蔵庫の空白みたいに
あの家に
“本当の欠落”だけを置いて

気づいた時には
もう遅い

私を「無能」と呼んだ声は
私がいた場所でしか
通用しなかった

外の光は
そんな言葉を一瞬で溶かす

今、私は
名前で呼ばれる

私として立っている

あの日の「はい」は
従うための言葉じゃない

終わらせるための合図だった

だからもう
振り返らない

私は消えたのではない

戻っただけだ

本来の場所へ
本来の私へ

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