好きだと言わずにいられない。

古城乃鸚哥

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壊れた音

7 眞音

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 だってそうだろ。
 オレは心の中で悪態をつくにとどめた。口にしないだけ、褒めて欲しい。誰かこの状況がわかるやつがいたのなら。
「おまえは、全然わかってないな。だから、……それが気に障るんだよ」
 腕を組んでベンチに身を沈めて、正面遠くの草むらを睨みつける。奏一の反応など気にしても仕方がない。自分の首を絞めるだけだ。
 だってそうだろ。
 おまえが好きだと、想いを込めて弾いた曲。別にオレは、それでなにか伝わるなんてことは思っちゃいなかった。おまえがそういうモノを理解するとも思ってなかった。だが、その後にあの不自然な呼び出しだ。そりゃあオレでなくても、ちょっと期待、しちゃうだろ。
「じゃあ、眞音、……ずっと俺に怒っていたのか?」
 万が一何もなかったとしても、それはまあおまえだから、そんなこともあり得るさ。オレは寛容に受け止めてやるつもりだった。だけどなぁ、そこで瑠璃からの告白なんて、想像しちゃいなかった。何もないよりよっぽど悪いじゃないか。
「あぁ怒ってる」
 だってそうだろ。
 じゃなきゃ、おまえはどういう気持ちで瑠璃を手助けしたんだ。何かしら思うところがあるなら、その後何か音沙汰があってもいいだろ。何もないってことが、オレにおまえの気持ちを知らしめてる、それすらおまえは、わかってない。
「それは、やっぱり、瑠璃のことで?」
 どうせおまえは、嘘をついて呼び出しただとかなんとかいう自分の良心の呵責について、オレの許しを得たいだけだ。オレがどういう気持ちだったかなんて、――
「違う」

 眞音は、自分の中にもやもやと立ち上がる不満をかき消すように声を上げた。
 もうずっとそうだ。あの時から、余計に頭が回るのを止められない。心の飢えを誤魔化すように、ずっと何かしら考えている。
「それは結果論だ、……オレが怒ってるのはなぁ」
 両手を腿の上で組んで、前傾になった眞音は斜め下から奏一を見上げた。
「オレ自身にだ」
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