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第五章:絶対に負けられない戦い
第104話:ベスト4への戦い
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「待ちかねたわよ」
「別に。時間通りだろ」
いよいよ個人戦・完全競技ルール。ベスト4を賭けた戦いの幕が切って開けた。
マスコミの注目も、当然A卓である。
優勝候補陵南渕キャプテン・発岡恵。そして伝説の雀士である竜ヶ崎新一の息子が対局しているのだ。注目するな、というのが無理だろう。
東1局。ドラは三筒。和弥は北家スタート。
和弥の手牌は小四喜すら狙える配牌である。これには控室の綾乃と紗枝、そして龍子も目を見開いた。
「北が被ったら小四喜狙えるじゃんあれ!?」
「しかし問題は一索をツモッった場合だ。あいつの性格からして南を切って面前混一色・七対子でリーチ、なんて事も十分考えられる」
確かに龍子の言う事も一理ある。裏も赤も槓ドラもない完全競技ルールでは、ハネ満を和了れば相当なアドバンテージになる。無理に役満など狙わず、混一辺りに纏めていったほうが賢いのだろう。
が、次の巡。
「「「!?」」」
和弥は引いたのは北だった。
「うわ!どうするんだろうっ!?」
迷わず一索に手をかけ、河に捨てる和弥。
別に考えなくていい、“楽になりたい一心”による役満狙いではない。
(この配牌でメンホン・チートイにいくなど、舐められるだけだ)
しかし一方の恵も、どんどん手が膨らんでいく。
(タンピン三色ドラ2の二向聴………)
8巡目。
(ずっとツモ切りが続いてる。というか、何をしているのか分からない捨て牌。けど………行くしかないっ!!)
ゆっくりと、絞り続けていた東に手をかけ河に捨てる。
「ポン」
和弥は恵の捨てた東を、即座に鳴く。そして打・五索。
「まあ……赤のないあのルールだと、五索を対子でもっている意味はないよね…」
『半競技ルール個人戦・準々決勝に参加する生徒さんは、今から受付にお越しください』
場内アナウンスが控室にも響いた。
綾乃が出場する偶然要素は裏ドラのみの、半競技ルールの個人戦が始まる。
「んじゃ先生。行ってきます」
「ああ。頑張れよ」
「頑張って下さい、部長!!」
もう少し和弥の対局を見ていたかったが、団体戦のメンバーを紗枝に譲って辞退したのだ。個人戦をおろそかには出来ない。
後ろ髪を引かれる思いで、龍子と紗枝の激励を受けながら綾乃も控室から出ていった。
その二巡後に、八を引いてきた。向聴数を進める当然の七切り。
9巡目。上家から西が出てくる。当然和弥はそれを鳴き、ノータイムで六索切り。
(さて、厳しいのはここからだ………。さすがにふたつ晒してこの捨て牌。両隣は絞ってしまうハズ。問題は………)
そう。他の2人を舐めてる訳ではないが、問題が恵なのだ。
10巡目。
「リーチ」
恵のリーチ。和弥もポーカーフェイスだが、恵も負けず劣らず意図を読み取らせない微笑を浮かべながら、ゆっくりとした動作でリーチ棒を置く。
(俺も曲げてないだけでリーチしてるのと一緒だ。あいにくだが、そんなリーチに日和ったりしないぜ?)
当然和弥もオリる気配はない。
14巡目───
「ツモ。8,000・16,000」
和弥の小四喜に会場がどよめいた。
「別に。時間通りだろ」
いよいよ個人戦・完全競技ルール。ベスト4を賭けた戦いの幕が切って開けた。
マスコミの注目も、当然A卓である。
優勝候補陵南渕キャプテン・発岡恵。そして伝説の雀士である竜ヶ崎新一の息子が対局しているのだ。注目するな、というのが無理だろう。
東1局。ドラは三筒。和弥は北家スタート。
和弥の手牌は小四喜すら狙える配牌である。これには控室の綾乃と紗枝、そして龍子も目を見開いた。
「北が被ったら小四喜狙えるじゃんあれ!?」
「しかし問題は一索をツモッった場合だ。あいつの性格からして南を切って面前混一色・七対子でリーチ、なんて事も十分考えられる」
確かに龍子の言う事も一理ある。裏も赤も槓ドラもない完全競技ルールでは、ハネ満を和了れば相当なアドバンテージになる。無理に役満など狙わず、混一辺りに纏めていったほうが賢いのだろう。
が、次の巡。
「「「!?」」」
和弥は引いたのは北だった。
「うわ!どうするんだろうっ!?」
迷わず一索に手をかけ、河に捨てる和弥。
別に考えなくていい、“楽になりたい一心”による役満狙いではない。
(この配牌でメンホン・チートイにいくなど、舐められるだけだ)
しかし一方の恵も、どんどん手が膨らんでいく。
(タンピン三色ドラ2の二向聴………)
8巡目。
(ずっとツモ切りが続いてる。というか、何をしているのか分からない捨て牌。けど………行くしかないっ!!)
ゆっくりと、絞り続けていた東に手をかけ河に捨てる。
「ポン」
和弥は恵の捨てた東を、即座に鳴く。そして打・五索。
「まあ……赤のないあのルールだと、五索を対子でもっている意味はないよね…」
『半競技ルール個人戦・準々決勝に参加する生徒さんは、今から受付にお越しください』
場内アナウンスが控室にも響いた。
綾乃が出場する偶然要素は裏ドラのみの、半競技ルールの個人戦が始まる。
「んじゃ先生。行ってきます」
「ああ。頑張れよ」
「頑張って下さい、部長!!」
もう少し和弥の対局を見ていたかったが、団体戦のメンバーを紗枝に譲って辞退したのだ。個人戦をおろそかには出来ない。
後ろ髪を引かれる思いで、龍子と紗枝の激励を受けながら綾乃も控室から出ていった。
その二巡後に、八を引いてきた。向聴数を進める当然の七切り。
9巡目。上家から西が出てくる。当然和弥はそれを鳴き、ノータイムで六索切り。
(さて、厳しいのはここからだ………。さすがにふたつ晒してこの捨て牌。両隣は絞ってしまうハズ。問題は………)
そう。他の2人を舐めてる訳ではないが、問題が恵なのだ。
10巡目。
「リーチ」
恵のリーチ。和弥もポーカーフェイスだが、恵も負けず劣らず意図を読み取らせない微笑を浮かべながら、ゆっくりとした動作でリーチ棒を置く。
(俺も曲げてないだけでリーチしてるのと一緒だ。あいにくだが、そんなリーチに日和ったりしないぜ?)
当然和弥もオリる気配はない。
14巡目───
「ツモ。8,000・16,000」
和弥の小四喜に会場がどよめいた。
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